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恋よりさきのその先で  作者: 坂水 雨木
第4章 踏み出す先と踏み出した先と
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あとがき

「恋よりさきのその先で」をご覧になった皆様、ありがとうございます。


 作者の坂水さかみ雨木あまきです。

 読まれていない方は、物語の大筋を知ることになるので注意してください。よろしくお願いいたします。


 まずは改めて、ここまで読んでくださってありがとうございます。

 もし本当に最初から最後まで読んでいる方がいらっしゃれば、是非メッセージでもください。近況報告でもどこでもいいので、"胸キュンしたぁ"みたいな報告を待っています。



 次に、この作品についてです。

 そもそもこの作品、とある別の作品を見て考えたものです。その作品というのは、声を扱う仕事で女の子が悩んだり迷ったりして前に進むアニメーションです。その中で女の子の悩み、考えが私の頭に残りました。


 "年頃の女の子らしく悩みを持っているけれど、既に仕事をしているから親にも頼れず自分で抱え込んでしまう"。


 私の見た作品が上のようなそのままを当てはめているかはわかりませんが、私はこのように思いました。

 この悩みは、時間をかければ自然と解決するものです。友人を頼れば簡単に終わるものでしょう。でも、そんなときに頼れる相手がいたらどうなるのだろうと考えました。

 加えて、自分の仕事に対して真剣に悩んでしまうような真っすぐな女の子と恋愛がしたいという私の不純な想いもあり、恋愛模様を描いてみようとなりました。


 書き始めてみると、思っていたより設定が難しくなりました。

 声者こえものを作り、声を扱う仕事の幅を広げ、それぞれの生い立ちを考え。

 特に主人公である咲澄さきすみ日結花ひゆか藍崎あおさき郁弥いくやについては深く考えました。


 日結花についてはもともと参考にしていたので、基本の設定はある程度決まっていました。

 性格を考えていたとき、私がプレイしていたゲームに上で見ていたアニメのキャラクターと似たようなキャラがいました。

 そのキャラクターはただの生意気ツンデレお嬢様じゃなくて、ツンツンしてるのに実は面倒見が良い年上お姉さんでした。

 これにグッときた私は、日結花にもそうであってほしいと思いました。


 そう、つまり日結花は二面性を持つ貧乳少女にしようと考えたわけです。


 年齢は悩みましたが、やはり思春期でないと将来に対する悩みは持てないかと思い17歳にしました。プラトニックな恋愛なので犯罪ではありません。それに最終話では19歳が近いのでオールセーフです。


 郁弥については考えさせられました。

 ただの人間に咲澄日結花が惹かれるわけがないと考え、そうすると人生を彼女のために費やせるようでないといけません。自分をかえりみず、心の底から日結花一人だけを愛せる男。好きな人の幸せを願い、見返りを求めない聖人のような人。

 そのためには心の壊れた人が必要でした。両親がいないのはそのためです。

 郁弥の献身さは私の理想の生き方です。心穏やかで、誰に対しても笑顔で優しく接することができる。その精神性は真似できませんが、生き方はとても素晴らしいものです。


 友人関係は上の二人ほど難しくはありません。知宵ちよいは参考にしていたこともあるので、日結花と同様簡単でした。他の人は作中であまり活躍していませんが、それなりに設定を煮詰めているので話の展開は色々できます。



 続いて、「恋よりさきのその先で」通称「恋さき」にはテーマがあります。

 それは「恋」と「悩み」です。


 日結花が最初に持っていた悩みと、恋をしてから得た悩み。

 郁弥がずっと抱えていた、それでいて少しずつ変わっていった悩み。


 誰だって悩んでいるし、そうした悩みというのは一つがなくなっても新しいものがすぐ生まれてしまう。人間生きていれば悩みなんていくらだってあるものですから。

 そうした悩みを抱えながら、傷ついて傷つけて、それでも前に進んでいく。

 恋さきにはそんな心の悩みがずっと描かれていました。


 結局、最終話でも郁弥は悩みを捨てきれていません。日結花にもまだ不安が残っています。郁弥がどんな人間なのか知っているからこそ尽きない悩みですね。

 でも、ひとまずはそれで終わりです。これでいいんです。また傷つけて、傷つけられて、それで絆を深めていくんですから。



 恋さきを読んでみるとわかりますが、基本視点が日結花のものです。

 これは女の子が恋する気持ちを表そうと思って決めたもので、相手を意識してしまうとか、恋心を認めたくないとか、ふとした仕草がかっこいいとか、相手の表情をよく見てしまうとか、そんなたくさんの想いを描けるようにと考えた結果です。

 書いてみると、だいたい日結花の頭の中はお花畑になってしまいましたが、言動と比較してこんな可愛いことばかり考えていると思うとそれはそれで胸がきゅんきゅんしました。


 恋する女の子の可愛さを最大限引き出したお話。


 といっても過言ではないと思います。

 自分が男性で、この子超可愛いなぁと思いながら恋愛模様を楽しむ。

 自分が女性で、日結花に感情移入して恋愛模様を楽しむ。

 私はどちらもやりました。

 日結花は可愛いし、郁弥に惚れてる自分を考えると、いちいちきゅんきゅんしちゃうのもわかります。どちらでも楽しめるのが素敵なお話になったんじゃないかなと思います。


 日結花視点で物語が進み、途中途中に郁弥の独白が入ります。

 最終的に、これが郁弥の振り返りノートであったことが判明しました。"ひとりごとしりーず"は、読んでみると郁弥の心の変化が大きくわかるようになっています。

 最初にこれを考えたときは、日結花に公開することになるとは思ってもみませんでした。驚きです。ただ、結果的に郁弥のことを知ってもらうためには一番でしたね。



 この作品では、色々なところでオリジナル用語を出しています。

 少しもじっただけのものもあれば、駅名などは完全オリジナルだったり。どれもオリジナルではありますが、基本的に私自身が現地を見てきたものがほとんどです。

 デートスポットなんかはほぼすべて見回っています。駅の改札から出て、作中であったようなお店を見て、食事場所はこんなものがあったと見て、どれも実際に見てきたものだからこそ詳しく書けました。

