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残念ながら全部聞こえてます~召喚聖女は誰を守るか自分で選ぶ  作者: Jun


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1聖女召喚

新連載始めました。 できれば、さっくり読めて終われるスッキリ話にしたいと思ってます。



「本当に来たわ」

「この本の通りやれば呼び出せると書いてあったが、簡単だったな」

「これでまたあと百年は大丈夫なのよね?」

「しかしよりによって黒髪黒目か。不気味な色だな。限られた間だけとは言え、こいつをチヤホヤするのはきつい」


突然何かの力に引き寄せられ、とっさに取った受け身で叩きつけられる衝撃を逃した神崎サラは、目を閉じたまま周囲から聞こえてくる声を聞いていた。

話している人間は複数いて、その内容は全体的に不快である。

【呼び出した】などと言っている彼らの話を盗み聞きするべく、サラはまだ目の覚めていない振りを続けた。


「それにしても、そろそろ目が覚めても良いんじゃないの」イライラしているような女の声。

「あんなに衝撃を受けても起きないとは、相当鈍感なんだろうな」

「ねえ、誰か早くこれを起こしなさいよ。私、いつまでもこんなところにいたくないわ」傲慢に、人に命令する事が身についている様な女の声がして、

「神官たちは何をしているんだ。仕方ない、俺が動くか」サラを不気味と評していた男が何かするようだ。


言っていた通り男が近づいて来る気配がして、それと一緒に「いけません、サーシェル公爵令息。不用意に近づいては危険です」という、それを慌てて止めようとする複数の人間の声がした。

が、その『令息』は制止を聞かず、歩みを緩める事無く近くまで来たかと思うと、足を伸ばしてサラを揺り動かした。

(なんなんだ、こいつらは。もしかしなくても、小説でよくある召喚っていうやつ?それにしても、人を誘拐して悪口を言って足蹴にするとか、最低な奴らじゃないか)


サラがなお眠ったふりをしていると「チッ」と舌打ちが聞こえ、今度は両手で乱暴に、横向きになっていた身体を仰向けに動かされた。

周囲では相変わらず、「サーシェル様、いけません。まず拘束した方が…」と慌てたような声が聞こえて、サラは拘束上等と思いながら、今目が覚めたように装ってうっすら目を開けてみた。


最初に目に入ったのは、自分を乱暴に揺さぶっていた男だった。

男は17歳のサラと変わらない位の年齢に見え、銀髪緑目、顔面はワイルドよりのいわゆるイケメンだった。サラと目が合うと、男は自信ありげににっこりと笑ってみせたが、イケメンに嫌悪感のあるサラは全く心を動かされなかった。

銀髪緑目は期待した反応を見せないサラに一瞬戸惑ったが、気を取り直して

「目を覚まされたようですね。聖女様!」と呼びかけてきた。


その時同時に、サラの頭の中に別な言葉が聞こえた。

『やっと目を覚ましたか。愚鈍だから俺の顔を見ても何も反応できないんだろう』

明らかな悪口だったが、目の前の男はニコニコと「聖女様がご無事で良かった」などと言っている。

(でも、さっきのはこの男の声だったよな)サラが考えていると、周りにいた人間たちがぞろぞろと、そろって笑顔を浮かべて近づいてきた。

サラは起き上がり「私…いったいどうしたんでしょう。ここはどこ、あなた達は誰?」

小説で読んでいたテンプレ台詞を試しに日本語、棒読み、怯えている様子で言ってみると、ちゃんと伝わったらしい。


「聖女様。ここはアンジェラ王国です。私たちが、あなた様をお呼びしました。私はレイモンド・サーシェル。サーシェル公爵家の者です。

よろしければ、聖女様のお手に触れる栄誉を」

再び自信に満ち溢れた笑顔で、銀髪緑目レイモンドがサラに手を差し伸べた。


サラは微笑みかけるレイモンドから目をそらし「私…。聖女なんて信じられません。アンジェラ王国なんて聞いた事もないし。何かの冗談なら、早く私を元の場所に返してください」とわざとグズグズ言ってやった。

すると思った通り『何なんだ。こいつ。俺の手を無視しやがって』と、銀髪緑目の声で罵倒が頭に響いてきた。

(やっぱり、こいつの思ってる事が聞こえてくるんだ)

検証が済んだので怒っているレイモンドを無視し、サラはひとまず自分のいる場所を見渡してみた。


【呼び出された】場所はだだっ広くて白い大理石の部屋で、天井が高く窓一つ無く、電気でも火でもない様な明かりが内部を照らしていた。

周囲にはレイモンドを含め、昔のヨーロッパ貴族みたいな若い男女が四人と、神官と思われる簡素で白い服を着た人間が十数名、そして部屋の隅の暗がりに、良く見えないが背の高い者が一人立っていた。自分の寝ていた床には、ちょうどサラの身体が収まる位の大きな円と複雑な模様が描かれている。

(ふうん。これがいわゆる召喚陣ってやつですか。ここに来る前に神様とかに会ったりしてれば話が早かったけど、転生?じゃなくて転移だからそれは無いんだな)

サラは読んでいた小説の知識を引っ張り出し、これは(異世界転移)と結論づけた。



読んでいただき、ありがとうございます。


続きが気になる!と少しでも思っていただけたら、ブックマーク、評価(下の方にある☆☆☆☆☆)やブクマ、いいねで教えていただけると、嬉しいです!

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