〜現実世界のお姫様〜
あーあ、いいよね。おとぎの国はさ。
おとぎの国?
ほら、白雪姫とかってこと!羨ましくない?
なんで?
だってさ、王子様とハッピーエンドになれるんだよ?
そうかなぁ…。
私がおかしい人みたいに友達は見てるけど、私にはすごく深刻なんだ。
「どうせこんな世界で恋したって、すぐに友達に回っちゃうし、フラれるのなんて目に見えてるし。どこかにいないかなー?私の王子様」
「あんた理想高すぎ(笑)」
私の話を苦笑いしながら聞いてるのが友達の久村 美由紀。高校2年生みゆって呼んでるんだ。私は佐藤 真穂。美由紀とは小学校からの友達。毎日こんな感じで朝は登校してる。
「てかさ、あんたも彼氏作れば?」
「いや、大丈夫!私にもいつか王子様が!」
「またそれ?(笑)もう知らないよ?」
やめて!かまってくれ。私は年齢=彼氏いない歴なんだよ。つまり、今の今まで彼氏がいない。
「いーよねー。お美人様は、素敵な彼氏がいてさー!」
友達の美由紀には彼氏がいるのだ。ついこの前までは非リアダチだったのに。私が彼氏がいないのは中学生の頃、LINEで告白した男子に、その内容を他の人にバラされたこと。トラウマになってるんだよ。
「あっ!ほら!まみ!あの人なんかどう?」
美由紀が指をさした先は、学校一イケメンと呼ばれる王子様的な存在。高木 翔君。
「んー好みじゃない」
本当はちょっといいなとは思ってるけど。ほかの子に目つけられそうだからなぁ。
「わっ!見て!あの人イケメン!」
はぁ?またぁ…って
「よう、久しぶり。マホ。」
「え?何?マホ知り合い?」
「全然…知り合いじゃない…行こ」
私は美由紀の腕をぐいっと引っ張る。何で?何であいつがいるの!?頭が真っ白だ。
「ねーマホ!どうしたの!?」
私はそそくさと教室に入り、席に着く。
「あれってさ、もしかして…?」
私はコクコクとうなずく。
「やっぱり!?いや雰囲気変わったね!」
キーンコーンカーンコーン…
げっ!あいつ同じクラス!?マジ人生詰んだわ。
先生の話し声させ、聞こえない。
「とう…さとう…佐藤!」
「はっはい!」
「あぁ、あいつの隣だ。」
「えっ!?」
「佐藤!色々教えてやれよ!」
「よろしくな。マホ」
こいつは吉田 斬。私の中学生の時に、私の事LINEでばらまいた主本人。私の好きだった人。
「おい、そんなにビビるなよ。やりにくい。」
このままじゃ私どうなっちゃうの?