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7話 最愛の人

 4人が人混みを抜け、イシュタルとケルヌンノスの2人も壊滅的な味の串焼きをヒナへと押し付ける事に成功した5分後、目的の場所に到着した。

 渡り鳥の串焼きを売っていた店主の顔がだんだん恨めしくなってきていたヒナも、イシュタルが目的地に着いたと言った時はやっとかとため息を吐いた程だ。

 ただでさえ人混みは苦手なのに、マッハだけでなくイシュタル……果てはケルヌンノスまでも、自身の串焼きを食べてと懇願し、その全てを断る事の出来なかったヒナはあの男の一番の被害者と言って良いだろう。


「……ここが、冒険者ギルド」

「……吹けば飛びそうなくらい心許ない」

「私らの家の方が頑丈そうじゃないか?」


 冒険者ギルドの外観を見た3人の第一印象は、まさにその言葉通りだった。

 木造の3階建ての建物で、看板の文字は読めないが剣が交差しているような独特のマークが建物の中心に彫られ、丸太と木材を雑に詰めて作ったとでも言わんばかりの出来栄えだ。マッハが言うように、彼女達のギルド本部の小屋の方がよほど立派に造られている気さえしてくる。

 まぁ、あそこはヒナがかなり細部までこだわってクリエイトしているので、外観だけだとしても単純に比較することはできないのだが……。


 どうやら1階部分は酒場になっているらしく、外にいても男達の喧騒が忙しなく聞こえてくる。その中には怒号や叫び声、悲鳴に似た物もあるが、ヒナはもちろん、イシュタル達3人も特に気にする様子はない。どころか、その外観の酷さと期待していたほど立派では無かったという落胆でそんな些細な事は気にしている場合では無かったのだ。


 冒険者という職業についてほとんど知識の無かったヒナでさえ、街の中央に聳え立つ王城を目にしてからはその冒険者ギルドとやらもどれほど豪華絢爛な建物だろうと内心ワクワクしていたというのに、その期待を見事に裏切られたのだ。


「と、とりあえず……入る?」

「……うん。とりあえず昨日の人を探して、いないようならまた明日来ると言付ける。その後はラグナロク金貨が使えるかどうかを確認して、使えないようなら金としての価値があるかを確認する。それは、多分ここで聞いても問題ない。ここでやれる事は、多分それくらい」


 ヒナが少しだけオドオドしながら尋ねると、イシュタルが薄い胸を張りながら自信満々にそう言う。

 マッハやケルヌンノスも頷いて了解の意を示し、代表者としてマッハが冒険者ギルドの両開きの扉をグイっと開ける。


 扉を開けた先に広がっていた酒場はかなり広く、一番奥にカウンターがあり、大きな木製の丸テーブルが10個ほど等間隔に並べられ、その周りを綺麗に埋めるように木製の小さな椅子が置かれている。

 カウンターの奥に進むと上階への階段があり、冒険者ギルドの受付へと進む事が出来るようになっているようだ。


「だっはっは! そりゃ傑作だなおめぇ! 全身鎧フルプレートリザード如きに敗走してきたのか!」

「し、仕方ねぇだろ!? うちの魔法使いが防御を貫通できねぇってほざいたんだ! あいつが無理ってなら、俺達に奴を突破できる術はねぇんだ!」

「おかげでそのクエストのランクがワンランク上がったって話するかぁ~? ったく、面倒な事してくれたなぁ!?」

「メリュジーヌ!? おめっ、裏切ってんじゃねぇよ!」

「おらぁ元からお前の味方じゃねぇ! 大体あのクエストはお前達にゃまだ早いってあれほど――」


 扉を開けた瞬間目前に広がる光景は、まだ昼間だというのに木製のジョッキ片手に頬を染めて大声で何事か話している鎧やローブを着た者達が騒いでいる最悪なものだった。

 その全てが30を超えた男共で、その顎と腕、足にはもじゃもじゃ、チリチリとした毛が無数に生え、4人は生理的な嫌悪を感じて分かりやすく顔を歪めた。


 そんなヒナ達だったが、その容姿だけ見れば全員美少女と言っても良い。その胸元は全員寂しい物だが、いかんせん顔が整いすぎている。

 顔が良ければ男共が寄ってくるのはどこの世界でも同じらしく、4人は瞬く間に酒場の男達に目を付けられ、酒に酔った戦士風の男3人が嫌らしい笑みを浮かべながら近寄ってきた。


