序章-1 崩れ行く日常
ときは2060年、故郷の地球を捨てた日本人は遠く離れた惑星にたどり着いた。人類はこの星を新地球と名付け、およそ500年間新しい文明を築いていた。しかし、新地球に住んでいたのは人間だけではなかった…
テレビ「ニュースです。新都大学の山崎昌平教授は地下世界が存在するという論文を発表しました。山崎教授によると3年にわたる調査で十分な証拠が発見され、さらには現在も生命体がいる可能性が高いとのことです。」
こうして地下世界の調査が開始した、、、
3ヶ月後、人類は居住域の3分の1を地底人によって奪われた。突如として地上世界に侵攻してきた地底人に対して抗うことができず、人類は後退を続けた。しかし、徐々に戦闘態勢が整い、各地で対抗できるようになってきた。そして互角な戦闘を繰り広げられるようになり、両者は膠着状態に入った。
まだ、戦火の届かない街、弘道寺市
二人の少年 佐向爽太と御宿陽樹は今までと変わらない日常を送っていた。高校からの帰り道
佐向「貴崎市はまだ守りきれてるって。」スマホを見ながら
御宿「そんなこと言ったって全然実感わかないなー。地底人と実際に会ったわけじゃないし、ほんとにいるのかよ。」
佐向「知らないよ。でも本当にいるなら会ってみたくない?」
御宿「冗談だろ。絶対殺されるぞ~」
佐向「そりゃそうか…、ん?あれ南保じゃない?」
指差した先には同じクラスの女子である南保悠香が道の脇で立っていた。
声をかけようとする佐向に対し、御宿は「やめとけよ、南保が一人でいるときはろくな事がないぜ」と止めたが、佐向は聞いてなかった。南保は普段は明るい女子なのだが、ときどき不思議な発言をしたりする。そして、一人でいるときは変わった行動をとっていることが多いのだ。
南保「あ、佐向くんだ~。部活の帰り?」
佐向「そうそう。何してるのこんなところで?」
南保「ここにいると面白いことが起こる気がしてね、ちょっと待ってるの。」
佐向「へーそうなんだ。何が起きるんだろ…」
横から御宿が小声で「ろくなことないから早く帰ろうぜ。」
佐向「そう?絶対面白いってば。」
御宿「そんなこと言ったって、こんな空き地で何が起きるんだよ…UFOでも落ちてくるのか?」
空を見上げる。すると何かが空から落ちてきているのだった。
御宿(まじかよ…ほんとに落ちてきた)「爽太、上!なんか降ってくるぞ!」
佐向「え?うわああああああ」佐向は御宿に引っ張られながら物陰に隠れた。落下物は激しく地面に叩きつけられ、けたたましい音とともに周囲数メートルの地面がくぼんだ。二人が物陰から様子を伺っていると南保が落下物に近づいているのが見えた。
御宿「隕石か…?」横を見ると佐向はもういなかった。
佐向「隕石じゃなさそうだね。」
南保「うん…、これは…生き物だよ」落下物が立ち上がった。
御宿「なんだ、こいつ!でかっ!」身長2m近くあるが細身で異様な風体をした人間?であった。
佐向「宇宙人…?」
南保「あなた誰?」
謎の生命体は少し三人の方を見てから
??「えっとな…俺はエマルっていうんだ。ここはどこだかわかるか?」
南保「北尾州の弘道寺市よ」
エマル「なら、予定通り到着だな。あっ、そうそう俺は君らのような人間じゃなくてカッシーダだ。」
佐向(ほんとに宇宙人か、これはすごいな~)
南保「どこから来たの?」
御宿「っていうかなんで言葉が通じるんだよ?」怪訝な顔をしてエマルと名乗る人間の方をみた。
エマル「そりゃー、だいぶ勉強したからなあ。大変だったぞ、漢字を覚えるのは。」といいながら小声で「おーい聞こえるかー?」と誰かに呼びかけていた。
御宿「いやそうじゃないって…」
エマル「しかし、人間の世界はほんと明るいな~まぶしくて頭がクラクラするなあ」少し伸びをする
しかし、3人は驚きのあまり凍りついていた。
佐向「人間の世界って…もしかして地底人!?」
エマル「ああ。こっちでは俺らのことをそう呼んでいるらしいな、ハハ」3人は同時に叫びながら逃げ出した。佐向と南保は同じ方へ逃げたが、すぐにエマルに回り込まれて口を抑えられた。
佐向(はやっ!)
エマル「大丈夫だ。俺は君たちに危害を加えたりするつもりはないから。」
南保「ほんとう?」エマルが頷く
すると向こうから別の(少し大柄な)地底人に持ち上げられた御宿がわめきながらやってきた。
エマル「いや~すまない、サイモ。」
サイモ「手のかかるやつだ。もっと慎重に正体を明かせばいいのに。」
エマル「さっさと合流できてよかったと思うよ」
佐向「仲間?」
エマル「俺の連れだ。サイモという。」サイモが頷いた。
エマル「何を隠そう、俺たちはこの戦争を終わらせに来たんだ…」
つづく
お読みいただきありがとうございました。
もともと漫画にしたかったものなのでト書き風にしてみました。
続きもぜひ読んでください