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113話 救世主

 意気揚々。そんな言葉が相応しい満面の笑みでメリーナの元へ現れたマッハは、まず悲惨な姿になっている少女へ回復魔法をかけてあげてとイシュタルにお願いする。

 しかし、彼女は言われるまでもなく既にメリーナの体を癒し始めており、まずはその欠損している体の部位を完璧に修復し、その次に半分ほどが失われている魔力も充填しておくことを忘れない。


 メリーナの装備がボロボロになっている事は否めないが、自分達だって装備の替えを持って来ている訳では無いのでそこは我慢して貰うしかない。

 トライソンからこの話を持ち掛けられた数分後には既に移動を始めており、彼女が途中まで道案内を買って出てくれたのでヒナ達に相談する事も、その暇もなくここまで来ていたのだから。


 しかし、感覚的にヒナ達もすぐに追いかけてきているだろうことは分かるし、そこに雛鳥がいるのかどうかは分からないまでも、絶対に気にしているだろうことは想像に難くない。

 ヒナに相談せずにここまで来てしまった事には若干の後悔と不安があるものの、道中の彼女の話では、襲撃者達の武器は全て対人に特化した物であり、その中に神の名を冠するような強力な武器は無いとの事だった。

 なら、マッハだけで十分対処が可能だと判断したのだ。


「たる、そいつ頼むな~!」

「ん、任せる。マッハねぇ、気を付けて」

「よっしゃー!」


 太陽よりも眩しい笑顔を浮かべながら刀を抜いたマッハをいたって冷静な瞳で見つめるミセリアとイラは、この場にいない……正確には、勝手にこの任務を離脱した1人の女の姿を脳裏に思い浮かべていた。


 彼女達がこの場にいる事は、本来あり得ない。

 彼女達が今いるはずのダンジョンからここまではどれだけ速く走っても数時間はかかるし、召喚魔法なんて使ったとしても簡単にどうこう出来る距離ではない。


 それに、仮にどうにか出来たとしてもなぜこの辺りだと当たりを付けて張っていられたのか。

 ブリタニア王国の方が、以前サンが関わっていたとしてディアボロスの脅威を考えるのであれば危険度が高いし、彼女達の親友であるエリンもいるとあって優先順位は高いはずだ。

 なのに、その方向とは反対……正確には、少し道を外れた場所であるここに来られているのはなぜか。


「なぁイラ……さっきの魔法って射程どの程度か分かるかぁ?」

「……使ったことが無いから分からないけど、目算で上空50メートル程度。高層ビルにも満たない高さだった。あいつがここに来られた速度から考えても、多分かなり近くで待ってたと思う」

「索敵スキルも駆使してってかぁ!? ったく、面倒だなぁ!」


 頭をガシガシと掻きむしりつつ、ミセリアは目の前で今から命のやり取りをするとは思えないほどニコニコしている幼女を一瞥する。

 その装いは痛すぎる、それでいてダサいヤンキーのようでありふざけているとしか思えないが、サンの情報から照らし合わせるまでもなく、ヒナのNPCの内の1体である事は分かる。


 彼女がなぜここにいるのか。

 それは、突如として意味の分からない理由でこの作戦から姿を消し、あまつさえ今も行方をくらましているレベリオの仕業だろう。

 それはもう良い、考えても仕方のない事だし、事態が解決する訳では無いから考えるだけ無駄だ。

 今考えなくてはならないのは、マッハという名らしいその幼女と自分、どちらが強いかという事だ。


(僕の今の装備はメインじゃない。使ってる武器もカスタム済みじゃない低レベル装備……。始末するだけだと思って抜かったな)


 いや、仮にメイン装備だったとしても、ヒナを含めて魔王一派の情報なんて無いに等しい。


 ラグナロク内では圧倒的な実力を有していたせいで、挑むのがバカらしいという意見で約一名以外のギルメン全員が同意しており、その結論に至らなかったのだろう他のギルド連中が彼女に返り討ちに合っている姿を見て引きつった笑みを浮かべていた。

