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星の距離


「星の距離」




あの星は一等星。手を伸ばせば届きそうなほど、ただ眩しく光っている。


「ねぇ、何処へ行くの?」


「ずっと遠くさ。」


「どうして。」…


どうして、置いていくの。手を伸ばせば掴めただろうか。掴んで、決して離さず、その温もりをずっと感じていられただろうか。今はただ遠くから、その残光だけを追いかけていて。

空気の澄んだ冬の夜だ。星がよく見えた。でも実の所、弱視からほとんど何も見えてはいなかった。空は暗闇で、何もなくて、空虚で、この空の先なんてなくて。だから…何もなくて、行くこともできないなら、それは行き止まりだ。私の世界は行き止まりで覆われていた。でも、そんな中でも、きっと見える星もある。一際輝く、そんな星が。手を伸ばして、空を掴む。もちろん何も掴めなかったけれど、遠くで輝くその星の距離だけ、私の空も広がった気がした。


ねぇ、あなたはどこにいますか。遠くに居ても、きっと近くに感じていて、いつも少し、温もりを分けてもらっている。



空を見上げ、星を見つけた時、ふーっと溜息をして曇った弱視用の眼鏡をそっと外して、やっぱり何も見えない空に。


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