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「ハチミツを舐めて。」  作者: 閑古鳥
5/5

瞑想

散々(とはいえ一回だけだが)罵られた(という程ではないと認めてやらなくもない)上に睨まれた(ただ視界に映っただけだろうけど)というのに、気にしてしまう。嫌いとはいかなくとも苦手の部類だということは確かだ。みんなが長谷川さんから引いていくのも無理はないように思える。


そもそも、条件に合っているかすらもわからないじゃないか。まず、一つ一つ確認してみよう。


一つ目のわがままかどうか。噂では自己中な人間だとか聞くが、大抵そういう発言をしている奴こそが自己中である事案が多い。少なくとも私は彼女からそのような行動を取っているところを見たことがないので、はっきりわがままだと答えるのは難しいのだろう。今の程度で有れば問題ない。


二つ目の頭が良いかどうか。問題はこれだ。三つ目の個性的かというのは、もう苦しい程に理解している。しかし彼女の成績を私は全く知らない。性格の悪さについての噂はうんざりするくらい耳にするのに、順位とかに関することは一切聞かないのだ。きっとみんなも知ろうとするまえに、ああいう変な子は馬鹿だという、一方的過ぎる偏見が有るのだろう。


私も最初のうちは馬鹿なのかなと疑ったが、補習にはどうやら一回も引っかかったことがなさそうだ。友達から聞いた話では、先生から呼び出されたことが無いらしい。それどころか歴代のテスト史上最高総得点を記録したとか…。案外頭脳イっちゃってるのかもね、と彼女は言っていた。頭がいいとは言わず、敢えてイっちゃってるという表現をする所に、えぐい悪意を感じたのを覚えている。要は、私は長谷川さんの肩をもっていた。


そうだ、気付けば私は彼女によく同情している。否定しない上に特別褒めることも言わないけれど、それはちょっと違うんじゃないかと、他の子に対するような意見をよく持っていたものだ。でも実際に触れたこともないからあまり根拠のないことも言えず、適当にそうだねと相槌を打ってばかりいる。


私がクラス全員と仲良くするという計画を企てたのも、話を適当に合わせていた自分に嫌気が差したからだ。人は会って見ないとわからない、話してみないとわからない。他国の文化に触れるように、他人の習性に触れてみることで自分を変えられるのではないか。自分の周りも変えられるのではないか。


ひょっとしたら、長谷川さんと私は似た者同士かもしれない。長谷部さんがこの学校に居たから、私は自分を変える機会を見つけられた。独自の行動をする長谷川さんと、独自の感情がある私。類は友を呼ぶともいうし、きっとどこかでつながっているはずなのではないか。


ちょっと強引な繋げ方だなと分かっている。でも一回そう信じ込んでしまったからーー自分にとって都合の良いように絡めてしまったから、尚更この予測を潰そうとする考えが浮かばなかったし、このままで結論づけようとしている自分が居る。


ここ最近を振り返って、なぜあんなキツい人間に執念深くこだわっているのか、突然そんな疑問が飛び交ってきた。薄々気づいてはいる。ただのミッション攻略の為に仲良くしたがっているんじゃないんだってこと。たった一二回至近距離にいたことがあるだけでこんなに考えているだなんて、自分は変態なんだろうか。あんな態度を取られて近づきたくないだなんて愚か、寧ろその逆を行ってる自分にはM属性があるのかもしれない、と疑う。あの子をブス呼ばわりしたり、変人扱いする奴が腐る程いる中、あの子の行動の何もかもが正しいように思えてくる。


おかしい、明らかにおかしい。そのおかしさが自分に向けられたものなのか、周りの同級生に向けられたものなのかは、自分の考えている事なのに分からなかった。


考えても仕方がない。今は寝ることに集中しよう。


今日のベッドの中はそんな一夜だった。


時間が空いてすみません。

不定期になりますが投稿これからもしていきます。

よろしくお願いします!

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