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7:訓練の成果&学園の話

こんにちは。

初の戦闘シーンです。

頑張ったのですが読みにくかったり、意味が分からなかったりするかもですが、ご容赦ください・・・。

 異世界に来てはや1カ月の七月一日。

 梅雨も明け(こちらにも梅雨があった。ただ、人々はただ単に雨期と呼んでいた)、爽やかな風が気持ちい今日、私はとある場所に来ていた。

 

 「藍衣ここだよ~」

 「やっと、着いた。はあ、はあ、はあ」

 まだ息が上がっているものの、この距離を歩けるようにはなった。30しか無かった体力も今や、70である。これは、毎朝のランニングと、毎日の広大な屋敷の掃除の成果だ。

 

 王都中心区に位置する家から、約8キロ。王都北の郊外にそびえる、王都三大巨塔の一つ、国軍本部。その隣の新人訓練施設に来ていた。

 厳つい門兵がいる、正門をリィーノは、ギルドカードを見せて入っていく。

 「その娘は?」

 門兵が、リィーノに聞く。

 「私の従者よ」

 さらっと言ったリィーノに門兵は固まってしまった。

 ・・・・

 「おーい!ああ、これだめだ」

 リィーノが呼びかけても、反応がない。

 その様子を不思議に思ったのか、わらわらと迷彩服を着た人が集まってきた。

 「おいっ、そいつどうしたんだよ」

 「大丈夫か」

  

 声をかけている人は皆、見上げるほど背が高く、全身が筋肉でできているのでは?というような体つきだった。

 固まってしまった人に目を向けると、ゆっくりとこぶしを握っているところだった。

 って、いや、なにしてんの?

 その人はくるりと集まってきた人のほうを向いた。その動きは、見た目からは想像ができないほど軽やかだった。

 そして、こぶしを空に突き出し

 「おい、みんな!!聞いたか、お嬢についに従者だとよぉ!!!」

 元固まっていた人が叫んだ。

 「「「「「「「うぉおおおおおおおっっっ」」」」」」」

 大歓声だった。

 リィーノは、冷めた目線を一団に向け、歩きだした。私は、その背中を追う。

 「いやーお嬢に従者ができるとは驚きだわ、何があったんだい?」

 「いつ契約したの?お嬢は性格に少し難があるから、心配だよ」

 「ここに来たって事は、それなりに使えるのかな?」

 しかし、一団は、仕事のあるものを除きついてきた。四方からリィーノに質問のシャワーを浴びせる。


 「ああもう、あんたたちうるさいわよ!私は、用が出来たので行きます。付いてきてもいいけど静かにしていることが条件。分かったら返事!!」


 「「「「「はいっ」」」」」


 

  _________________________________


 「ふぐっ、あぐっ、がっ」

 「はーいちょっとおとなしくしててね」

 まずいことになった。いま私は、真っ白な部屋に連れ去られている。手足は縛られ、口枷が付けられていて、助けを呼ぶことができない。そもそも、助けを呼ぶ声が外まで聞こえるのだろうか。

 「はぁ、また俺がやんのかよ。嫌われ役は嫌なんだけどな」

 スゥッと壁の一部がスライドし、大男が入ってきた。

 「これはまた、弱そうな嬢ちゃんだ。とっとと終わらせるぞ」

 「はいはい、お嬢ちゃんいきなりで悪いけど、こいつを倒しなさい。じゃないと、あなたはここで死ぬ」

 陽気な声で、綺麗な顔で、その人は言った。冷たい刃の様な言葉には、やらなくちゃ死ぬ。そう思わせる何かがあった。


 縄を解かれた私は、とりあえず後ろに下がる。二人から距離を取る。相手は、強い。レースさんや凜子さんにはかなわなくとも、私では歯もたたない。

 「ああ、私の事は気にしなくていいよ。攻撃は絶対にしないから」

 女性のほうは、そう言って手をひらひらと振った。武器を持っていないというアピールだろうか。

 「おい、嬢ちゃんお前から来い」

 男のほうは、人差し指をクイクイとうごかす。さてどうしようか。相手は武器を持っていない。格闘技で戦うつもりだ。なら、

 

 藍衣は、一直線に走り出した。

 「ふんっ。所詮はガキか。つまらねぇ」

 相手の間合いに入る一歩手前、左手をギュッと握り引き絞る。

 そして、右へ飛ぶ!!

