育成期間0年2ヵ月1週間
くそっ・・・また根元から千切れやがった。
強い日差しが降り注ぐ中、俺は校内の草むしりに勤しむ。
謹慎の身であった俺へ、言い渡された処罰は学内の雑草除去。
何というか、非常に微妙な処分だ。
確かに学園内全ての雑草を取り除くには、それなりの時間と労働が必要であり、
ある意味では処罰と言えるのだろう。
が、はっきり言って農民出の俺にとっては苦でもなんでもない。
草むしりなど、日常茶飯事である。
まあ、貴族達にはこれが、屈辱的な事をさせられているように見えるらしい。
地べたを這いずり回っているように見えれば、連中にはそう見えるんだろう。
教官達も、重そうに見えて重くない。
そんな処罰にうまく落とし込んでくれた。というところか。
処罰な内容は兎も角。
俺にとっては都合のいい事だった。
作業中に綺麗に根まで抜けた雑草を手に取り、意識を集中させる。
============================================
【オ**草】
等*:下***
***ル地****群*。生物**える効**し。
============================================
・・・まだ、読み取れるほど上達していないな。
今、俺は草取りがてら、「鑑定」のスキルレベルを上げることに苦心している。
これからやろうと考えている事に、このスキルはどうしても必要だった。
学内全ての草を毟り取るまでには、最低でもレベル5にはしておきたい。
スキルというのは、覚えようとすれば大体の事は練習すれば修得することができる。
本当にありがたいものだ。
一方、魔獣コッコはというと陽気に当てられ昼寝の最中だ。
ここへ戻ってきた時は、元気の欠片すら無かったコッコも、
今では以前と変わらず、いやむしろ前よりも活き活きしているように感じられる。
・・・・・・
いや、分かっているさ。
こいつには、手なんてついてない。
手伝わせるなんて土台無理な話だ。
しかし、しかしだ。
この腑抜けた姿を見ていると、無性に腹が立ってくる。
・・・無意識にコッコの頭上目掛けて飛んでいく拳骨。
以前の教訓がまるで活かされていないコッコは再び脳天に直撃を食らう。
それからしばらくの間、コッコの「睡眠」は「気絶」へと変わることになった。




