267
「小テストで悪い点取ったから追試のために教えて欲しいって」
「本当に?」
「疑い深いな。本人に聞いてみればいいのに」
「だって……」
岐阜さんは苦笑いして私を落ち着かせるように優しく笑う。
なんて聞くって言うのか。岐阜さんと仲良くしてたね、何話してたの?なんて私が……。岐阜さんが誰と話してようが勝手だ。
「別にこの部屋でのことなんて話してないし。あ、でも初めて呼び出した時の事はお礼が言いたかったって話してるから合わせてね」
「……分かった」
岐阜さんなりに、誰にでも言えるような事じゃないという認識はある様で、流石に誤魔化してくれたようで少し安心した。
岐阜さんなら全部言いかねないと思ってた。
「これで満足?不安はなくなった?」
「……ごめん」
「なんで謝るの」
たったこれだけの会話のためにどれだけ躊躇していたのか。
少し私意外と、私の親しい人と話していただけなのに突っかかるなんて傍から見たらみっともないにも程があるのに。
わたしを気遣うのは違うだろうと思うけど、私と岐阜さんは友達なんかじゃないから、言い合うこともない。
だけど、気分は良くなくて謝ると、本当に不思議そうに聞いてくる。
そことない恐ろしさを感じた。
恐ろしい事に、死ねと言ったら死にそうな。
言葉に気を付けようと思う。
「早とちりだったかなって」
「何をって聞いても話してくれないんでしょ。なら、良いよ」
「ありがとう」
岐阜さんは踏み込むくせに弁える。
その距離感が他になく心地よく思えてしまうことが気持ち悪い。




