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黒い鴉は夜を啄む  作者: 月夜ノ歌
12/12

我牟


 犬は人に縋る

 人は神に縋る


 では、神は何に縋るのか_?




警察署の外に出る

空はどんより曇っている…?


しかし、遠くは明るかった



不機嫌そうな黒スーツの若者が、男を羽交い絞めにしながら通り過ぎた

犯人を逮捕した刑事さんだろうか?

後から続いた女性警官さんが、笑顔で会釈してくれた


『 待て 』



男の刑事さんが言った


「みんな、なるべく息をするな…」


「え?」


私は、露骨に頭の上にハテナマークを出していた ”?”


「その人の言う通りに」


魔女の弟子さんも口に一本指を立て、囁くようにそう言った



「うわー 久々に見たや」


女刑事が真上を見上げながら、言う


私も見上げた。




空に…黒い点…?


え?人??


フライングヒューマノイド???



「あっ、コレって…」



私は唐突に思い出した

まるで頭をまさぐられた感覚を覚えながら…



【 異越者 】


一般的には、そう呼ばれている。


ある国、ある人々によっては神だともされている


前兆はあるのか、あるようでないのか

彼らは突如として現れる、あのように天空に


そして、突然消える。


何も起こらないのがほとんどだが


昔、5体の異越者が観測された際に

彼らが囲んでいた街が、消滅した

街の下が綺麗な楕円形にカットされ

そこにいた生命体、有機物、もちろん人が

全員、同時消滅した。



ポタッ ポタッ


待てと、私達を静止した男刑事さんが 物凄い汗を掻いている…


「ぐっ…ふー ふー」


なるべく息をするな、と言った彼の呼吸が粗い

おそらくは、抑えられないのだろう


恐怖? だろうか、しかし 必死に息を殺そうとしている

私も、ソレに釣られて息が苦しくなってきった



「だっ!!! 放せッ!!!!」


刑事さんが抑えていた男が逃げ出した


道路に向かって階段を下り、走り去ろうとしている


刑事さんは立ち尽くしている、目線ですら追っていない


「あっ!先輩!!」


女性の刑事さんは反応している




「ハッ!ハッ!ハッ…! やった!!」



ガツン!!!!!!!



車だ


黒い、大き目の車

ああいうのを何と言うのだろう?


車には詳しくない



とにかく、その車が物凄い勢いで 逃げた男を撥ねた


男の身体は、凄い勢いでクルクルと回り、ぐしゃっと物凄い体勢で地面に落ちた


一目で生きてないのがわかる様子だった



車の扉が開く



「我 牟」



あっけに取られている 私の身体が何かに包まれ

宙に浮く



「しまったっ!」


弟子さんと一瞬だが目線が合う


「木戸さん!!」



私はそのまま、見えない何かに包まれ、引っ張られ 車の中に吸い込まれた



車の中から降りて来た数人が、銃を

銃といっても、戦争映画で見た事がある突撃銃のようなモノを持って


通行人たちに向かって乱射した



「ひぃぎゃあああああああああ!!!!!」



私は車に押し込められ、もう外の様子は見えないが

人々の悲痛な声は聴こえていた



「くっ」


魔女の弟子は、咄嗟に花壇を遮蔽物として身を隠す



「先輩!先輩っ!! ”アレは”もう消えてます!!!! 先輩ッ!!!!!」


男性刑事はその場にへたり込み、深く息をしている

汗の量はおびただしく、このままでは脱水症状になりそうな様子だ

後輩刑事の呼びかけに反応する余裕はなかった



「行くぞ、乗れ」


呪文を唱え、依頼者『木戸』の拉致に成功した男は、乱射している者達に命令する。


「出せ」


車は猛スピードで発進する



魔女の傭兵は、既に飛び出している


「先輩!私は先に行きますからね!! 救急車の手配!!!! すぐにッ!!」


銃声を聞いて飛び出して来た警官に指示した



轢き逃げ銃乱射の黒い車を、傭兵と刑事の女ふたりがチェイスを開始した。





上空に、【宙の使途】の姿はない

よく晴れていた



続。

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