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アルの一日 午後

12時 昼休憩


 主に士官や文官が利用する食堂の1つに足を運ぶ。

 外に食べに出ることもあるが、最初に一律の基本料金を払えばどの定食でも、食べ放題の料金を払えばどんな組み合わせだろうと、定食を2つ頼もうとそれ以上のお金は払わなくていいことが城下に食べに出ることを面倒に思わせるのか、昼時はいつも盛況である。

 日替わりもあったが、今の気分はさっぱりしたものだったのでトマトファルシのサラダと、香味野菜と魚の包み焼、それにパンとスープをつける。スープはオニオンスープだった。

 

13時 事務作業


 休憩から執務室に戻れば、午前中の城下警邏に当たっていた兵士からの申請書類が文官たちの机の上に積み重なっている。

 そちらは上がってくるまでに時間がかかる。また、午後の訓練にはまだ時間もあるため、処理がまだ済んでいない細々とした書類に確認のサインを入れていく。

 疾病手当、退職願、休日申請、異動願等々。

 

14時 訓練


 午後の訓練の指導。

 午前中は警邏に回っていたヘルスとファラルが訓練に参加。

 ヘルスは指導側だが、ファラルは相変わらず訓練に身を入れない。

 身を入れる必要がないほどの実力があることは承知しているが、慢心していてはいつか足を掬われる。

 しかし、全力ではないとはいえ毎回こちらの不意打ちを防ぎきる実力には驚かされる。

 逆にこちらが反撃されたら、と想像すれば小隊長としての面目が立たない。それを知ってか知らずか、ファラルがこちらに反撃してくることはない。

 

15時 尋問


 町の警邏隊の本部を訪れ、拘束されている者たちを尋問。

 殺人や強盗、不法取引の容疑者が多い。

 ここから自分の本来の職務である多国間にまたがる組織犯罪の糸口を見つけることもある。

 今日はそういった証言をするものはいなかった。


17時半 見回り


 尋問を終えて、帰城の前に城下の担当地区を少しだけ見回る。

 途中で果物屋の主人から売れ残りの林檎を2つ貰った。

 1つを自分で、もう1つを愛馬に与える。


18時 事務作業


 文官から上がってきていた書類に判を押していく。

 別の部隊から、こちらの小隊隊員を引き抜きたいという旨の書類が混じっていた。

 たまにこういう手を使う連中がいるため、どんな書類にも気は抜けない。

 特に今は、ロリエを外遊に赴いている皇妃陛下の護衛として一時的に貸し出しているのだ。

 到底受け入れがたい書類は判もサインも入れず、別処理とした。

 

18時半 終業


 仕事に区切りをつけ、蓮華館に戻る前に魔導士用の訓練場へ向かう。

 歴代の双黒や漆黒が結界構成に関わっているという、堅固な場所で力の感覚を忘れないよう、他では出来ない規模の魔法を行使する。

 普段は金に変えている瞳も、ここでは本来の黒色に戻している。

 決まりではないが、色を隠すことで他の者に注意を促すためである。


19時半 帰宅

 

 心地よい疲労感に包まれながら、蓮華館に帰宅。

 浴場で汚れを落とし、ゆったりとした服に着替えてから食堂へ赴く。


20時 夕食


 帰宅が遅かったので夕食はクリームパスタとサラダ、チキンスープしか出せないとのこと。

 それでも、火を落としていなかったので熱々が食べられる。

 出来上がりを待っていると、レイが厨房の中で何かをしているのに気付く。

 声を掛ける前に料理ができたため、レイが自分に気付いているのかも分からないままだった。


20時半 夜の一息


 夕食を平らげた後は、食堂にある本の中から最新の国家情勢に関する提言と魔法研究に関する論文に目を通す。

 やがて、のどの渇きを覚えて、飲み物でも頼もうかと思い始めたころ、レイがちょうどトレーにお茶とお茶請けを載せてやって来た。

 お茶請けはクッキーらしい。

 厨房で何をしていたのかと思えば、これを作っていたのかと得心する。

 クッキーはとても美味しかった。


21時 就寝前

 

 寝る準備を整えつつ、自室の机で個人的な覚書を日記にまとめ、前々から書き続けている研究レポートを見返したり、使えそうな考えを書き込んだりしていく。

 筆が乗ると徹夜になることもあるが、今日はさほど筆が進まない。

 短く出来事を書くだけに留める。

 ヘルスとベクターが部屋を訪れ、明日のことについて簡単な打ち合わせをする。


22時 就寝


 いつもより早めに就寝することにする。

 

 

 

 

 

 

 


 

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