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風太郎の手紙

  九頭竜隼人という人物を介し、急速に親しくなった数馬と宗太郎はその後頻繁に会うようになった。その結果数馬は茉莉が異常なまでに部屋に引き篭もり、人に会うのを嫌がっているのを知った。具合は良くなったはずなのに床上げができないらしいのだ。これには宗太郎ばかりか稲やすなおにさえも原因がわからない。どんなに良い薬を処方しても一向に快復の兆しが現れないのだ。直たちはもう手の施しようがないと半ばさじを投げていたということだった。そこで数馬は茉莉へふみを書き、すなおを通して渡してもらうことにした。勿論差出人は富良風太郎である。

  『あれから既にふた月になろうとしておりますが、お加減は如何でしょうか。私は江戸に戻って以降、結構忙しい毎日を送っております。貴女あなたの具合が気になっておりましたが、すなお殿よりご実家に戻られたと聞き及び、安堵いたしておりました。近いうちにきっと会いに行きますゆえ、その折にはまた元気なお姿を拝見いたしたいと存じます。会える日を一日千秋の想いで待っている富良風太郎より。』

短い文章ではあったが、これは恋文だな。と苦笑いしながら封印し、必ず茉莉本人に渡してくれとすなおに託した。これで少しは元気になるだろうと想いつつ。


  ところがその文を手にした直後、茉莉は天国から地獄に一挙に突き落とされたようになってしまった。その様子は後ほど稲から数馬にもたらされた。

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