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カードマスターは優勝した

 「いよいよアルドガルドクランの決勝戦です」シルクハットに蝶ネクタイの派手な格好の司会の男が声高らかに宣言した。

 俺は柄にもなく少し緊張していた。


 「さぁ、まず登場するのは、なんと今回大会初出場、嘘か本当かアルガルを始めてまだ3か月という新進気鋭の挑戦者、相良優斗選手です」と俺の登場をうながしてきた。

 100人以上の観客からはパラパラと数名がおざなりに拍手をしてくれるのみだった。

それはそうだろう。何せ知名度0の新人が決勝まで来たのだからあいつ誰だってなもんだ。

 しかし、一か所だけ「パチパチパチ」と一生懸命に盛り上げようとしてくれる奴がいる。顔を見なくても分かる。このゲームを俺に勧めて始めるきっかけを作った幼馴染。岸川遥香だ。ちらっとそっちを向くと嬉しそうに笑顔で手を振ってくれた。俺は少し照れながらこの応援だけでも良いかと独り言ちした。


「続きまして一昨年の春期大会から6大会連続で優勝している~キングオブキング、チャンピオン清田修市ィィ~~~」

 するとさっきまでのパラパラが嘘のように「うぉー」という歓声ととともに大きな拍手が鳴り響いた。


 観客の期待は一目瞭然である。それも当然だ、アルドガルドクラン、通称アルガルはいわゆるカードゲーム、お互い40枚の手札から初めに場に5枚ずつのカードを出し、モンスターや魔法、トラップなどのカードを駆使してお互いのライフを削り合い、先に相手のライフを0にした方が勝ちというものだ。

 大会に優勝するとレアなカードがもらえたりする。その大会を6回も優勝している清田はもともとの強さもそうだが、他の選手が持っていないようなレアカードを手札に入れている。その中には一般の小さな大会では使用不可のような反則級のカードもあるが、今行われて大会は手札に制限なしのアリアリルールで行われている。


 しかし、俺はカードのレア度がすべてとは思っていない。もちろん強いモンスターやものすごい魔法を持っていれば有利なのは間違いないが、天邪鬼な俺はあえてレア度の低いカード縛りでやったりして戦略を鍛えていた。今大会も決勝用に残している戦略がいくつもある。決勝は清田と分かり切っていたから戦略は立てやすかった。有名過ぎるのも考え物だな。


 試合は最初チャンピオンの一方的な試合運びとなっていた。相手は無傷、俺はガシガシライフを削られる。しかし終盤もう一押しというところで相手のメインモンスターをこちらの手札に切り替えるトラップが決まってからは一気に形勢が逆転、そのままこちらの勝ちで決着した。


 「いやー負けた負けた、君強いね」と清田は握手を求めてきた。握手した手は疲れからかくやしさからか少し震えていたが、その表情はすっきりしたような表情で、言葉には嘘がない様だった。気持ちのいい男である。


 表彰式では清田にも賞金とレアカード3枚が贈られた。そして俺には1㎝位の厚みの封筒に賞金と書かれた物とカードにして大きな四角い本のようなものが贈られた。控室に戻り、遥香にお祝いの言葉をもらい家路についた。


 家に着き、まず賞金を確認した。厚みから100万円かなと期待しながら封筒から出してみると100万ガルと書かれた見たこともない紙幣のようなものが入っていた??確かに優勝賞金については明記されていなかったが、そういえばゲーム内でカードを手に入れたり手放したりするときの単位がガルだったので関係あるのかな?ゲームでしか使えない仮想通貨てことか。少しいやかなりがっかりしていてたが、気を取り直してもう一つの商品を確認することにした。


 包装を開いてみるとやはり本のようなものが入っていた。いわゆるカード入れかな。この中にレアカードが収納されているのかなと本を開くと確かにアルガルのカードのようだが普通は書いてあるイラストやカードの説明文などは見当たらなかった。


 ???ますます不審に思ってページを読み進めると1枚だけ文書が書いてあった。取り出して読んでみるとそこには「優勝おめでとう、あなたを優勝特典としてアルドガルドクランの世界に招待します」どういうことだと考えているとカードの中に吸い込まれていった。












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