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40話 説教

 ムラサキはガックリと肩を落としたマッハに連れられてガイルとケルヌンノスが気まずそうにジーっと睨み合っている――ガイルは泣きそうだったが――現場まで辿り着くと、安堵からかはぁとため息を漏らした。

 ムラサキの姿を見た彼は、以前ワラベと話していた姿を思い出して合点が言ったようにあぁと声を上げた。


「ムカつく狐って誰の事かと思えばあんたの事かい。……助けに来てくれたのか?」

「まぁ結果的にはそうなる。君達のお仲間はどこにいるのかな?」

「あそこだ」


 ガイルが指を指した小さな丸太小屋をチラッと見つつ、切り株に座ってあれこれ話している2人をチラリと見つめる。


 彼女達がブリタニア王国の地を踏んだというのは部下からの報告で知っている。隠密能力に長けている彼女をものの数分で見破ったのには流石に呆れたが、彼女以外の適任がいる訳でもなかったので引き続き監視を任せていた。

 ただ、その彼女からなんの報告も無いというのにこの場にマッハ達がいるのはなぜだろう。まずムラサキが考えたのはそこだった。


 ガイル達冒険者を屠った……というか監禁していたのは彼女達の後ろでメイドのように控えているエルフの女だろう。

 実際、彼女には本気を出しても勝てるかどうか分からないので、単なる冒険者達じゃ勝ち目は無い。


「説明してくれるかな? これは、どういう事なんだい?」

「……マッハねぇ、お願い」

「えぇ……。私、こいつ苦手なんだけど……」

「私も別に好きじゃない。……お前、私達の代わりにそこのムカつく狐に説明して」


 ガイルを指さし、ジッと見つめてそう言う。

 自分達に非が無い事は先程言いくるめたので分かってくれているはずだし、ケルヌンノスは自分から好んで生者と話したいとは思わない。

 家族やエリンは別として、ムラサキだろうがワラベだろうが、長時間話していると嫌悪感を覚えるのは変わらない。

 マッハが話したがらないのなら、その役目は自然とガイルへ回される。


 ムラサキもそこで意地を張っても仕方ないと思ったのか、それとも誰の口から聞いても情報の正確さという点ではあまり変わらないと判断したのか。ともかく、ガイルが説明する事にはなんの不満も無いのか、彼にコクリと頷いて説明してもらう。


「あ、あぁ……つまりだな、ここはこの嬢ちゃん達の家で――」

「家?」


 かなりかいつまんで説明したガイルがいよいよ目の前に聳え立つもう1つの丸太小屋を指さすと、ムラサキは信じられないとでも言いたげにその小屋を見つめる。


 外観だけ見れば数年前……いや、数百年前に自身の師匠がやけにこだわっていたブリタニア支部の冒険者ギルドに瓜二つだ。

 だが、その細部はこちらの方がこだわり抜かれており、デザイン性は二の次にして、どこか温かみのある造りになっている。


 たとえば柱の一部に背比べでもしたかのような傷が合ったり、落書きか何かをしたのか、それを乱暴に拭ったような跡がそこかしこにある。

 汚れていると言えばそれまでだが、ムラサキは全く違う感情を持った。


 ブリタニア支部が憧れや尊敬の念によって建てられた物で、こちらがそのオリジナルだろうという妙な確信。それに、この家に暮らしている家族は小さな子供が大勢いて賑やかに暮らしているのだろうという微笑ましい温かさを感じる。

 素晴らしい外観を汚さない程度に絶妙なバランスで傷や落書きの後が残されているのはもはや意図的とすら思えるほど、この建物は完成されている。


 この建物を全て一から作り、傷跡などに関しても全て意図的に作り出している人がいるとすれば、その人が目指したのはきっと『大家族が暮らす温かい家』だろう。

 その家の子供達は少しだけやんちゃで家の壁にしょっちゅう落書きをしたり背比べをして傷跡を付け、その結果に一喜一憂する。

 きっと、親や兄弟に壁の落書きが見つかって泣きながら消したり、見つかる前に慌てて消したりもしたのだろう。

 不思議と、そんな想像が次々と湧いてくる。


(まぁ確かに……イメージ通りではある……)


