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一十天才

遠野へんぼくと聞いて、あぁつまらない芸人ねと話も聞かずに、天才と言われることもなければ、名人とよばれることもない。

それでも一度は面白いと思われたこともあります。


どうも遠野へんぼくです

へんぼくと覚えていただければ、きっと何処かで耳にしたことのある芸人だ。

さぞかし面白い芸人だろうと脳が勘違いしてくれることでしょう。


面白いか面白くないかというのは、実は気分にもよりけり、なんて事もありますからね。


うちの元師匠 名前は伏せますが、気になったら調べたらすぐ出てくるほどに、名の売れた御方ではあるんですよ。


そんな御方 稽古をつけてくれるんですが、

「おう 今日のは面白かったぜ精進しな」


なんて言っていた翌日に、もう一度同じ話をしてみろって言うんで、同じ話を同じ様に披露すると、神妙に頷きながらこう言うわけです。


「昨日のはやっぱり不出来だな精進しな」


言っていることが、数ヶ月たてばコロリと変わるってのは、結構誰にでもあるってのはわかります。

しかし、何で言っていることが1日程度でコロリと変わるかなんて考える方が、無駄なような気もしますから、こちらはきくわけですよ。


「昨日は褒めてくれたのはなんだったんですか?」

そう聞いたら、師匠、天を仰ぐように上を向き、地をはうようにため息を吐き出します。


「 いいかよく聞けよ 耳の穴ってのは理解するために在るもんだ 1から10聞いてすぽーんって抜ける間抜けと、1を聞いて10を知る天才でもな耳でとりあえず1はきくもんだ。」

「まぁそうでしょうね」

「お前の話1を聞いて判断すると 確かに面白かったんだが 10まで聞くと不出来に聞こえたんだ」


1迄は面白いその後がだめだったなんて単純に考えてはいません。

師匠は昨日1しかきいてないんです。


「わかったな?ちゃんと1から10まで面白いと聞かせられるものに仕上げろよ」


恐るべきことに、この師匠ポンと僕の肩に手を置き、盗人猛々しいとまでは言いませんが、こちらに非を擦り付けてきました。


「はい 聞かずとも面白いと言われる師匠のようになるのが一人前だと思って精進しようと思いまた一から出直します」

「一々面白くない弟子だね全く」

「重々承知です」


何て事もあったなと思います。


あれから聞かずとも面白いと思われることも、言われることもない、師匠の言うとおり一々面白くない芸人のままなんですけど。


さて、ここら辺で今回は終いとしましょう。


見ずして、聞かずして、知らずして面白くないと言われたこともありますが、天才とはわかりあえないものですね。

遠野へんぼくでした。












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