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2 :面接?

ついに異世界!!の回です。

短めです。

 ふわっとした感覚と共に、足が何かに触れる感と賑やかな声。それから、目に飛び込んできたその光景に私はくぎ付けになっていた。

 「うわぁ・・・」

 そこは、異世界。レンガ造りの建物が多くみられる、中世のヨーロッパ風。かと思えば、豪華な装飾をした、明治時代の車が走っていたりする。通行する半分ぐらいの人はマントやらローブやらを着ていて、ほとんどが腰などに剣や棒をさしている。

 「藍衣、ようこそ。リャロン王国首都リャロンリアへ!!」

 リィーノが大げさに手を広げ、おどけたように言う。

 「リィーノ、とりあえずどうするの?」

 異世界に来たはいいものの、どうすればいいのかよくわからない。戸籍とか、契約とか。

 「とりあえず、お母さんのところかな?」

 「じゃあリィーノ。案内をよろしくお願いします」

 


 十数分後、



 リィーノはどんどんと進み、賑やかな店の立ち並ぶ通りは完全に抜け、高い塀に囲まれた大きな屋敷が立ち並ぶ区域に入っていた。

 「着いたよ藍衣。ここがルノーク家。私の実家」

 そう言って、リィーノの指さす先にある建物は今まででだんとつに大きく、シンプルで、綺麗な屋敷だった。

 お屋敷に見とれていると、後ろから声が降ってきた。

 「お嬢様、お帰りでしたか。そちらの方が?」

 「凜子さん!!はい。この子が、私の従者です」

 後ろを振り向くと、身長180センチ程の長身な女性が立っていた。

 「え、あ、あと、初めまして、怜家藍衣です」

 「初めまして、凜子です」

 凜子さんは、黒のメイド服を着ていた。フリルのついたエプロンなどは着けておらず、くるぶしの隠れるくらい長いロングスカートが、プロっぽい。

 「お嬢様、藍衣さん、まずは応接室へ」

 「ええ、ありがとう。自分たちで行くから、凜子さんは知らせてきてくれる?」

 

 リィーノの案内で、屋敷の中を進む。屋敷の中は高級感の中にセンスが光っており、いごごちの良い空間だった。


 応接室と呼ばれるその部屋には、ローテーブルとそれを囲むようにソファーが置かれている。しばらく待っていると、コンコンとドアがノックされ凜子さんとは別のメイドさんが入ってきた。彼女は 「ご当主様が、藍衣様をお呼びです。ご案内いたします」と言った。

 「リィーノ、これって面接?」

 「そういう事だね。まっ頑張れ」

 「ううぅ~」

 私は、弱音を吐きながら頭を働かせる。この面接で求められることは何か?素質だろう。リィーノの従者としてふさわしいか、厳しい訓練に耐えられるか、どこかからの密偵ではないか。まあ、そんなところだろう。

 

 コンコン、「ご当主様、藍衣様をお連れしました」

 先導してくれたメイドさんが、一室の前で立ち止まり、呼び人の訪れを報告する。

 「入れ」

 短い返事。低く険しい声。私の不安を掻き立てるには十分すぎる材料。緊張してきた。

 すぅ、はぁぁぁ。深く深呼吸をひとつ。準備は整った。

 がちゃ、メイドさんがドアを開ける。

 「失礼します」

 私は、メイドさんが扉を抑えてくれている間にキチンと一礼してからはいる。人の印象は出会い頭3~5秒の事。ここが第一関門。

 ちらりと部屋唯一の窓を見る。町が一望でき、太陽の光が温かい。

 「下がってよい」

 ご当主様の合図で、ドアが閉まり人の出て行く気配がした。

 シーンと静まり返る室内。

 ご当主様の容姿は、屈強。厳ついという言葉がこれほど似合う人入るまい、といった感じ。目が赤で、茶色ががってはいるものの金髪を持つことから、リィーノの父というのもうなずける。

 「座っていいよ」

 ご当主様はそう言って、目の前のソファーに腰掛ける。一瞬遅れで私も向かい側に座った。

 またの沈黙。しかし、今度は私を観察しているようだ。表面ではなく、心のうちまで見通されているような感覚。

 なるほど、ご当主様が小さくつぶやいた。

 「君が、リィーノの従者候補で間違いないかい?」

 「はい」

 低く、威圧するような声に反して少し軽いような明るい口調。ほんの少し、肩から力が抜ける。

 「そうか。それじゃあ君に一つだけ質問。何で、リィーノの従者になろうと思ったのかな?」

 これは、難しい質問。少し、答えに迷う。しかし、嘘を付ける相手でもないと思い。素直な理由を言う事にする。

 「リィーカティーノさんの従者になろうと思った理由は、リィーカティーノさんがいい人だと私が判断したからです」

 そう。ただそれだけ。リィーノには、信頼に値する何かがあるのだ。この人についていくべきだ。悪いことにはならない。そんな気がしただけだ。

 「だ、そうだよ」

 ご当主様は、先ほどまで自身が座っていて今は誰もいない席に向かってそう言った。

 「ふふ、いい()ね。育てがいがありそう」

 誰もいなかった席に、突如人が現れる。

 「初めまして。ルノーク家当主の正妻、ルノーク・レースよ。よろしくね、藍衣ちゃん」

 その人は、こちらに歩きながら自分の正体を明かした。

 「こちらこそよろしくお願いします。怜家藍衣です」

 にこっと笑った、レースさんは何というか若々しく。なんだったら、女子高生でも通るのではというような感じ。

 「おい。まだ、俺の自己紹介が終わっていないんだが?」

 ご当主様が、あきれたような苦笑いをレースさんに向ける。レースさんはいたずらが成功したと言わんばかりの笑顔を向けていた。

 「はあ、俺がルノーク家現当主のルノーク・直弥(なおや)だ。よろしく」

 「はい。よろしくお願いします」

 

 「それで、藍衣ちゃん。藍衣ちゃんは入ってすぐ私に気付いたよね?」

 「ひゃぁ」

 いつの間にか背後に立っていたレースさんがいきなり肩に手を置くものだから、驚いてしまった。

 「あら、ごめんなさい」

 「い、いえ。あの、気付いたって言うほどじゃないんです。窓を見たら、一瞬ぐにゃっとなった気がしただけで・・・」

 「ふふん。いいね~育てがいがあるよ~。ぎゅ。とりあえず、その服は目立つから服を買いに行かなきゃだね」

 私はレースさんに捕まった。

 「ああ、街に行くのならギルド登録と従者契約・養子登録を済ましてこい」

 「はーい。じゃあ、藍衣ちゃん街へレッツゴーー!!」

 「え?あ、あわぁー」

 

 こうして、私はレースさんに抱きかかえられたまま街へと繰り出すことになったのだった。

 

 

   

 


 

ギルドへ。

レースさんが初めから、そういうキャラの人になりました。

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