 スキルに関しては対モンスタ―で固めているだろうマッハに負けずとも劣らない……。いや、むしろほぼ確実に有利を取れるだろう物を数多く所有しているが、それでも油断は禁物だ。


 相手の装備は全てがカスタムされていて、その実態は不明。

 仮に神の名を冠しているのであればこちらも神の名を冠しているメイン装備を着込んでいなければならず、そうでない場合はそもそも相手にすらならないだろう。


 そして、双子の姉が傍らでそう考えている時、同時に妹のイラも別の事を考えていた。

 すなわち、この状況でどうやったらメリーナを始末する事が出来るか……ということ。


(フィーネが加勢しても、お姉ちゃんと2人であいつを抑えるのが手一杯のはず。いや、もしかするとそれも長くは持たないかも。なら、その前にこの場から逃げる……? ありえない。顔が割れてるのに何もしないで逃げるなんて、そんなの負けたも同然……)


 イラは、己の姉以外の人間に負けるという事が何よりも嫌いだった。

 無論ゲーム中は何度も何度も暗殺対象に返り討ちにされてきたが、その時は決まって単独での行動だったのでそんな不甲斐ない結果に終わっただけだ。

 隣に姉がいれば……言葉を介さずともお互いの考えを共有出来る姉がいれば、この世に敵わない者などいない。本気で、そう思っている。


 魔王に関しては話が別として、相手は魔王どころかその魔王に飼われているNPC……つまり道具の1人に過ぎない。

 いや、後ろの少女も合わせると2人だろうが、武器を持っていないところから見るにこちらは戦闘には参加せず、ただの癒し枠かなにかなのだろう。なら、敵と数えるべきは目の前で刀を持っている1人だけで良い。


「お姉ちゃん、いける?」

「あぁ~? っと、おう。いつでもいけるぞ」


 その一言だけで、ミセリアはイラが何を言いたがっているのかを把握した。

 そして、すぐさま後方にいるフィーネを大声を出して呼び戻し、自分に加勢するように命令する。

 ギルマスに対して……と思うかもしれないが、緊急時なのでフィーネ本人もあまり気にした様子もなく武器を構える。


「作戦はあるのかい?」

「僕とお前であいつを止める。数分でも良いから抑えられれば、イラが任務を完了させる」

「おっけ~。なら、楽勝」


 ふふっと笑ったフィーネは、次の瞬間にはミセリアと息を合わせてマッハへと襲い掛かっていた。

 初速は音速をも超え、まるで弾丸のような速度で肉薄するその姿を目で捉える事はほぼ不可能に近い。

 しかし――


「いいね良いね! 私はこういう戦いを待ち望んでたんだ!」


 既に神格化と鬼人化を発動しているマッハにとって、それは児戯にも等しい速度だった。

 2人の攻撃を一瞬で刀で弾き返すと、そのままニコッと笑みを浮かべてその体を真一文字に斬り裂く。

 元々本気でダンジョン攻略に臨む気だった彼女が持っている武器は普段から使っているメイン武器。それも、ヒナを救出する為に持っていた時と同じもので、その攻撃力はラグナロク内でも類を見ない程高い。


 そこに神格化という強力無比な身体能力強化スキルと、鬼人化でさらに上乗せされた身体能力。

 幼い少女の振るう一刀は、一瞬で2人の武器を根元から叩きおり、その体を上半身と下半身から一刀両断に切断する。


「……は?」

「……こりゃ驚いたね。想像以上だ」


 ミセリアはフィーネから借りているそこまで強くない装備だが、それでも適正レベルは85と、中堅プレイヤーのそれよりは強力な物だし、マッハがワラベに貸した武器達よりも強力だ。

