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迂闊探偵を殺さないのは難しい  作者: 黄鱗きいろ 赤柴紫織子
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第十四話「赤柴紫織子」

 ……落ち着きなさい三橋蜂蜜。深呼吸です。

 思った以上にこのペンションにはアホとバカ要素が煮詰められているので片っ端からツッコミを入れてはキリがありませんよ!

「そうなると、犯人は喪符松さんが冷蔵庫を開けるのを狙っていたかもしれませんね」

 反応を伺います。

 口を開いたのは魚囃子さんでした。

「じゃ、じゃあ喪符松さんに罪を擦り付けようとしたってことですか!?」

「……。その可能性があります」

 私が一瞬言い淀んだ理由は、『喪符松さんは犯人最有力候補』と考えていたからです。

 自作自演でも可能ですからね。自分で細工して、あたかもヒエヒエ生首を発見したフリしてもおかしくはありません。

 ですが、心証――というものがあります。

 気分を害されたら協力してくれなくなります。だからあえて、『喪符松さんは第一発見者』という以外の発言はしていません。

 普通に考えて嫌じゃないですか。お前犯人だろって断定してくる人間の話を聞くの。

「……ところで、これはなんですか? 昨日ありましたっけ?」

 冷蔵庫の二段目にぶどうゼリーがあるんですけど、昨日はそんなもの置いてありませんでした。

「あ、それわたしの。夜食用に冷やしていたやつ」

「ちょおい!!!!」

 邪気さんと魚囃子さんがビクッとしていました。顔をしかめ、邪気さんが苦言します。

「いきなり大声を出すんじゃない!!」

「くぅ〜っ……むぎぎ……すいません……」

「悔しさが隠しきれてませんよ……」

 やかましい。等々等期さんだって同じシチュエーションにあたったらこんな声出しますよ。

 なんで!! 懲りずに!! 冷やしとるんじゃ!! 夜食を!!

 叫びたくもなるわ!! ドアホ!!

「隣の小さいワイン瓶は?」

 すっごくどす黒いですけど。こんな赤ワインある? 血でも入ってるんじゃないですか?

「僕です」

 えへ……と等々等期さんが頬を掻きながら言います。

「あほんどぅら! 生首が入っていた冷蔵庫にまた食べ物ぶちこむ馬鹿がいるけぇ!」

 正気かお前ら!?

「わ……。ハニーさん、山梨ご出身なんですね」

「しゃらうるせえ!!」

「ぴゃ!!」

 魚囃子さんが涙目になりましたが知りません! あとハニーってまた言った! 怒りますよ!?

 私は息を整えます。

「……私の常識がおかしいんですかね……。音猫さんの生首見て、びっくりする以上のことなかったんですか……」

「確かにびっくりしたけども……」

「びっくりはしました」

「びっくりした」

「びっくりしましたねえ」

 アホども!!

 音猫さん、もしかして――誰に殺されてもおかしくない人だったのでは?

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