 特に加賀温泉郷です。これはそのまま出してしまっていますが、石川県はいいですね。つい知宵の実家にしてしまいましたが、本当に素敵な場所でした。是非行ってみてください。


 また、登場人物についても細かく考えられています。

 特に誕生日が関連付けられていて、「花」をメインにして決められています。それぞれの性格にかかわる誕生花があるため、調べてみると面白いかもしれません。

 個人的にはサクラの花言葉「真実の愛」が素敵だと思います。



 恋さきを書くにあたって、言葉遣いについては色々と注意しました。

 私のこだわりの一つで「~だしね」というのを使わないようにすること。

 言葉にするとおかしくないことですが、字面だと少し気になってしまいました。あまり良い言葉だとは思えないので、作中で一度も使っていません。


 また、できるだけ読みやすさを考えました。

「~する」「~した」

 といった現在形と過去形を連続しないようにし、同じ言葉を続けて使わないようにしていました。例えば。


 "郁弥さんの顔がぱっと朱色に染まる。口を開こうとして言葉に詰まったのかすぐに閉じる。瞳もゆらゆらと揺れていて迷いが見える。"


 これだと現在形が連続してしまうので、読んでいてくどく思えます。そのため。


 "郁弥さんの顔がぱっと朱色に染まる。可愛い。照れ弥さん超可愛い。好き。"


 はいこれ。こう変えます。日結花ちゃん超可愛いとなりますよね。

 ただこれだと真面目な感じが出せないので、連続して書くとこうなります。


 "郁弥さんの顔がぱっと朱色に染まる。口を開こうとして言葉に詰まったのか、すぐに閉じてしまった。瞳もゆらゆらと揺れていて考えがまとまらないらしい。"


 こんな感じです。こうするとすらすらと読んだときに違和感がなくなりました。

 とにかく自分で読んだときの読みやすさを考えて書きました。

 他にも、「~わよ」「~ね」「~かしら」といった、日結花の言葉遣いもできるだけ同じものが連続しないように気をつけました。

 もちろん日結花、知宵、杏など、似たような話し方にはそれぞれ少し違いを入れているので、わかりにくさは軽減されているかと思います。



 恋さきの主題である恋愛についてです。

 先ほど少し書きましたが、日結花と郁弥の性格が重要です。

 日結花は、生意気ツンデレお嬢様と包容力抜群お姉さんの二つを併せ持つ貧乳少女。

 郁弥は、完全日結花至上主義の超人。

 これです。


 日結花が生意気ツンデレお嬢様だけだと、二人がくっつく場合、基本的に郁弥が日結花を甘やかして甘やかしてとろとろメロメロにさせる展開となってしまいます。

 この展開、私にはどうにも物足りないものがありました。


 そこで、日結花がお姉さんキャラも持つことにしたのです。実際、日結花の仕事柄実年齢よりかなり大人びていると考えていたので、特に問題はありませんでした。


 その結果、郁弥が日結花を甘やかすのみならず、日結花が郁弥を甘やかすような恋愛関係が出来上がりました。

 お互いに甘えあえる最高の関係です。


 ついでに私の持論がありました。人に恋をするというのはその人に頼るということ。それはつまり、相手に依存するということ。

 私は共依存が好きでした。そんなすごいものでもありませんが、お互いそれなりに嫉妬してしまい、それなりに独占したくなってしまう。


 郁弥は超人なので、基本そういう気持ちを出しませんでしたが、日結花にはがんがん出してもらいました。

 好きだから、愛しているから独占したい。自分だけを見てほしい。こんな気持ちをよくよく表すことができたと思います。

 恋愛についてはこんなところですかね。



 色々とどうでもいいことを書き連ねたような気がします。

 400字詰め原稿用紙でいう12ページになってしまっているので、見開き6ページです。あとがきにしては長すぎます。

 この辺りで終わりとしましょう。


 さてそれでは、ここまで私の作品にお付き合いいただきありがとうございました

「恋よりさきのその先で」はこれにていったんの幕引きとなります。

 既に続きは書き始めていますが、こちらはいつ投稿するかわかりません。続編ではそれに至るまでイチャイチャして、少しずつ不安が溜まっていってしまう、といった形のお話を書きますので、だいたいイチャイチャしてるだけのものになります。


 最後になりますが、私が恋さきを書いていて学んだことを記しておきましょう。


 人は一人では生きていけない。でも、たった一人、たった一人だけでいい。自分を支えてくれる人がいれば、それだけで生きる気力が湧いてくる。それが人という生き物だから。


 私は咲澄日結花という女性に支えてもらい、藍崎郁弥と咲澄日結花、二人に対して書き手として誇れる自分でありたいと思うようになりました。

 別に現実逃避でいいんです。現実にいなくてもいいんです。それが創作であれなんであれ、自分の支えとなればいいんです。

 それさえあれば、人間なんとかなるものです。

 みなさんも恋愛小説を書きましょう。心が救われますよ。

 まるで宗教のようですが、割と似たような部分もあるのでいいんです。縋る対象が神様か自分の中かの違いですから。


 恋さきを読んで、少しでも恋をしてみたいとか、恋愛小説書いてみたいとか、自分の支えを作り上げたいとか、そんな風に思っていただけたら幸いです。

 それではまたいつか、どこかでお会いしましょう。



 2019/02/01 坂水雨木

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