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「…なんだ…。男が一人いるぞ?」


「女三人ばかりだと思っていたが…。まあ、良い。そこの男、運が悪かったな。そこにいる女と共に死んで貰う!」


 そう言い放つと同時に暗殺者達は一斉に襲い掛かる。それにデュオはため息を吐くと長剣を振るった。


 暗器を叩き落とし、三人程を一気に切り伏せる。


「ぐうっ!」


「なっ! こいつ強いぞ!!」


 その事に暗殺者達は狼狽え、一瞬躊躇する。だが、リーダー格の暗殺者が即座に他の者に命を下す。


「男は無視しろ!! 女だけを狙え!」


 その言葉に暗殺者達はデュオから距離を取り、イリアの方へと向かい出す。


「…愚かな連中だな」


 イリアは慌てる事も無く、冷静に見やり、自分へと放たれた暗器を軽く体を捻るだけで交わしきる。次いでナイフを持って襲い掛かって来る者もひらりとかわす。


「な…っ!」


 その行動力に暗殺者達の目が驚愕に開かれるのを薄暗い中でもはっきりと見えた。


「その程度で暗殺者とは……。しかし、その文様…。アルラティア国の暗殺部隊だな」


 イリアは暗殺者達の隠れて見えない筈の目元にあった文様が微かに見え、それだけで己の記憶の中にあった情報を思い出し、瞬時に言い当てる。それをほうっと感心した様子でデュオが見た。


 だが、それ所では無いのが暗殺者達の方だった。


 まさか弱いと思っていた標的の側に人がこの様な時間にいたと言うのがそもそもの誤算だった。そして…暗殺者と呼ばれる自分達の攻撃が標的外の男に逸らされる事はおろか、その標的すら軽がると避けているのだ。


 自分達に依頼された人物は姫君だった筈だ。


 それがこんなにも強い。


「…確かにその微かに見える目元に刻んである印はアルラティアの国の者だな」


 暗殺者と呼ばれる者達は皆、一様に同じ格好をしていた。しかし、アルラティアの文化で、その国の民達は皆、目元に国家の文様を刻んでいるのだ。知識を持つ者には見ればその国の者だと瞬時に分かってしまう。


「目元から微かに見覚えのある文様が見えた。それだけで首謀者が分かるとは…。手ぬるいな。この国でその文様は異質に移る」


「アルラティア国も焦っているのだろうな。この様に質の悪い暗殺者を向けてくる程だとは…」


 怯んだ様子の暗殺者達に向かってイリアとデュオはそれぞれの感想を口にしていた。それは暗殺者達の殺意をも煽るものであった。


「言わせておけば……っ!」


 一人がそう声を上げると、一斉に武器を構える。


「お前等二人は地獄を見て貰う!!」


 その言葉を合図に暗殺者達はイリアとデュオの二人に襲い掛かった。


「…………面倒だな…。が、仕方が無い」


 デュオは言いながら剣を振り、更に二、三人程をなぎ払う。そうしながらイリアの方を見やる。見やった瞬間、イリアに暗器がぶつかろうとしていた。が、デュオには見えていた。


 イリアと暗器の間に更に別の光が見えたのだ。


「確かに面倒です」


 そして次の瞬間、三人の男が悲鳴を上げる事無く、地面に倒れ付していた。


「こんな所でコレを出す事になるとは…」


 そう呟くイリアの片手には月の光を反射し、淡く光り輝く刃が何処からとも無く形を現していた。


「それは…………」


 デュオも微かに驚きに目を見開いた。


 イリアの持っていた剣は独特の形をしていた。この世界ではほぼ類を見ない形だ。


 だが、デュオにはその形に見覚えがあった。


「シュッセル国の宝刀…カタナか……」


 イリアはそれを構え、暗殺者達を睨む。


「切られたくなければ大人しく引け」


 冷たい声が周囲に響いた。




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