 男達は胸に銀色のプレートをネックレスのようにしてぶら下げており、着用している鎧はかなりの年代物なのかあちこちに傷が付いている。その腰に吊るしている長剣も、手入れが行き届いていないのか刃こぼれがかなり目立つ。とても一流の冒険者……引いては、戦士には見えない。


「嬢ちゃん~、こんな物騒なとこに何しに来たんだぁ~?」

「ここはおこちゃまの来るとこじゃあねぇぜ~?」

「そうそう、そんな可愛い顔して~! ここじゃあ、弱い子供はわる~い大人に食べられちゃうんだぜぇ?」


 手をワキワキさせながら一番前にいたマッハへ迫る髭面の太った男。その姿に全身の毛が逆立つような恐怖と気持ち悪さを感じ、マッハは反射的に腰に下げた愛刀へ手を伸ばす。

 一方、その隣にいたイシュタルにも別の細身でサンタクロースのように髭を伸ばした男が迫る。

 その男の姿と『おこちゃま』と呼ばれた怒りで少しだけ殺意が漏れ出てしまうが、彼女に迫る男は酔っているせいか、そもそもそれ程の実力がないせいかその事に気付かない。


 後ろでそんな様子を見守っていたケルヌンノスも、自分の大好きな人達がバカにされるのは好きでは無かった。いくら相手が酔っていると言っても、それでなんでも許せるのかというとそうでは無い。

 イシュタル以上の殺意と怒りを男達に向け、自身のスキルを発動させようとしたその時――


「何事じゃ!」


 酒場の奥にある上階への階段から慌てて降りてきた鬼族の少女の絶叫にも似た怒号に、酒場の喧騒は途端に静まり、イシュタル達に絡んでいた男3人もその顔から瞬く間に酒気を飛ばしてその少女を驚愕の表情で見つめる。