 フィーネは当然ながらほとんどメインに近い予備の武器を持っていたにも関わらず、その結果は惨敗。いや、勝負の舞台にすら立たせてもらえなかった。


 驚愕に目を見開き、すぐさま体を“再生”させてから体勢を立て直す。

 根元からポッキリと折られた武器の残骸をポイっとその辺に投げ捨て、遥か後方で同じように信じられない物を見るような顔をしているイラに視線を向ける。こっちは気にしないで良いから、さっさと任務を遂行しろと目線で訴えたのだ。


「けるの話じゃ、HPが残ってても体が別れたら死ぬって事だったんだけどなぁ……。やっぱりあんたら、なにかしてるよね? 斬った感触ないもん」

『……』

「動きもなんだか素人っぽいっていうかさぁ? 剣士舐めてるの?って言いたくなるくらいお粗末な動きだし~。もうちょっと鍛えた方が良いんじゃない?」


 刀をトントンと肩に乗せながら、少しばかり期待外れだとガッカリするマッハだったが、決して油断はしない。

 確かに動きそれ自体はお粗末だが、ブリタニア王国で戦った騎士団の者達よりは強いことは明らかだし、それになにより、2人が持っている武器や着ている服は明らかにラグナロク産の物。

 つまるところ、自分達と同じように課金アイテムを持っている可能性もあるという事だ。


 課金アイテムの中には時間を止める物や装備の効果を一時的に無視する物。魔法やスキルの効果を全て無しにするものなど、本当に色々ある。

 課金アイテムで出来ない事は無いのではないかと思うくらいなので、警戒するにこした事は無いし、警戒しすぎるくらいがちょうどいい。


「ま、斬ってみれば分かるか」


 だが、マッハはケルヌンノスやイシュタルと比べて格段に考える事それ自体が苦手だった。

 簡単な事ならいざ知らず、考えても2分経って答えが出ない事に関してはそれ以上考えるのは止めるようにしているのだ。そんなもの、考えるのが得意な他の2人に任せていれば良いだけだ。


 ヒナに頼る事は出来ればあまりしたくないし、彼女を守るのが自分達姉妹の役目だ。なのに、守られてばかり、甘えてばかりの現状に、一番納得していないのはブリタニア王国の一件で失態を演じた彼女だ。


(ヒナねぇの役に立たないと……)


 いや、違う。

 役に立たないといけないのはそうなのだが、そうでは無い。ただ家族として、彼女を脅威から守りたいだけだ。

 そしてその脅威とは、まさに今目の前に立ちはだかっている者達で、自分にはそれを退けるだけの力がある。それを、今存分に発揮する。


『超暗殺術』


 人間の種族に対して与えるダメージが倍になる代わりに、モンスターに与えるダメージが半減し、与えられるダメージが倍増するスキルを発動し、目の前の相手にどれだけのダメージが入るのか。それを確認する。


 しかし、そのスキルの発動に一番驚いたのはミセリアだった。


「はぁ!? なんで魔王の道具風情がそんなもんスキル持ってんだよ! そりゃ私らの専売特許だろ!」


 ヒナを始めとした多くの上位プレイヤーの多くはPKという手段には基本的に手を染めず、ゲーム本来の目的であるモンスターの討伐に力を入れていた。

 なので、モンスターを相手にする時は不要にしかならない超暗殺術というスキルは、彼女達のような人殺しの集団以外が手に入れる事はほぼない。

 いや、実際モンスターを相手にするプレイヤーは手間がかかるのでそんなことはやらないだろう。


 だがしかし……そう、ヒナは違う。

 それが対プレイヤー相手にしか効果を及ぼさないようなスキルであろうとも、ラグナロク内に存在し、クラス固有スキル等の制限がない限りは必ず習得し、姉妹の誰か。もしくは自分自身に与えてきていた。

