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カードマスターは服を買う

 検証を終え、ふと気付くと行きかう人々がちらちらと俺の方を見ている気がする。行動が不審だったかなとも思ったが、検証を終えた後もやはり視線を感じる。顔が違うからかなとも思ったが改めて見るといわゆる東洋人風な人も西洋人風な人も色々いるようなのでそこではないかな、というか耳がとんがっているエルフやうさ耳の兎人、ドワーフではないかと思われる小人もいるので顔立ちの違いは些細な問題であった。

 ではどうしてと考えた時、服装ではないかと思い至った。ジーパンにトレーナーはこの世界ではかなり浮いている。そこで服屋さんを探すことにした。しばらく行くとそれと思しき店を見つけることができた。店に入ると体格のいい人の良さそうなおばちゃんが迎えてくれた。


 「今日は何をお探しですか」と言ったところで優斗の服に目をとめて「あまり見かねない服だけど、うちにはそんな服はないよ」と申し訳なさそうに言ってくる。

 俺は「今日この街に来たんだけどこの格好はこの街では目立つみたいだから一般的な服が欲しくて」と伝えた。

 「道理でね、貴族様という感じでもないし冒険者とも違うと思ったんだよね。東の方は変わった服が流行ってるというからね。あんたも東から来たのかい?」というので「まぁ」と、もごもごしていると「ごめんごめん、余計な詮索だったね」と謝って俺の体格に合いそうな服をいくつか持ってきてくれた。靴、下着、ズボン、上着など3着ずつ購入した。ちなみにお金はカードから出すとまた驚かれると思って前もって3000ガル出しておいた。なぜ3000ガルかというと食堂で50ガル支払ったことから物価が日本に10分の1位ではないかとあたりを付けて30000円分のあれば買えるのではと思っていた。実際は1000ガルと思ったより安かった。水も10ギル取ってたし、水や食料の方が価値が高いのかもしれない。


 ところでさっき気になる発言があたことを改めて確認することにした。「この街に貴族や冒険者がいるんですか」と聞くと、「この町に住んでいる貴族様はいないね、代官はいるけど。このガディウス地方を収めているガディウス男爵は一番多きな街、アズーリにお屋敷があるよ、この街に視察に来られるのは年に数回あるかないかだね、冒険者は小さいけどこの街にもギルドがあるから結構いるよ」と教えてくれた。

 なるほど、今後のことを考えていたけどギルドがあるなら登録してもいいかも、身分証明にもなりそうだし、危ないことは無理としてもこのカード化の力があれば荷物運びなどは比較的簡単にできるのではと考えたのであった。



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