 そんな男達に釣られ、怒りと殺意をなんとか押し留めた3人はヒナと共に降りてきたその少女に目を向ける。


 その少女はマッハと同じように額から鬼の角を2本生やし、血のように赤く綺麗な髪で左目を隠し、ピシッとした黒の制服に身を包んでいた。

 黄金のように煌めく金色の瞳は驚愕に見開かれ、ヒナ達4人……特に、一番後ろでモジモジしているヒナへと向けられている。


「ギルマス……? なんだよ、どうしたってんだ。随分慌ててんじゃねぇか」


 酒場のカウンターで目の前の客にカクテルを振る舞おうとしていた店主が、鬼族の少女に困惑の目を向ける。

 その男はクマのように大きな体格と、額に受けている引っ掻き傷が歴戦の猛者であることを示しており、筋骨隆々としたその腕は人の頭蓋骨くらいなら簡単に握り潰せそうだ。


「……いや、とんでもない殺意を感じたのでな。一体何事かと思うてじゃな……。おいそこの……娘っ子。お前さん、ここらじゃ見ないが、何しに来たんじゃ?」

「……」

「おい、お前に聞いてるんじゃ。その、捻じ曲がった杖持っとる、そこの!」

「……あ、私!?」


 驚いた様子で自分を指さしたヒナは、ギルマスと呼ばれた少女が力強くコクリと頷くと、背筋をビクッと震わせて小さく「あうぅ……」と口ごもる。

 そんな姉の様子を見かね、イシュタルが口を開いた。


「私達は、昨日会った人に話を聞きに来た。ガイルって言うらしい。ここらじゃ有名と、本人が言っていた。ヒナねぇは人と話すのが苦手。私で勘弁する」

「……お主ら、ガイルの客人かい。よかろう、あやつに取り次いでやる故、上に来い。くれぐれも余計な真似はするなよ?」


 なぜかため息交じりにそう言う少女は、トテトテという効果音が相応しいような歩き方で4人の元まで来ると、怪訝そうな視線を向けながら上階へと先導する。その姿はまるで異端者……猛獣を前にした小動物のそれで、いつヒナ達が暴れだすが気が気でない様子だ。

 最後に、少女は酒場の店主に「騒いですまんかったな」と告げると上階へと消えた。


 ヒナ達が2階に上がってまず目にしたのは、酒場と比べ物にならないほどひしめき合った冒険者達と掲示板の前で腕を組みながらあーだこーだ言っている者達だった。


 階段を上がるとすぐ右手に受付があり、若い人間の女性が3人ちょこんと座って冒険者の相手をしている。

 その正面には2人掛けのソファが複数置いてあり、恐らく順番待ちをしているのであろう厳つい顔の冒険者達が数人腕を組んで待っていた。

 受付を少し進んだところには無数の張り紙が張られた掲示板があり、その全てが文字の読めないヒナ達にはどんな内容が記されているのか見当もつかないが、冒険者らの話から推測するに依頼の内容だろう事は容易に想像出来た。


「お主ら、ちと階段を上がってすぐの部屋で待っとれ。すぐに行く」


 そう言い残すと、少女は受付嬢の1人にいそいそと話しかける。

 話しかけられたその女性は慌てた様子で受付の奥へと引っ込むと、別の女性がその後を引き継ぐ形で受付の業務を再開する。


 その光景をポカーンとしながら見つめつつ、ヒナ達は全員で困惑の顔を見合わせると、とりあえず言う通りにしておこうと意見がまとまったのかそのまま階段を上る。

 これから何をされるのかは分からないが、とりあえず取り次いで貰えるとの事なので従っておこうというだけだ。


 階段を上るとそこは宿屋のようになっており、いくつかの小部屋が配置され、言われた通り階段を上った先のすぐ隣にある部屋の扉を開くと、その中は予想通り宿屋の一室となっていた。

 部屋の中には2つの簡素な木造のベッドと丸テーブル、小さな窓が取り付けられており、窓際には手のひらサイズの花瓶に入れられた白い花が生けられている。

 丸テーブルの上には透明な入れ物に入った水が置かれ、相当冷たいのか容器には水滴が滴っている。


「……冒険者、想像以上に面倒な人達」


 扉から見て右側のベッドにちょこんと腰掛け、イシュタルはしみじみといった感じで呟いた。

 その見た目や装備の状態からしてみても、彼らが大した実力を持っていない事は容易に想像出来る。それでも、自分達の見た目が幼いせいかああも簡単に、それでいて軽々しく絡まれるのは不快極まりなかった。

 相手がそれ相応の実力を持っていれば下手に手出し出来ないのだが、そうでもないのであればついつい殺したくなってしまうのは仕方ない。


「あの人が来なきゃ、多分あいつ斬ってたなぁ。触ろうとしてきたんだぞ? 気持ち悪いったらありゃしない」

「……私も、多分殺してた。死霊系のスキルなら、誰にもバレずに殺せる……」

「ちょ、ちょっと……。あんまりそういう事言うもんじゃないよ?」

「……もしあいつらがヒナねぇにちょっかいだしてたら、迷わず斬ってたな~。不快極まりないし、穢されるみたいでなんかやだ」

「同意。あんな奴ら、ヒナねぇに触れさせたくない」

「え、えぇ……?」


 冗談でもなんでもなく、本気の顔でそう言われると、ヒナも流石に困惑する。

 確かに欲望丸出しで近付いてくる男の人は初めて見たし、そういう経験も当然なかったのでかなりの恐怖はあった。ただ、殺したい程かと言われると、元々ただの高校生だった事もあってそんなはずないと答えるしかない。


