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VOICE
【VOICE】
貴方に届く声が欲しい
朝が来れば 貴方はまた
他の誰かのもとへ行くのでしょう?
ガラスの瞳に映る あどけない寝顔
いつも傍にいるのに
貴方の一番には 決してなれない
私は貴方に動かされて
初めて命を持つ人形だから
『自分自身の物語を紡ぎたいの 夢物語は もうたくさんだわ』
飽きたからと簡単に捨てられる前に
そう口に出せたなら
もうちょっとマシな未来が望めたかしら?
傍らの壊れたラジオから聞こえる誰かの声
馬鹿みたいに繰り返す「Hello」の声が
私を現実に繋ぎとめる
朝が来て 夜が来て また朝が来て
繰り返し流れる時間の中で生まれた孤独に
「大丈夫」と心の中で自分に言い聞かせた
この思いが声になって 誰かに届くのなら
どうか新しい世界を私に見せて
願いはたったひとつ
貴方に届く声が欲しい




