星の数
「星の数」
星の数ほどって、どのくらい?夜空を見上げてみても、おおよそそんなに沢山の星は見えないのに。
「あの星って、誰だと思う?」
日が沈み、空のオレンジが消えていく。そんな時に君が尋ねた言葉だった。
「どれ?見えないよ。」
「ほら、あそこに一つだけ、あるでしょ?」
「その星が何座か。ってこと?」
「違うよ。んー、そうだな。例えば、あの星は君だよ。」
意味がわからなかった。でも、夜が更けってもう少し星が見えてきた時に、不意に分かったような気がしたんだ。
ほら、星が瞬いている。あの星は、私。あの星は、私の家族。あの星は、先生。…
なら、ここから見えない星たちは、私の知らない人たちなのだろうか。たとえ見えていなくても、必死に輝いているはずなのに。
「違うよ、あの星は、きっと私じゃなくて…」
星なんて五万とある。人なんて五万といる。
でもそんな中で、一番最初に見えたあの星を自分だと言ったくれたのなら、
嬉しいけれど、もっと周りを見て。なんて、
今の自分だと言ってしまいそうだから。
静かに、
「そうだね。」
とだけ。心の中で唱えた言葉は、私の優しさとして伝わっただろうか。