プロローグ
「 。」
うっすらと青い壁の向こうで、誰かが叫んでいる。
でも、聞こえない。
ここは、何処だろう? 広がるのは荒れ果てた荒野ばかり。
茶一色の世界にぽつんと建つ神殿。真っ白で傷ひとつないそれは、周りに馴染めず孤立し、いじめられ、それでも強くあろうとする子供のようだった。
「・・・・・おねがい・・・。」
神殿を守るかのように、神殿の前に立ちふさがり互いの手を握り締めあう二人の少女がいた。そのうちのどちらかが、再び叫んだ。
「おねがい。」今度は、聞こえた。懇願するような、でも「護る」という強い意志の宿った声。
ガチャ
左側で金属のぶつかる音がした。そこには、銃を構えた人の群れ。銃口は全て二人の少女へ向けられている。そして、その集団の後方に一人、騎馬に乗る鎧の男がいた。
男は、右手のサーベルを高々と掲げていた。
あぁ、先ほどの金属音は右手を挙げた音だったのだ。
きっとあの右腕が下されると同時、一斉掃射が始まるのだろう。
そして、全ての銃弾は少女たちに降りかかる。
そしたら・・・
「開始。」
悪魔の声がした。
「まって!!」
私はとっさに手を伸ばす。しかし私の手は半透明の壁に阻まれてその先へと進むことは無かった。
「んっ?夢、か・・・やけにリアルだったな・・・」
目が覚めると、そこは私の、私たちの部屋で時計を見ると5時30分。いつもどうりだ。
神殿も、銃もない。平和な日本の首都東京、郊外。近くの私立学校の理事長が運営する、孤児院だ。
私は、手早く小学校の制服に着替えその上からシンプルな青色のエプロンをする。準備が整ったところでエプロンの端を掴まれた。
「あおねぇ、もぉ行くの?」
この子は同室の絵里ちゃん。さみしがりやで、一人で寝るのが怖いといつもベットに忍び込んでくる、かわいい子だ。
「絵里ちゃんおはよ。うん、私は朝ごはんの準備があるからもう行くよ。絵里ちゃんはもう少し寝てな?」
「うん・・・」
そして素直ないい子でもある。私の部屋は私、絵里ちゃん、香澄ちゃん、色羽ちゃん、美菜ちゃんの五人部屋で、だいたい三か四人部屋のこの孤児院では大人数である。
なぜ多いのか、それはこの孤児院の特徴を先に説明しなければいけない。この孤児院は、学校の理事長が運営している。そのため、小学校は付属の私立へ通い、中・高・大も理事長から補助金が出るため勉強さえ頑張れば行くことができるのだ。
孤児院は国から補助が出ているとはいえ、ぎりぎりの生活が強いられる。大学には受けるだけでも巨額の金がいるため、孤児にとっては夢の場所。
そんなわけで、この孤児院では中学生になると学校の寮に住む人がほとんどなのだ。戸籍上は孤児院が家になるが、生活するのは寮。
つまり、孤児院の最上級生が小学6年生になる、という事だ。
長くなったが、要するに女子唯一の6年生である私に、多くの子の面倒見がかりが与えられたという事。
と、食堂と書かれたドアの前についた。
中には、長机が3つかける三列。全員で50人ほどいるこの孤児院では丁度いい数。
隣接する厨房に入ると、もう6月に入るというのにひんやりとして上着が欲しくなる。
さて、時刻は5時45分。朝食が7時からなので急がなければ・・・
私は、調理台の前に立つと一人朝食作りを始めた。
始めまして。lazuといいます。
小説を投稿するのは初めてです。
誤字、脱字や「読みにくい」「日本語がおかしい」等々たくさんあると思いますが、笑ってご容赦ください。
誤字脱字やアドバイスがありましたら、お願いします。
最後に、不定期投稿になってしまいますが、飽きずにお付き合いよろしくお願いします。