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プロローグ
その少年はごく普通の人間だった。テストの点数はいつも可もなく不可もなく、スポーツテストの点数はいつも全国平均点と大差がない。通学している高校は偏差値50程度、仲が良い同級生はいるが、話したことのない同級生もいる。何もかもが普通、そんな人間だった。しかし、少年はその立場に喜んで甘んじているという訳ではなかった。
『日常を超えた何かに遭いたい』
少年はいつもそんなことを考えていた。日常に染まる少年は、非日常に染まっていきたいと考えていた。
9月1日、少年はいつものようにそんなことを考えていた。
9月1日、非日常は、突然少年の前に姿を現した。