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恋さき設定資料集 声者編

声者こえもの)とそれによる変化について


物語の主人公である日結花(ひゆか)はもちろん、登場人物のほとんどがこの仕事をしている。


一言でいうと、声者とは"声の超能力"である。


恋さきの物語は「新暦(しんれき)27年」から始まるが、現実に超能力が広がっているといったことはない。ただ"声で人を惹きつける者"がいるとわかっているだけ。

この特殊な力こそが現代風に言う超能力なのだ。


声者とは、職業であり、仕事であり、資格者である。

そんな声者であるが、力としては「癒し、爽快、沈静、高揚」などが挙げられる。

その中でも重きが置かれているのが癒しで、"歌劇(かげき)"と呼ばれる仕事でその力は発揮されている。

声者がどうしてそんな力を得たのかは知られていないが、一説には宙力素ちゅうりきそと呼ばれるエネルギー源を利用し始めたことが人の身体に影響を与えたとも言われている。


こうした力が発覚したことで、声を用いた仕事というものは一変した。

まず、吹き替えやナレーションなどの仕事から声者以外が淘汰(とうた)されていったことが大きい。なぜなら、どんな番組、作品であれ、その場その場に適した"声"を使える人の方が良いからである。

例えばCM。ナレーションにおいて洗剤やシャンプーの商品紹介は、人を癒し、爽やかな気持ちにさせる力があるとないとでは大違いだろう。見て気分が良くなれば、"買ってみようかな"と思うのは誰もがそうだ。

例えば、アクションシーン。焦った声、緊張した声、怒りの声、それらがただ声を聞くだけで、"まるで現実にその場で聞いていると錯覚してしまう"ほどに引き込まれてしまうのだ。

これは少し誇張し過ぎではあるが、声者の力があるとないとでは、音声がかかわる作品において圧倒的な差が生じる。


そのような事実があり、日結花の世代では声を重視する全ての仕事で声者が必要とされている。

また、声者の数は仕事量に対してまだまだ足りない。いくら増えてきているといっても、もともと役者や芸能関係者が携わっていた仕事全てが声者に渡ってくるのだ。足りるはずがない。

さらに、声者の力には差がある。鍛えることはできるものの基本的には才能依存なため、多くの仕事が一部の声者に集中することとなった。

もちろん、いくら才能があろうとも技術が必要な仕事も存在するため、一概に声者の力がすべてなわけではない。吹き替えなどはその代表だろう。


声者の力に加え、演技力や声幅に声質、話す技術に歌の上手さなど。多くの要因が絡まって仕事に通じる。これはあらゆる仕事に言えるかもしれない。


作中でも話があったが、歌劇や拡歌(かくうた)は声者が資格としてある理由であり、国の政策でもある。仮資格ではなく、正式に資格を取得した声者の歌劇・拡歌はどちらも満席抽選であり、新人でも数十倍から数百倍と言われている。

日結花や知宵(ちよい)などのある程度名が売れてきた声者は倍率数千倍とも言われる。

ちなみに、声者の資格は国家資格である。


声者になるには各地で行われている素養試験を通らなければならず、これは本当の意味で才能依存のものである。

試験を通った者が仮資格を取得し、半年間の国家研修と1年間の基礎研修を受け、国家研修終了後に行われる歌劇を無事終えることで晴れて声者の本資格を得られる。


国家研修は声者の"力"の使い方を学ぶ場であり、歌劇や拡歌に繋がる研修。

基礎研修は声当てや吹き替え、舞台など、声者の歌劇・拡歌以外の仕事について学ぶ場。声の出し方から使い分け、演技の指導なども含まれている。ただし、人によってはこの研修を受けない場合もある。


声者の仕事は以上であり、他に、作中で多々登場してきた"舞台"について。

ここでいう舞台とは、ミュージカル、演劇のことである。

声者がみな行っているものではなく、現に日結花はほとんど触れていない。


そもそもの話、現代でいう俳優が行うものだろう、という疑問が出てくるが、新暦27年に俳優は存在しない。名称としてはあるが、職業としてはないのだ。

声者と同様、"動きで人を惹きつける者"として、"動者(どうもの)"。どーものなどと呼ばれる人に代わった。流れは声者とほぼ同じである。動者は動きに力があり、人に見せることで人を魅せるのだ。


そのようなわけで、だいたいの舞台はどーものが行っている。当然舞台は声を使う仕事でもあるので、声者もいたりはするが数は少ない。というよりも、声者の仕事量が多すぎて舞台にまで手を出せる余裕のある人が少ない。人によっては舞台を積極的に行うので、それはやはり個人の趣向によるだろう。


最後に、声者が台頭したことで、世界中の不眠が解消されたという。

声者の力は直接以外でも、かなり弱まるとはいえ間接的に残るためである。



歌劇かげき

これができるからこそ声者になれることの一つ。一つであって他にも条件があるのが声者になれる人が少ない理由。自身がそのつもりで歌えば安眠、快眠、沈静効果を持つ歌を歌うことができ、その歌は心の治療とも言われる。ただ、歌と言いつつ歌じゃないお喋りでも効果があるのはよくある話。



拡歌かくうた

沈静以外の効果、例えば高揚などに意識を向け、上手く気持ちを引き上げるもの。

拡歌は歌でしかできないため、歌が上手ければ上手いほど良い効果が出る。しかし、歌劇よりも難易度は高く、力を操るのは至難の業。どんな声者でもできるわけではない。

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