 マッハとケルヌンノスが気まずそうに俯いてる様を見て、ムラサキは内心で苦笑する。

 しっかりして良そうなイシュタルはともかくとして、この2人――特にマッハ――は、変に意地を張ったりいたずらをすることに関しては意図も簡単に想像できる。


 ここが彼女達の家であっても別に不思議では無いし、そもそも彼女達の家じゃ無ければなんでこんなところにいるんだという説明がつかない。

 大方、お金が足りなくなったかなにかで戻って来たのだろう。


 この家を作ったのが誰なのかも、そう思えば簡単に想像できる。ヒナだ。

 彼女達に親と呼べる存在がいるのかどうかは分からないが、少なくとも彼女2人の後ろに控えているエルフで無い事は確かだろう。

 それに、もしも親がいるとすればあんなに自分達4人だけで世界を構築しないはずだ。

 マッハ達にとっての親はヒナで、ヒナにとっての子供がマッハ達3人。そう考えた方がまだ納得しやすい。


「まぁ……大体把握したよ。で、一応聞いても良いかな? なんでここに君達の家があるんだい? 街に作る訳でもなく、森の奥地に作るなんて趣味が君達にあるとは思えないんだけど」

「……私達にはなくてもヒナねぇにはある。でも、この場所に家が建ったのはヒナねぇの意志とは違う。だから、私達は別に悪くない」

「そーだそーだ! 私達、別に悪くないぞ!」


 ヒナだってここに来たくて来たわけじゃない。ただ目を開けたら目の前の景色が一変していただけだ。


 マッハ達3人にしてみれば暮らしていたラグナロクの世界が、ある日突然一変してヒナと共に知らない地へ転移して来ていただけだ。

 まぁ、そんな簡単な一言で済ませて良いことかと言われると、絶対にそんなことは無いのだが……。


「でもさ、君達がこの場所に家がある事を教えてくれていたら、今回こんな事態は起きなかった。そうじゃないかい? 私だって、君達に意地悪がしたくてここに冒険者を送り込んだわけじゃないんだ。ここが君達の家だと知っていれば、少なくともこの場に近寄らないようワラベに注意を促させていたさ」

「うっ……。それは……」

「……信用してない相手に、自分の家を教える人はいない。ある程度信用したとしても、今度は伝えるタイミングが無かったとか、いろいろ理由はあった。今回こんな形で露見しなければ、多分言ってた」


 半ば強引ではあるが、そう言ってしまえばこちらにその気が無かったとしても相手はそれを証明できない。我ながら上手い事言ったとドヤ顔したくなるのを必死で抑え、ケルヌンノスは己の姉を見やる。

 彼女もよくやったと微笑んでいたが、ムラサキにはそんな苦しすぎる言い訳は通用しない。


「それはそうだ。でもね、それはそれ、これはこれだよ。実際、君達がそれを言わなかったことによって多少なりとも被害が出ているんだ。人命が奪われなかったことはたまたまであって、一大事になりかねなかった。事によっては国家レベルで対処する案件になりかねない」


 もしもムラサキの手が開いていなければ、この件はガルヴァン帝国が担当する事になり、この建物の調査に国軍が動く羽目になっていただろう。

 そうなってしまえば、仮にそれらすべてを退けたとしても、良くて反逆者と捉えられ永久追放。悪ければ世界を脅かす脅威と認定され、他の国々と合同での殲滅作戦が取られていただろう。


 彼女達が全世界を敵に回して勝利を収める事が出来るのかどうかはともかく、何万という死者が出る事はほぼ確定だろう。そうなれば誰も幸せにならない……どころか、世界が致命的な一打を受けることになる。

 それを笑って許せるほど、ムラサキは楽観的にはなれない。ガイルは元より、彼女達でさえそこまで考えが回っていなかっただろうことは分からないでもないが、そうですかと笑って見過ごせる内容では無い事は確かだ。


 確かに警告はあったし、それを無視したから攻撃したという彼女達の意見は正しい部分もある。

 なんの警告も無しに攻撃を仕掛けるよりは何倍もマシだし、実際自分も警告はされたのでその事自体は嘘では無いだろう。

 ただ、その警告の仕方が不十分すぎるというのも、その警告を無視しなければならないという確固たる理由があるというのもまた事実だった。


「クイーンちゃんはちゃんと警告してるじゃんか~! 不十分ってなんだよ~」

「……あのね、よく考えて見なよ。例えば君達が『ある建物を調査してほしい』っていう依頼を受けたとするでしょ? そうしてその建物に行くと、中から女の人が出てきて『立ち去れ』と言われた。これ、君達ならどうする?」

「ヒナねぇに相談して、私かけるがその女の人を戦闘不能にしてから話を聞く!」

「……マッハねぇと同じ意見。もしかしたら、その人から話を聞くのは屋敷を調べ終わってからかもしれない」

「はぁ……。そう、今回は、まさにそれが起こった結果。ただ、その女の人がこちらの想定よりずっと強かったってだけ」


 こめかみを抑えてやれやれと肩を落としたムラサキは、首を傾げている2人にどうすれば伝わるだろうと必死で頭を回転させる。


「つまりね? 立ち去れって言うこと自体は良いとして、そこにもう一言付け加えてくれるだけで良かったんだよ。たとえば『ここは私達の家だから部外者は立ち去れ』とかね? そう言われたら、いくら冒険者でも一旦引いてギルドに報告するさ。依頼のあった建物に行ったが、こう言われたので引き返してきた、どうすれば良い?ってね。でしょ?」

