表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/22

1.序

新連載(以前連載していたものの改稿版)です。

毎日更新予定。よろしくお願いします!


少しでも楽しんでいただけたり、続きが気になると思っていただけましたら、下部の★★★★★をクリックしたり(評価)、ブックマークに追加、あるいはいいねや拍手ぽちぽちで応援いただけるとうれしいです。




 彼女は走っていた。逃げるために――そして、人として死ぬために。

 けれど、どこへ逃げればいいのかも、逃げる先があるのかすらわからなかった。ただただ、逃げ出さねばならないと、その思いだけを胸に走っていた。


『――おまえ、おれの妻になれ』


 傲岸に、尊大に。彼女が従うことが当たり前のように告げられた()の言葉、彼女が抗うことなど微塵も考えていない()の視線。

 それを思い返すたびに、逃げ出さねばならないという思いを強くして、懸命に走り続ける。


 息が切れる。苦しさで頭がぼうっとする。足も満足に動かなくなってきた。

 もはや歩いているのと大差ない速さになったころ、彼女の前に忽然と、人影が現れた。


「――必死だね。ねえ、助けてあげようか」


 美しい銀の髪を揺らして、とろりとした金の目を細めて、その()は傲慢に気まぐれに手を差し伸べた。

 そこに慈悲はなかった。同情も。ただただ、事態を面白がっていることだけがわかる笑みを浮かべたその()に、彼女は一瞬だけ迷って、賭けた。


 己の、未来を。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