育成期間0年0ヵ月4週間
その触り心地を一言で表すなら、柔らかい。
この一言に尽きる。
俺は今、魔獣コッコの体を入念にマッサージしている最中だ。
というのも、このニワトリモドキ。
ここの所、訓練で無理をさせ過ぎたのか、
体力値が底を付いてしまったようだ。
普通は、このような事態が起こらないように、
失った体力は瞬活薬を魔獣に与え、瞬時に回復させるのが
魔獣育成の定番である。
だが、情けないことに現在、俺の財政事情は逼迫している。
瞬活薬はそれほど高い薬ではないが、そんな薬を買う余裕すら無いのだ。
故に、今までは仕方なく、訓練の合間にコッコを休息させることで対処していたが、
まさか体力の回復量を消費量が上回っていたとは予想外だ。
訓練の見直しが必要だな・・・
愚痴りつつ、ふかふかの羽毛を手で感じながら、マッサージを続ける。
行き過ぎた訓練は、魔獣を疲弊させるのみ。
訓練によって得られるものは1つも無く、無為なものとなる。
つまり、この1ヵ月近くの訓練は、コッコにとって実りある内容では無かった。
そういう事なのだろう。
コッコという魔物のステータスを見極め切れなかった俺の落ち度だ。
・・・半人前、というのは言い訳にならない。してはいけない。
喚き散らせば、誰かが手を差し伸べてくれる段階は、
もう終わっているのだから。