 ヒナは、そういう稀有なプレイヤーだったのだ。


 だが――


「あ? おいお前。誰が道具だって?」


 今はそんなどうでも良いことを考えている場合では、無かった。


「マッハねぇ、あいつ殺して」

「うるさい。そんなこと分かってる。強化魔法」

「ん」


 そのやり取りは、傍で聞いていたメリーナが2人のあまりの変わりように背筋を震わせ、全身を悪寒が駆け巡り、瞬く間に鳥肌を立たせるほどおぞましく、憎悪と怒りに溢れていた。

 そしてそれは、その殺意と怒りを直に向けられているミセリアでさえも同様だ。

 否、彼女の場合、単なる道具と決めつけて侮っていた存在に圧倒的な力の波動と言葉にするのも恐ろしいほどの強大な殺意を向けられ、思わず上ずった声を上げていた。


「なっ! なんなんだよお前!」

「っ! お姉ちゃん!」


 気が付けば、密かに気配を消してメリーナに向けて魔法を放とうとしていたイラは、そう言って姉の背中を突き飛ばしていた。

 その直後だった。イラの顔が……否、全身が、まるでサイコロステーキかのようにバラバラに細かく切断された。


『龍王の怒り』


 全身から白い煙を発したマッハは、いつの間にか彼女達の背後で刀を振って佇んでいた。

 ミセリアとフィーネがその事に気付いた次の瞬間にはスキルが発動され、彼女達の体はキャベツのみじん切りのような細かい破片となって地面へと転がる。


海洋神のポセイドン逆鱗 裁きの一刀』


 第9回個人イベントでの優勝賞品としてヒナに配布されたスキル。その効果は、対象のHPを強制的に5割強削る代わりに自分のHPを2割削るものだ。

 もちろんその強制的に減らされる5割強の中に、武器による攻撃力増強やスキルによる補正などは含まれておらず、ダメージを計算する時は対象のHPの5割強という部分が固定化された数字として最初に弾き出され、そこから武器の攻撃力や使用している強化のスキルや魔法の効果が上乗せされる。


 ただし、このスキルは神の名を冠している武器を使用している時でないと発動できず、また使用している武器の耐久値を大幅に減らしてしまうという弱点もある。

 耐久値がない場合は、再度発動するまでに10日というペナルティが付与される。

 その為あまり乱発していると瞬く間に神の名を冠している貴重で強力な武器が砕けて使い物にならなくなってしまうのだが……そんな事などどうでも良いと言わんばかりに、マッハは使用した。それ程までに、彼女の怒りは凄まじい物だったのだ。


「やっぱり斬った感触がほとんどない。あんたら、体の内部の時間でも止めてんの? 心臓の音、聞こえてんだけど? 死んだふりとか見苦しいだけだから止めてくんない? 弱いくせに偉そうにすんなよ」

「『…………』」


 つい数分前まで楽しそうに「救世主登場~」などと、ふざけたことを言っていた少女とは思えないほどドスの利いた恐ろしい声音に、バラバラにされて再生するのを拒んでいた3人はどうすればこの状況を打開できるのかを考えていた。


 無論『龍王の怒り』というスキルそれ自体はミセリアもフィーネも所持しているので使えない事は無い。

 流石に人1人を一撃で死に至らしめるようなふざけた火力は出ないまでも、それに近い事なら出来る自信があった。

 しかし何より脅威なのは、自分達でさえ目で追う事の出来ない圧倒的なマッハの移動速度と剣速。

 何より、人間では決してできないような激しい感情の吐露と放っている圧倒的という言葉も生ぬるいほどの殺気だ。


 何度も何度も、それこそ数えるのも面倒になるほどの人数を殺してきているフィーネ達でもここまでの殺気は出した事が無いし、仮に出したとしても、普通の人間であればどこかで理性のブレーキがかかって自分の気持ちとは裏腹に冷静になってしまう物だ。


(ばけもんかよ……。普通てめぇの殺気で死ぬっての……)

(これは……どうやら、舐めすぎてたらしいね……。レベリオの言う通り、私達は魔王に対してあまりにも無知って事か……)

(物理的な攻撃だから助かってるけど……これ、魔法だったら多分死んでる……。これを普通の剣士がやってのけるって……どんな火力してるの……?)