 だが、誰よりもヒナを大切に想っている3人は違った。

 あんなに汚らわしい存在がヒナに触れる事。それは万死に値するほどの行為であり、絶対に許されないのだ。


「そ、そこまで……?」

「そこまで。ヒナねぇは、自分が十分可愛いって自覚するべき」


 イシュタルにそう言われ、ヒナは変な悲鳴とも喘ぎとも取れない声を上げる。

 そんな事を言われたのは生まれて初めてでどんな反応をして良いのか分からないというのはそうだが、何より家族にそう言われたのはとても嬉しかった。

 だが、そう言ってくれた本人はハムスターのように頬を膨らませて怒っているので、とても素直に喜べる状況でない事は確かだ。


 そんな彼女に同意するかのようにマッハとケルヌンノスもコクコクと頷き、少しだけ照れながら「ヒナねぇは……可愛い」と言われると、ヒナもなんだか恥ずかしくなってくる。

 と、そんな和やか(?)な雰囲気が流れ始めたその室内に、コンコンと優しいノックの音が響いた。

 続いて、先程ギルマスと呼ばれた少女の声が扉の前から聞こえる。


「応接室の用意が出来た。悪かったの、待たせて」


 誰も応接室を準備しろとは言っていないと小さく愚痴ったイシュタルに苦笑しつつ、ヒナは扉を開けてお礼を言うと、未だに怒っているイシュタルの手を握って鬼の少女の後を着いていく。

 少女は再び2階へと降りると、受付の奥を通り過ぎてその奥にある個室へとヒナ達を案内した。


 そこは受付の前にあったような木製のソファではなく、ブラウンの質のいい革が使われた3人掛けのソファと向かいに1人掛けのソファが2つ置かれ、その間に漆黒の長机が腰を下ろしている空間だった。部屋の奥には大きな両開きの窓があり、サボテンのような棘のある緑色の観葉植物が置かれている。


「好きなところに座るが良い。生憎、この部屋にはこれだけしか椅子が無くての、誰か1人は立ってもらう事になるが……それは許せ」


 そう言うと、少女は1人掛け用のソファにどっかりと腰を下ろし、偉そうに足と腕を組んだ。

 それに真っ先に続いたのはマッハだ。フカフカのソファにダイブするようにお尻を預けると、思った以上に椅子に体が吸い込まれて思わず「うおっ」と変な声を上げてしまう。


「……マッハねぇ、行儀悪い。それに、真ん中にはヒナねぇが座るべき」

「良いじゃん~。私は真ん中が好きなんだもん~!」

「い、いいよいいよ。私は立ってるから、皆が座りな?」


 その後2分間ほど誰が座るのか……正確には、ヒナが立つのかイシュタルが立つのかで揉めた結果、結局イシュタルが折れてヒナがその後ろで立つ形に落ち着いた。

 真ん中にマッハが座り、左右を置物のようにちょこんと座ったイシュタルとケルヌンノスが少しだけ不機嫌そうに隣の姉を見つめる。


 そのやり取りを微笑ましそうに見ていた少女は、ようやく落ち着いたかとふ~と短く息を吐くと、コホンとわざとらしく咳払いをする。


「突然すまぬな。お主らとあやつらを同じとこにいさせると面倒な事になりかねんかったから隔離という形でここに来てもらった。多少強引だったのは謝罪しよう」

「……面倒な事ってなに」


 イシュタルが首を傾げながらそう言うと、少女は「とぼけるでない」と若干呆れながら肩を落とした。


「わしが気付かんとでも思うたか? お主ら、あやつらに殺意向けておったじゃろ。こんな場所で殺し合いでもされたら堪らん」

「……そんなことは無い。それに、私達が負ける可能性だってある」

「はっはっは! これまた、冗談を言うでない。彼我の戦力差くらい、お前さんなら分かるじゃろ。あやつらでは……いや、この街におる冒険者が全員束になっても、お主らには勝てるまい」


