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迂闊探偵を殺さないのは難しい  作者: 黄鱗きいろ 赤柴紫織子
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第十二話「赤柴紫織子」

 ……そういえばと思いモキョ先生のノートを開きます。

 彼のクセなのか、気になることを単語でメモしておくのです。それを見て思い出すときもあれば思い出さないときもある。適当に黒板を写す学生か?

 ヘッタクソなイラストが描かれています。……たぶんこれは人間ですね

 その横には同じくヘッタクソな字で『けっぱん』と残されています。血斑のことですかね。血ぐらい漢字で書け。

 血斑……。ざっくり言えば、肉に物理的なストレスがかかりシミのようなものが出てしまうことです。

 それが認められたということでしょうか。

 切断面はすでに酸化が始まり黒ずみかけています。が、なるほど確かにぽつぽつシミがありますね。

 言えよ! そういうのあるって!

 メモじゃなくて! 気づいた時点で口頭で!

 モキョ先生そういうところありますからね。自分が見ているものと他人が見ているものは同一だと思っている部分があります。三歳児か?

 血斑ということは……横たえさせる横臥方式ではなく、吊り下げ方式で放血を行った可能性が高いですね。

 あー……じゃあ心臓と鎖骨部にあった傷は、致命傷ではなくて血抜きのために作ったとなりますね。

 本当の死因はまたあとに考えます。

「そういえばこのペンションモブ……ジビエが出ますよね?」

 頷いたのは邪気さんでした。

「イノシシが出る。今は禁猟だが、冬にはマスター自ら狩ったものが出ていたんだ」

「へえ」

 夏にイノシシ狩ったことあるんですけどあれガッツリ禁猟シーズンだったのでは? まあバレなければセーフってことで……。

 音猫さんが狩猟するなら解体もできるはず。ならその一式もあるでしょうね。裏手にある小屋が解体部屋だったのでしょうか?

 ……いえ。音猫さんが解体できようが今はできまいがどうでもいいんですよ。

 ねえ?

 切り分けられた腕に語りかけるぐらいには疲れています。

「音猫さんはひとりで狩猟に? それとも誰かと?」

 考えが正しければ、この容疑者の中に狩猟および解体経験者がいるはずですよ。もしくは音猫さんと一緒に狩りをしていた人間が。

 だって、素人がここまで完璧に血抜きなんてできるわけありませんから。

 だからさっさと解体した人は口を滑らせてください。

 この事件と嵐が終わったら私はさっさと帰ってポテトチップス食べながらユーチューブ見たいので。

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