育成期間0年1ヵ月4週間
怪我も治り、学園へ戻った俺に待っていたものは教官からの説教だった。
この数日、音沙汰無しだったことは俺の無断外泊として扱われており、
処遇が決まるまで、俺は自室での謹慎を言い渡された。
・・・そんな馬鹿な話があるか。
俺は、殺されかけたんだぞ。
罰せられるべきは俺か?
違う。断じて、違う。
罪を咎められるべきは、貴族共だ。
何故、俺が学園を遠のいていたのか。その訳を教官へ訴える。
だが、俺への処罰が変わることは無かった。
教官に食って掛かるが、無駄だった。
この学園の教官は良識を持った人達だ。
決して、不正や暴力沙汰を見過ごすようなことはしない。
・・・相手が貴族以外であれば、だが。
彼らにも生活がある。
貴族に楯突き、職を失いたくはないだろう。
故に、例え間違っていたとしても、それが貴族の仕業ならば、
彼らはそれを正当化しなければならない。
諦めて、宿舎へと向かう。
腕には、まだ傷の癒えていないコッコ。
毟り取られた羽毛は生え揃い、引き千切られた翼も
繋がってはいるが、治っているのはあくまで上辺だけのようだ。
まだ、歩き回れるだけの体力は戻っていない。
部屋に入り、ベッドへ座り込む。
・・・これから、どうすればいいのだろうか。
傷ついた魔獣を見ながら思案する。
もう、普通に鍛えていては奴らに勝てないことは分かった。
少々違法行為ではあるが、危険な橋を渡っていく必要がある。
しかし、それがうまくいったところで他の魔獣に歯が立つのだろうか。
せめて、有用な能力を1つでも覚えてくれたら・・・。
そこで、思考が止まる。
魔獣に今まで無かった能力が備わっていることに気付く。
この時は、まだスキルレベルが足りず、能力の全貌を知ることはできなかった。
だが、俺の魔獣は確かに手にしていたのだ。
闇を照らすための、火種を。