「……あ、俺か? お、おう。確かに、問題になるのは面倒だし、一応ギルドの指示を仰ぐな」


 同意を求めるようにガイルへ視線を向けたムラサキは、彼がその意図を汲み取って頷いたことで満足そうに「だよね」と呟いた。

 それでもまだ納得していない様子のマッハは、後ろで控えているクイーンちゃんと呼ばれた人物になんとかしてという視線を向ける。


「……妾は、主様から侵入者を捕縛せよという命令を受けているだけです。ですが一言申し上げてもよろしいのであれば……その者の言う通り、妾の言葉足らずだったと思われます」

「うぇぇぇ!? も~!」

「……家だと言っても立ち去らないかも。少なくとも、その可能性はある」


 よほど怒られるのが嫌なのか、ケルヌンノスは少しだけムスっとしながらそう言う。

 彼女達の機嫌を損ねるのは絶対に不味いのだが、これは機嫌をどうこうするというよりは、お互いの認識の違いを正すために必要な作業だ。言葉を間違えなければ命が危なくなるような事態にはならないはずだ。


「仮にそんなことが起これば、それこそ警告を無視した方が悪い。むしろそこまで言われている時点で、それを無視するって事は殺されても文句は言えない。今回、君達……いや、そこの女の子が、今私が言ったような事を言っていたとしたら、謝罪しなければならないのはむしろこっちだった。命を奪われていなかったことに感謝こそすれ、今のように文句をネチネチ言う事にはならなかったよ」

「……ネチネチ言ってる自覚はあるんだな」

「そりゃもちろん。私だって好き好んでこんな事を言ってるわけじゃない。ただ、君達が今後同じような事をしてこの場所を追われたり面倒ごとに巻き込まれるのは御免だろうと思ってね?」


 もちろん冒険者達が危険に晒された事に関する個人的な怒りが無いかと言われると否となるが、それを彼女達にぶつけると逆に怒らせる結果になりかねない。

 なら、ここは将来の為というある意味最強の切り札を切って、お互い悪かったという体裁を保つことこそが最善だろう。

 彼女達は将来の事なんて興味はないかもしれないが、ヒナの将来となると話は別だろう。


 そんな事を考えてのムラサキの発言は、恐ろしいほどに的を射ていた。


 マッハ達3人は、今が良ければ将来の事は将来の自分がなんとかするだろうという楽観的……もう少し嚙み砕けば、いい加減な性格だ。

 今回も、そんなの知らないと言えばそれで済むような問題ではある。


 だが、そこにヒナが加わると話は別だ。

 自分達が良くとも、ヒナが苦労するようなことは絶対にしたくない。それは、3人の共通認識だった。


「…………悪かったよ。今度から気を付ける」

「ん、気を付ける。ヒナねぇに迷惑はかけられない」


 意外に素直に謝った彼女達に少しだけ驚きつつ、こちらも悪かったと謝罪をする。

 過程はどうであれ、彼女達の家に冒険者を差し向けて調査をしようとしたことは事実だ。知らなかったこととはいえ、謝った方が良いことに変わりはない。


「一応聞いておくよ? 第二の家があるとか言ったりしないよね?」

「ん、ない。私達の家はここだけ。でも、誰も入れる気は無い」

「そうだぞ~? 私達の家には絶対入れないからな?」

「ちょっと興味はあるけど……無理に入ろうとはしないよ、もちろん」


 冒険者ギルドのブリタニア支部とそっくりの外観と、彼女達が仲良く遊んで暮らしている風景が不思議と頭の中に思い浮かぶ不思議な家。そんな場所に興味が湧かないはずはないが、彼女達の不興や怒りを買ってまで入りたいとは思わない。