 疲れたようにはぁとため息を吐く少女は、その後ワラベと名乗り、ヒナを見つめるとはっはっはと涙を流しながら高らかに笑った。


「特にお前さん! お前さんはバケモンじゃ! 正直、目の前に座っておるだけで全身に鳥肌が立つほど不気味じゃ。どこでそんな力を手に入れた?」

「……ふぇ!? わ、私!? いや……あの、その……」

「……ヒナねぇは人と話すのが苦手と言った。あまり話しかけないで」

「ん? あぁ、悪い悪い。それにしても……種族が違うのに姉というのはどういう事じゃ? お主ら、血が繋がっておら――」


 その瞬間、部屋の窓ガラスがパリンと音を立ててまるで叩き壊されたかのように粉々に割れた。

 誰がやったのか。それは、立ち上がってワラベを殺意の籠った目で睨みつけるケルヌンノスを見れば明らかだった。


「お前……殺すぞ」

「っ! ……確かに、不躾だったの。他人の詮索は冒険者も、他種族が入り乱れるこの街でもご法度じゃ。許せ、二度とせぬ」


 ペコリと深く頭を下げたワラベに対し、ケルヌンノスは握り締めた拳を怒りで震わせながら再びスキルを発動させようかどうか迷っていた。

 初めからワラベの命を奪わずに窓ガラスに向けてスキルを放ったのは、後ろにヒナがいたからだ。その存在が、わずかに残っていた理性を寸でのところで蘇らせ、標的をワラベから窓ガラスへと変更させたのだ。


「……」

「……けるねぇ、落ち着いて?」


 マッハが深刻そうにケルヌンノスを見つめ、イシュタルが心配そうな瞳を向けて立ち上がる。が、彼女の怒りは収まる様子もなく、頭を下げているワラベへ即死系の魔法を放とうとする。

 それほどまでに、自らとヒナの……いや、自分達姉妹の絆を侮辱した罪は重いのだ。


『冥府の風、冷気となりてその者の――』

「あ~もう、けるちゃんは~! ほら、おいで!」


 ワラベへ右手を向け瞳をカッと見開いたその瞬間、ケルヌンノスは己の最愛の人にギュッと抱きしめられる。その瞬間、今まで心を埋め尽くしていたどす黒い殺意は宇宙の彼方へと消え去り、瞬く間に気恥ずかしさと嬉しさ、幸福感が心を埋め尽くす。

 優しく頭を撫でられる感覚が心地よく、まるで迷子の子がようやく両親を見つけた時のような、途方もない安心感に襲われる。


「……ヒナ、ねぇ」

「うんうん、私の為に怒ってくれてありがとね? でもほら、今は落ち着こ? 私は大丈夫だから。私と皆は、正真正銘の家族だよ?」

「……うん。ごめん……」


 瞳の端からポロっと涙を流したイシュタルは、ヒナの胸に抱かれるとそのままその服をギュッと掴んで赤ん坊のように声を殺して泣きじゃくる。


 たった1つの失言から人生で初めて命の危機を感じたワラベは、今後迂闊な事は言わないように気を付けようと本気で心に誓った。

 恐らく、二度目は無いだろう。そんな事は、マッハと呼ばれた少女が膝の上に移動させた刀に手を伸ばし、ヒナと呼ばれている少女を見つめながらその刀身を抜くのを必死で抑えている姿を見れば明らかだ。


(何者なんじゃ……。このわしが、勝てるビジョンが全く見えんとは……)


 瞬く間に緊張感に包まれたその応接室の床に、ワラベの冷や汗が落ちる音が、やけに大きく反響した。

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