 3人とも体の原形を留めていないほど、そして元の形が分からない程細かく切り刻まれ、その臓物で周辺の緑が真っ赤に染まっている。

 しかしながら、その場にはドドドと地面が揺れるような激しい怒りの感情だけが溢れていた。


「お前らみたいな弱くて矮小な存在の口からヒナねぇの事が出てくるだけでも虫唾が走る。でもお前らはそれだけに飽き足らず、私達の事を道具だと……? お前らみたいな低俗な輩の考えとヒナねぇの崇高で尊い考えを一緒くたに纏めんなよこのクズ共。私らみたいなNPCを道具としか思えないお前らと違って、ヒナねぇは私達を本物の家族として扱ってくれるんだよ。人らしい扱いをしてくれるし、ちゃんと妹として扱ってくれる。お前らに私達の事を語る資格は無いし、ヒナねぇの事を語る資格はもっとない。どうせ理解できないだろうけど言っといてやる。私達は、ヒナねぇの家族であり、妹だ。誰がなんと言おうと、それだけは変わらない。道具なんかじゃないんだよ」


 3人“だった”体の一部を持ち上げてそう言うと、マッハはその細かな肉片すら再び切り刻むべく刀を構えてスキルを発動させる態勢に入る。


 しかし、その前にその場にパチパチと場違いな1人分の拍手が巻き起こる。


「そうそう、ほんっとあんたらってお姉ちゃんや妹ちゃん達の事、なんも分かってないよね。道具とか、そんな固定概念に縛られてるところとか、マッハちゃんを早い段階で雑魚だと決めつけてろくに警戒もしないところとか、ほんっと愚の骨頂。その可愛らしい姿と尊すぎる顔、愛らしい言葉遣いを聞けば、それだけでもう天にも昇るような気持ち……いや、彼女の持ってる刀を見た段階で彼女が強敵だと気付けない時点で、あんたらにはそこまで期待する方が酷か。あ~あ、見る目ない奴ってこれだから嫌になるわ~。お姉ちゃん以上に尊くて、可愛くて、強くて怖くて優しくて、愛する事の出来る存在なんてこの世界にいないっていうのに、それが一向に分からないなんて可哀想に。まるで、サンタクロースの存在を知らない幼い子供みたいに可哀想。あんたたちは、クリスマスって存在も、クリスマスプレゼントっていう素晴らしい物の存在も知らずに人生を謳歌する寂しくて虚しい人間なんだよ。あ~あ、ほんっとに可哀想」


 なぜか下半身を露出し、べったりと濡れている指を恍惚とした表情で眺めながら優雅に木の陰から現れたその人物は、誰あろうマッハ達にこの場の事を教えたレベリオだった。


 そして、彼女は続けた。


「愛するって事、あんた達にはどういうことかも分かんないんだよね。愛を知らないってどれだけ可哀想なんだろう。可哀想すぎて、咄嗟にいい例えが思い浮かばないくらいには可哀想って言えるね。マッハちゃん達もそう思うでしょ? あぁ、答えなくて良いんだよ? 私は愛するって事がどういう事か分かってるのか。そう言いたいんだよね、うんうん、分かる。人に教えを説いてるのに、自分がその事について理解してないんだったら意味ないもんね。そう、だから私が愛するって事がどういう事か教えてあげるよ」


 ふふっと笑ったレベリオは、突如としてその場から姿を消した。

 そしてその数秒後、メリーナの背後へと現れた。その瞬間、マッハは人生で初めてと言えるほどの、星が揺れるほどの怒号を上げた。


 メリーナの体を、真っ赤に濡れる銀色の物体が突き抜けていたからだ。

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