 もし彼女達に向かい入れられる形でこの家に入る事が出来る人物がいるとすれば、きっとその人は、彼女達にとってとても大切な人物なのだろうことは想像できるが……。


「はぁ……。ともかく、冒険者達は街に連れ帰させてもらうよ?」

「ん、問題ない。二度とここには近付かないで」

「あぁ、ワラベにもそう言っておくよ」


 そう言うと、ムラサキはガイルに全員で街に戻るよう言った。

 丸太小屋から出てきた冒険者達は総勢で34名に上り、そのうち20名ほどがダイヤモンドのプレートを胸に付けた者達だった時は流石に呆れた。


 彼らも決して弱い訳では無い。

 ただ、その瞳に映る恐怖と絶望が消え去るには、もう少しだけ時間がかかるだろう。今回は、相手が悪すぎた。


「それにしても……君は何者なんだい? 始めて見る顔だけど……」

「ヒナねぇの……友達? ちょっと複雑な関係」

「友達だなんて、そんなおこがましい……。妾はご主人様に救われた身です。その後恩を返すためにお傍にいるだけの事……」


 エルフの女が何を言っているのか、その意味は分からなかったが、とりあえずそこには複雑な事情があるのだろうという事だけは分かった。

 彼女ほどの強者がヒナに救われる事態になるとはどんなとんでもないことがあったのか。そんな事知りたくも無いと背筋を凍らせつつ、彼女は遅すぎる疑問を口にした。


「ところで、ヒナとイシュタルは一緒じゃないのかい? 君達があの子と別行動してるところなんて始めて見たけど……」

「今回はやむを得ない事情があった。私達だって好き好んでヒナねぇの傍を離れたわけじゃない」

「そーだそーだ! 大体、サッサと帰りたかったのに、誰かさんのせいで余計に時間食ったじゃん!」


 この場で予想外の事態に対処するべく使った時間はだいたい3時間程度ではある物の、今頃はとっくにロアの街へ向かって換金しているはずだった。

 大量の金貨を持っていく関係で、換金にはそれなりの時間がかかる事は容易に予想できる。

 こんなところで油を売っている暇があるならサッサとやる事をやってキャメロットに戻らなければ……。


 そんな彼女達の想いを踏みにじるかのように、その場に「えっ?」と小さな驚愕の声が響いた。


「どうしたの、クイーンちゃん?」


 その声の主を振り返り、マッハは不思議そうに尋ねる。

 当の本人は自分の両手をマジマジと見つめつつ、困惑しながら答える。


「そ、それが……主様の気配が感じられず……。魔力の供給が止ま……」


 最後まで言葉を紡ぐ事は叶わず、気高いエルフクイーンは、驚愕の表情を浮かべたまま地に足を着いた。


 召喚獣は召喚主の魔力を供給されることによってこの世に顕現し続ける事が出来る。

 もちろんヒナはそんな事知らないが、その魔力供給は魔法が発動された瞬間から術者の無意識で勝手に行われるので問題はない。

 ただし、その魔力の供給がなんらかの形――たとえば術者の魔力切れ――で途切れてしまうと、召喚獣はこの世に顕現する事は出来なくなる。


 召喚獣をこの世に引き留めておく為に必要な魔力量は呼び出す召喚獣の強さによって変わるが、膨大な魔力量を誇るヒナにとっては別に苦にはならない。


 それに、エルフクイーンが顕現するのに必要とする魔力は、ヒナが身に着けている装備で時間経過と共に回復される量と同じだ。

 つまり、その供給が途絶える事なんて、本来は絶対にありえない。あり得るとすれば、彼女がなにかしらの形で大量に魔力を消費して魔力切れに陥った場合か……もしくは――


「は? い、いやいや……ちょっと待てよ。クイーンちゃん、下手な冗談は止せって」

「いくらあなたでも、そういう冗談は良くない。今なら許してあげるから、正直に謝る」


 最悪の状況……ヒナの死を想像し、マッハは慌て、ケルヌンノスは怒りをあらわにする。

 だが、そんな彼女達に内心焦りを覚えつつも、エルフクイーンは立ち上がる事が出来ない。

 その強力な力と意志力でなんとかこの世界に残る事が出来ているだけで、普通の召喚獣であれば当にこの世界から消滅しているだろう。


 彼女も、何がなんだか分からずヒナの気配を必死で探ろうとするが、その魔力の気配は不自然なほどプッツリと途切れている。まるで、彼女の存在そのものがこの世界から消失してしまったかのようで、底知れない不安が心を支配する。


「ち、違うのです……。妾は、決して冗談なんか――」


 まるで、崩れ落ちた崖に腕一本でぶら下がっているような状態だった彼女は、恐怖で心を支配されたせいでその崖から勢いよく落下した。

 術者による魔力供給が止まった事でこの世界に存在する事を許されず、意志力だけでその存在を無理やりに保っていた彼女は、恐怖で一瞬気を緩めてしまった。そうなってしまえば、彼女はもう、この世界にはいられない。


 まるで最初からそこにいなかったかのようにパッと姿が掻き消え、マッハとケルヌンノスは、彼女が消える瞬間の恐怖と悲しみに満ちたその顔をしっかりと目に焼き付けた。

 その顔が、状況が、最悪の事態を想像させる。嫌でも心臓の鼓動が早くなり、冷たい汗が全身をダラダラと垂れていく。


「ま、マッハねぇ……うそ、だよね……?」


 ポツリと呟かれたケルヌンノスのその言葉は、その場に小さくこだました。

 彼女の瞳には、大粒の涙が次々に溜まり、数秒後にその頬をツーっと一筋の線を描きながらポツリと彼女の小さな手へ落下した。

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