初恋
その日の放課後。辰弥はハットの屋敷に急いだ。なんだか歴史がありそうなドアをめいいっぱい開けた。そこには書斎の椅子に座るハットがいた。
「うぉうっ!・・・あ、なんだ君か、急に開けるからびっくりしちゃったよ」
「すいません、ん、何してるんです?」
ハットが字を書いている紙には数字がぎっしりと詰まっていた。
「ああ、これかい?円周率3.14の次を計算して書いていたんだ。ここ最近とても暇でねぇ、何かやることもないのさ、だからこれで暇つぶしだ。えーと、どこまでやったっけな」
とても面白い人だなと思いながら辰弥は言った。
「あの、今日はお話が・・・」
そうするとすぐにハットは言った。
「ああ、わかってる、例のいじめについてだろう?ん・・・あ、そうだいじめの話があったんだ!ごめんごめん、すっかり忘れてた。で、その件はどうなったのかな?」
僕はとても不思議な人だなぁと思いながら事情を全て話した。
「ほぉ、成功したのか。それは良かった」
「あの、今日はちょっと相談がありまして・・・」
「相談とは?」
「僕、初恋したみたいなんです」
辰弥は恥ずかしがりながら言った。
「うぉーう。初恋ねぇ、僕の初恋相手はとても可愛い子でね。今でも連絡を取り続けているよ。あれでしょ?告白したいですーみたいなことでしょ?」
「あ、はい」
「うん、頑張れ。勇気を出せばどうにかなる、言い出してしまえば勢いでいけるものだ。でも言うからにはちゃんというんだぞ、恥ずかしくて言えなかったりすると後悔するからな。」
次の日、辰弥は華苗を公園に呼び出した。
「なに?話があるって」
辰弥は勇気を振り絞って言った。
「華苗、僕華苗のことがす、好きなんだ。その・・・付き合ってください!」
「えっ・・・えと・・・こちらこそ宜しく!」
なんだかスッキリしなかったが成功した。はっきりということができてとても満足だ。この日から二人はとても仲良く話していい恋人になったらしい。




