表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

第12話 センターレッスンの話 2

 ちょっと間をおいて、

「んじゃ、もう一回ね。手はアンバー。足は5番。右足前でー」


 え? 5番ってどんなだっけ。

 先生と他の子を見ながら、真似る。右足をまっすぐ前にして、その踵に左足の先をL字にして合わせる。


「そのままドゥミプリエー」

 ゆっくり膝を曲げる。

 真似をして、同様に膝を曲げる。

 今回は、バーの支えが無いから少し不安定だが、ゆっくりだから何とか。


「腕はそのままでいいからねー」


 何度かプリエをした後、

「じゃあ見ていて。次っ、プリエで勢い付けて、踵を上げるよー」

 ユイ先生は、そう言って手本を見せた。


 一回プリエした後、ピョンとジャンプするようにカカトが上がって足が開く。ピンと一直線に伸びた足と身体も真上に伸びて、まるで東京タワーになったような感じ。

 伸びて降りる。降りた時は足は同じ5番のポジション。

「エシャペって言うのっ。本当はねー、ピンと伸ばした後にー、足の前後を入れ替えるんだけど、無理して戻さなくていいわっ。出来るならやってみる。ジャンプするような感じで身体を伸ばしてー」

 一通り、手本を見せた後、

「じゃ、行くよー。いちにの、さんはい!」

 ユイ先生が、手を叩いて号令する。


 それに合わせて、皆がそのエシャペをする。

 皆は既に習った事のある技だろうから、難なく出来る子、ちょっと戸惑いながらする子といるが、ボクは完全に初めてだ。


 ちょっと遅れながら、ピンと伸びる様にやってみた。

 形は出来たかもしれないが、姿勢は良くなかったと思う。


「そうねー、最初だからそんなものねー。じゃもう一回、はいっ!」

 皆、それぞれ難なくこなしていく。

 ボクも、さっきよりは上手くできた感じがする。

 ユイ先生もボクの動きを、笑うでもなく褒めるでもない感じで見ていた。


「さっきまで練習していたプリエはねー、ただの運動じゃないっ。次にジャンプしたり回転したりする為の予備運動なのよー。この色んなパ……つまりはステップねっ、それを連続で一連の動きにする為の動作だからー、一つ一つを大事に確実にマスターして欲しいのっ」


 そう言いながら、皆の前で一回、ピシッと立って見せる。


「プリエは同時にジャンプした後にぃ、着地でしっかり衝撃を吸収する為の動きでもあるから、しっかり身につけないと足を悪くするわよー」


 そう言いながらプリエした後、大きくジャンプして、つま先で着地してゆっくりプリエして踵を落とした。

 一つ一つの動きはゆっくりしていて、ジャンプした重力すらゆっくり見える。

 とても優雅な動きだ。


「つまりプリエは柔道で言う、受け身みたいなものですね」

 つい最近、柔道の基礎を教えて貰ったばかりだから、つい言葉に出た。

 でも、ユイちゃん先生は

「ごめんなさい。その例え、全然分からない」

 ニッコリ笑って、言葉を返した。

 そうだよね。柔道用語なんか一般女性はすぐ分からないよね。


 そして、ユイちゃん先生は、練習場の中央の方に手を向ける。

 そちらジュニアとユースのメンバーが、いくつもの動作を次々にこなすように踊っていた。


「あの動きをよーく見てねー。どれ一つ無駄な動きはないしー、意味のない動きはないのよっ」


 そのジュニアとユース達は、全員がほぼ一糸乱れずに同じ動作で踊っている。跳んで、着地して、軽くプリエして伸びあがる様に回転して、横にステップして……


 一人一人の動きだけなら上手だね、と思うだけかもしれないが、それを全員が全く同じステップで踊っている。何か迫力を感じた。

 そして、タン・タン・タンとステップして回って、ピタッと決めて止まった。


「凄いでしょっ。その為にも、色々な技を覚えていきましょうねー」

 ボクは思わず、コクコクと頷いていた。


「じゃ、今度はそのエシャペを連続でするわよっ。じゃプレパラシオン!」

 と言ってから、ユイ先生は一回止まった。


「あ、ごめんねー。教えてなかったわぁ。このプレパラシオンって最初のポーズを取ってねっていう号令なのー。だからさっきの5番の直立で立ってスタンバイね」


 あ、ボク以外は全員分かっていたみたい。

「じゃ、いくよープレパラシオン!」


 全員、ピタッと直立して待っている。

「手拍子に合わせてねー、いち・にぃ・さん・し、プリエ、エシャペ、プリエ、エシャペ……」

 その号令に合わせて、伸びて、かがんで、を繰り返す。

 一回一回がどうかなんか考える暇もない。

 正直手拍子も、皆が聞いているのかも分からない。

 足も入れ替えているつもりだけど、ぶつかったり微妙にズレたり。

 でも他の子も似たようなものだ。足があっち行ったりこっち行ったり。

 一糸乱れずどころか全員バラバラで、伸びたりかがんだりを繰り返している。

 でも、楽しい。ただ手拍子に合わせて身体を動かしているだけなのに楽しい。


「はいはいはいっ」ユイ先生はパンパンと手を叩いて皆を止める。


「じゃ、次の動作に移るねー」

 その後も、全員でシャンジュマン(エシャペで、本当に跳びあがる)とか、バーの時にやった、フォンデュしたり、フラッペしたり、ジュテしたり、デヴェロッペしたりを繰り返した。


 正直動作は皆、バラバラだったけど、時々決めで止めたり、でもってバランス崩したりして、低学年・幼稚園の子に一人大きな子が混じってだけど、何か一体感は感じた。


 そんな子達に混じっていたからか、いつもの自分と違って異常にはしゃいじゃったせいか、皆、自分も含めて息も切れ切れになった。

 そのみんなが、はぁはぁするのを見てか、


「じゃあ、ちょっと早いけど。終わりまーす」

 そう言って、皆を止めて並ぶよう指示した。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