 

 真正面からやったって無駄だ。まず、予想外な動きをする。左こぶしを握った私が、まさか右利きでナイフを隠し持っていたとは思わないだろう。

 「はああああ」

 すばやくナイフを振るう。狙いは首。しかし、そんな攻撃が通じるはずがない。


 ぱんっ


 軽くあしらわれた。次、左手のナイフで男の左手を狙う。

 「遅い」

男は右に飛んだことに驚きはしたものの、余裕しかない。といった表情で

 向かってくる左手をひねり上げた。開いた胴に右ストレートが炸裂する。

 「うぐっ」

 倒れこむ藍衣。

 「はあ、もう終わりか?よくこんなんで、国軍に入ろうと思ったな」

 男は、そう言うと背を向けて歩き出した。


 痛い。凜子さんの回し蹴りに相当する痛み。肋骨が逝った感覚・・・でも、セットは完了した。状況は最高。不安なのはあの女だけ。

 「はあ、もう終わりか?よくこんなんで、国軍に入ろうと思ったな」

 ごめんなさい。正面戦闘は苦手なんです。この一カ月訓練してきたのは・・・

 3.2.1


 ズダーン


 かかった。私の仕掛けた罠に見事引っ掛かってくれた!!

 逃げられる前に確保。私が乗ったところで振り落とされるだけなので、しっかりと寝技を決める。柔道には疎かったのだが、凜子さんに叩き込まれた。

 「嬢ちゃん、俺を動けなくしたことは褒めてやる。だがなあ、ここからどうやって俺を殺すんだ。動けなくしたら勝ちじゃない。戦場では殺したら勝ちなんだよ」

 動けなくなった、男がそう言う。陽動だろうか、

 「ご指摘ありがとうございます。でも、うっ往生際が悪いですね。大人しくしてください。大丈夫です。審判さん首筋をよく見てください」

 人はしゃべる時ほんの少し気を緩めるらしい。喋り始めた私は相手が力を緩めたのに反応が遅れた。しかし、男が動いたおかげで明確な証拠ができた。


 女性がやってきて、男の首筋にはわずかに血の滴る細い糸と血が流れる一線の傷。


 後もう少し、気を抜くな。二人はおそらく国軍人で、これは抜き打ちテストかなんかだと思うけれど、何があるかは分からない。「想定外を想定しろ」これは、レースさんの言葉。相手をしてもらったときに言われた言葉だ。

 女性のほうは要注意だ。本当に何もしてこないとは限らないのだから。


 「これは、魔力の糸ですか。レース様の十八番ですね。確かに、これが通過すればこいつの首は落ちるでしょう。よろしい。模擬戦の終了を宣言する。勝者、ルルーク・アオイ」


 本当にただの審判だったらしく、女性は宣言をした。張りつめた空気が切れ、安堵と共に疲労と殴られた痛みが襲ってきた。アドレナリンが切れたらしい。激痛は、ひどくなっていく。誰かに治療を・・・立ち上がろうとして、よろけた。体勢を直そうとしても力が入らず浮遊感にさらされる。最近ようやく減ってきた意識を失う感覚。


 「嬢ちゃん大丈夫か・・・ておいっ」


 男のそんな声を最後に私は意識を手放した。


 「こりゃ完全に意識を失ったな。医務室に連れて行けばいいか?」

 「そうね。それでいいと思うわ。それにしても、初めてじゃないかしら。入団恒例行事であなたが負けるのは」

 「ああ。先が面白そうな娘だ。レース様も随分と簡単に技を盗まれたものだな」


 「それは違う」

 スッとドアが開き、当の本人ルノーク・レースが入ってきた。いや、ここではルノーク大佐と呼ぶべきかもしれないが。

 「「大佐、お疲れ様です」」

 軍式敬礼。をする二人。

 「ああ。楽にしていい」

 「失礼します。それで大佐、違うと言いますと」

 「その子は、藍衣は、自分であの技を見つけたの。考え、練習し、作った。相当努力したんでしょう。できた次の日は熱を出して寝込んでいたよ」

 「それはっ・・・とんだ才能、ですね」

 「ああ、私の娘だ責任はもつ。立派に育てる。でも今は、早く医務室に運ばなくてはね。肋骨が折れて内臓が傷ついている。呼吸も浅い。体力もかなり厳しいそうだ。強く殴りすぎだ馬鹿熊」

 ルノーク大佐の目が怖かった。あれだ、殺気よりも冷たい刃の様な・・・

 「早くしろ」

 「はっはい!!」

 男はあわてて藍衣をかつぐ。

 「う゛っ」

 口が下を向いた事とおなかを押されたことで藍衣が血を吐く。見た目9歳くらいの少女が血を吐く姿は思う以上に痛々しい。

 「脳筋っ、考えろ。横抱きで行け」

 「すみません」

 男は走って行った。なかなかスピードを出していたが揺れないように気を付けているようだったのでまあ合格としよう。


 「それにしても、すごいな。ミラ、あの熊がこれで負けたのは初めてだろう」

 残った女性、ミラにレースは話しかけた。

 「ええ大佐殿。正直驚きました。移動スピードはまだまだですけど真正面から突っ込んでいく度胸、間合いを正確に測る計算力、相手を混乱させる計画的戦略、ナイフを使った格闘術はまだ伸びしろがありそうですが、一か月前にナイフの持ち方を教わったとは信じがたいです」

