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迂闊探偵を殺さないのは難しい  作者: 黄鱗きいろ 赤柴紫織子
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第十五話「黄鱗きいろ」

 とにかく……殺害現場の目星がついたのであれば、行ってみる価値はあるでしょう。

「裏手の小屋がジビエの解体小屋ですか?」

「ええ。それが?」

「行ってみましょう。被害者はそこでバラバラにされた可能性があります」

 解体小屋ならそういう設備も整っているでしょうしね。


 ――というわけで解体小屋です。

 渡り廊下で繋がっているとはいえ、暴風雨の中の行軍によって私含め全員がぐしゃぐしゃの濡れ鼠です。クソが……。

「解体小屋に鍵は?」

「オーナーが持っていたはずですが……」

「なんで早く言わないんですか!」

 ホーリーシット。

 ここでもし扉が開かなければ、我々はもう一往復濡れ鼠ではないですか!

 ぼんやり喪符松さんを罵倒しながら解体小屋のドアを引きます。あっさりと開きました。

「鍵が開いている……」

 ああくそこれはこれで面倒です。

 これでは解体小屋には誰でも出入りできたということになってしまいますから。

「ぐぬぬ……」

 歯軋りをしながら解体小屋に入ります。

 まず目に入ったのは、解体小屋の隅にまとめられたオーナーの服でした。

「一応聞きますが、これはオーナーの服で間違いありませんね?」

「はい。こんな悪趣味な成金みたいな服は間違えようがありません……」

 結構ズバズバ言いますね魚囃子さん。事実ですが。

 悪趣味服一式は几帳面に畳まれていましたが、広げてみると、胸部にべっとりと血痕がありました。

 殺害時についたものか、もしくは血抜きの際についたものでしょう。

 しかしこれではっきりしました。

 少なくとも一度、オーナーの死体はここにあった。そしておそらく解体場所もここでしょう。

 問題は殺害場所はどこなのかですが……素直に考えるならこの解体小屋なのでしょうか。それとも――

「ん?」

 そこまで考えて、違和感に気付きました。

 私は解体小屋を見渡してみます。肉を吊り下げるための金具や、切り分けるための台があります。

 ですがそこには一滴も、新鮮な血痕は残されていなかったのです。

 シャワーで洗い流したにしても綺麗すぎます。

 これは一体どうしたことでしょう。

 血抜きは他の場所で行ったということでしょうか?

 それとも――死体から抜いた血を、犯人がわざわざ持ち去った?

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