カードマスター宿で絡まれる
武器屋を出るきに店長のワイドに聞いたのだが、後3〜4時間もすると日が落ちるらしい。夕方には街の門が閉じられ朝まで戻って来れなくなるそうだ。俺が行こうと思っている東門までは1時間位掛かるらしいので、1〜2時間位は活動出来そうだが、今日は疲れたので宿で休む事にした。
宿屋は北側の方が比較的治安が良いとの事だったのでそこで探す事にした。宿屋の多くは食堂や飲み屋と一緒になっている。
その中で人が少ない店に入った。繁盛してる店の方が良い店という考え方もあると思うが何をもって良いと判断するかは色々だと思うし、今日は静かにゆっくり明日からの事を考えたかった。
「今日、泊まれますか?」と店の女将さんと思われる女の人に声を掛けると「はい、大丈夫ですよ」と微笑んでくる。何泊するか聞かれたのでとりあえず今日だけにしておいた。どんな所か分からないし荷物が多ければ連泊の方が楽なんだろうけど俺はカードブックに入れる事が出来るしね。
「食事はどうしますか?素泊まりで300ガル、朝夕2食付きで400ガルです」と聞かれたので食事付きでお願いした。
食事はすぐ出来るとの事だったので部屋に一度入って広さも居心地も悪く無いなと確認して食堂にやって来た。夕食のメニューは日替わりという事だったが、今日のメニューはマダラスネークの焼き串とイライラ鳥のスープと麦飯だった。思いの外、上手くこの宿は今のところ当たりだった。食事を運んでいる女の子は女将さんの娘なのか目元が似ていて笑顔もそっくりだった。
なぜこの店が流行って無いのか不思議に思っていると3人の男達が入ってきた。
「あれ〜珍しく客がいるよ」といやらしいニタニタ笑いを浮かべてこっちに近づいて来た。
女の子は「いらしゃ…」迎えようとして言葉が止まった。そして、「あなた達、他のお客さんに近づかないで」と怒りを滲ませながら言い放った。
すると男達は「ひでえ言い草だな、こっちは親切でもっと良い宿があるって教えてあげようとしてるだけなのに」と相変わらずのニタニタ顔で言っているのを聞き終える前に俺は「ここの宿が気に入ってるのでお気遣いなく」と食事を続けながら言うと、「おっと悪い」とわざとよろけて見せてテーブルの上の料理を撒き散らした。
「ほらほら、言わんこっちゃない」とまだ絡んで来るのでいい加減腹が立って、「いいからもう出て行け」と俺が言うと「は〜下手に出ていたら舐めやがって」とどの辺が下手だったのか分からないが、外に出ろと言ってきたので店に迷惑掛けないように素直に男たちと外に出るのであった。