 「そうだろう。だからこそどこに入れようか迷う」

 「順当にいけば、前衛か特殊しかし・・・」

 「ああ、リィーノとの組み合わせを考えると前衛と後衛、両方出来てほしい。なら、私が教えられる前衛ではなく後衛を、ここで教わるべきだ」

 「けれどこの報告が本当なら、彼女は魔法が使えない」

 「つまり残るは、機械魔法師。ただなあ、藍衣体力がないからなぁ、鬼沢の元に行かせたくない」

 「まさか、そこでお悩みだったのですか。もっと深い理由があるのかと思いきや!?まるっきり私情じゃないですか!!」

 「ううう~だってぇ藍衣ちゃんかわいいし、やさしいし、頭いいし。母としては、何があっても鬼のところには行かせたくないのよ」

 「機械魔法師団志望、新人訓練プログラムに推薦しときますね」

 

 その日、近接魔法師団の熊こと、八重澤少尉が新人恒例のあれで負けたといううわさが流れた。

 また、次の日から広まった機械魔法師団の新人姫の話は、もともとの後衛魔法師団の姫の話と交わり、主従関係もあって、なかなかの盛り上がりを見せた。

 ちなみに、後衛魔法師団の姫のうわさは前衛魔法師団の上層、R.Rが流したとされている。

 また、機械魔法師団の姫のうわさは後衛魔法師団の美女、R.Rが元だと言われている。親が親なら子も子だと思う。

 

 

 __________________________________



 「それにしても、藍衣よく頑張ったね」

 気を失って倒れた私は、戦った男の人、八重澤少尉が医務室まで運んでくれたらしい。

 目を覚ましたのは、二時間後。目を開けた先にはナース服の様な服を来た若い女性がいて、驚いた。

 なんだかんだのうちに、レースさんが来て「今日やらなきゃいけないことは終わったけれどどうする?」

 と聞かれた。リィーノは普通に訓練を受けてから帰るらしいのでそれまで、見学をしていることにした。

 そんなかんじで、一日が終わりリィーノと二人帰路についたのがついさっき。開口一番私を褒めるリィーノはとてもうれしそうだった。

 「ありがとう。私が頑張れるのはリィーノやみんなのおかげだよ」

 「それで、機械魔法師団の訓練、見に行ったんでしょ、どうだった?」

 キラキラとした目でリィーノは聞いてくる。どうも、同じ軍内部でも他の団の事にはうといようだった。

 「うーん。魔道具を使った射撃は、たぶん上手くできると思うけど、団長の意向で、正隊員でも基礎トレとして体力づけをしていたから付いていけるか・・・心配だな」

 「あーあそこは厳しいって有名だからね」

 何かあったのだろうか、リィーノはやけに実感のこもった声で言った。

 「そうだっ!!!わすれてたぁぁぁぁぁ」

 「どうしたの?」

 急に叫びだしたリィーノ。大丈夫かなと、顔をのぞくと・・・満面の笑みがそこにあった。

 「藍衣、藍衣も学校入るよね」

 学校というのは、あの校長先生の経営する、魔法学園の事だろうか。

 「そうなの?そんな話は聞いてないけど」

 「たぶん、言ってないと思う。だって藍衣ならぶっつけ本番でもどうにかなるレベルだし」

 なんというてきとうさ。そんなことをするのは、リィーノくらいなものだと思う。


 そして夕食の席


 「そういえば藍衣。学校についてなのですが、二週間後に入試があります。勉強しますか?」

 「・・・・・はい?」

 あの、真面目&冷徹で、未来視が使えると呼ばれし、凜子さんから二週間前にまさかの「勉強しますか?」えっ、そんなに簡単に入れるの?一応、国営のエリート校でしょう?

 「え、あ、ええと、します。とりあえず、過去問とかありますか?」

 「ええ、明日までに用意しますね。明日も訓練場に?」

 「はい。そのつもりです。今日は結局意識失って、見学していただけですから」

 

 私の異世界生活、一ヶ月目の事である。

 明日からは、戦闘力を高める訓練に並行して勉強をしていこうと思う。魔法の使えない私には縁遠いと思っていた魔法学園。行ける可能性があるのなら興味がある。とても。

 機械魔法師の使う、見た目銃な補助魔導具も早く使いたい。(もしかしたら初めは基礎トレオンリーかもしれないが。)

 この世界に来てから楽しみなことが増えた気がする。孤児院は規則があって、歳が増えるにつれ同じ毎日に飽きていた。

 この世界では、自分の限界に挑戦しよう。始めて戦闘技術を習った日、私はそう決めた。まだまだ、やってみていないことはたくさんあって、限界なんて見えない。まるで初夏の青空のように、先が見えずどこまでも続いている感覚に襲われる。その感覚は案外気持ちいい。



ようやく、「学園」の文字が見えてきました。

そこで、ひざをかかえて

「今回も出番がなかった・・・」

といじけてる、サン校長先生も、もうすぐ大活躍(予定)ですよ~

「べつにいじけてないし」

はい、ツンでれですね。

皆々様方、お読みいただきありがとうございました。

8話をお楽しみにしていただけると幸いです。それではっ!!

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