夢とは残酷である
夢とは残酷である
大きく壮大でいて、宝石のような輝きがある。
その輝きを見たら最後、亡者となり果て、無謀な旅に人生を捧げるのだ。そして僕らは希望の朝に家を出て、遠くに見える輝きに向かって、歩いていく。地図は無く、道に迷い、わずかな方向感覚と役に立たない人の言葉を頼りに進んでいく。ぬかるみにはまり、崖から落ち、怪我をして人に助けられる。
昼は長く旅はそう続かない。時には道草を食って、意味のないことに興じ、時間を使う。気づけば、目先の小さな金の山に向かって歩いている。逸れた道を戻るのは辛く、多くのものはそこで旅をやめ、手に入れた金で家を買い、その地に留まる。
それでもなお、諦められない強欲な人間もいる。彼らは道なき道を歩き、草の根をかき分け道を作る。そして、彼の歩いた道を辿り弱きもの達が安全に道を渡っていく。
夕焼けに染まる頃、傷だらけの彼らはやっとこさ、夢に辿り着く。そこには想像していたものはあったのかは分からない。しかし、最後にひとつだけ言えるとしたら、彼らは次の輝きに向かってまた、旅を始めるのだ。
そして夢は、日が沈んだ後も無慈悲にも輝き続けるのだった。