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第19話 ― 焼き落ちた月島

その夜は、紫岸島学園で静かに過ぎていった。


――しかし、すべてが終わったわけではなかった。


柱たちがようやく自分たちの学園へ戻った、その時――

彼らの足が止まる。


炎。


月島学園が、燃えていた。


炎は夜空を舐めるように立ち上り、黒煙が高く舞い上がる。

崩れ落ちる木材の音と、生徒たちの悲鳴が混ざり合う。


ジンが眉をひそめた。

「……なんで、あんなに騒がしいんだ?」


フラッシュが目を細める。

「様子が……おかしい。みんな、慌ててる」


ヨンビが急に立ち止まった。

「待って……あれ、炎じゃ――」


顔が一気に青ざめる。

「――火事だ!!」


生徒たちが彼らの方へ駆け寄ってくる。


「学校が燃えてる!!」

「月島学園が放火されたんだ!!」


柱たちは言葉を失った。

心臓が、底へ落ちていく感覚。


犯人は誰なのか?

――誰にも分からない。


彼らにできるのは、ただ立ち尽くし、

自分たちの“居場所”が炎に飲み込まれるのを見つめることだけだった。


ほどなくして、警察車両、救急車、消防車が次々と到着する。

サイレンが夜を切り裂き、負傷した生徒たちは救急車へ運ばれていった。


警察の初期発表は、電気系統のショート。


しかし――

複数の場所から、油の痕跡が見つかった。


混乱の中、ヴェルは歯を食いしばる。

「……絶対に許さない。こんなことをした奴を」


拳を握りしめ、怒りで震えていた。


翌朝


月島学園は、すでに廃墟だった。


黒く焼け焦げた壁、崩れた屋根、消えきらない焦げ臭さ。

多くの生徒は、この朝になって初めて事実を知り、言葉を失った。


月島学園の校長――戦国センゴクは、すぐに動いた。

多くの学校へ連絡し、生徒全員の一時転校を打診する。


だが――


次々と、断られた。


そして、ようやく一校だけが受け入れを表明した。


その学校の名は――アレクサンドリア学園。


理由は単純、だが重い。

三人の重要人物が、直接要請し、莫大な寄付を約束したのだ。


ジンの両親。

ユキの両親。

そして――ヴェルの父親。

アレクサンドリア学園の校長とは、旧知の仲だった。


戦国は生徒たちの前に立つ。


「我が校は火災に遭った。多くの学校に相談したが……受け入れてくれる所はなかった」


一拍置き、続ける。

「だが、一校だけ、手を差し伸べてくれた」


「――アレクサンドリア学園だ」


「ええええっ!?」

「あのエリート校!?」

「無理だろ、最悪だ!」

生徒たちが騒ぎ出す。


戦国が声を張り上げた。

「黙れ、愚かな生徒たちよ」


一瞬で、静まり返る。


「お前たちは全員、アレクサンドリアへ転校する。条件は三つだ!」


「一つ! 問題を起こすな!」

「二つ! アレクサンドリアの生徒に手を出すな!」

「三つ! 校舎や設備を破壊するな!」


「破った者は――即刻退学だ」


誰も、反論できなかった。


彼らはただ、受け入れるしかなかった。


翌日


戦国はアレクサンドリア学園の校長――オロチと対面する。


「あなたがいなければ、どうなっていたか……」

戦国は深く頭を下げる。

「本当に感謝します」


オロチは薄く笑った。

「構わんよ」


だが、その笑みは冷たく変わる。


「――ただし、私の三つのルールを守ることが条件だ」


彼は続けた。

「君たちには、専用の校舎を用意する。C棟だ」


戦国は黙って頷く。


「知っているだろう?」

オロチの声は淡々としている。

「A棟は教師、生徒会、エリート用」

「B棟は、凡庸な生徒用」

「そしてC棟は――今にも崩れそうな校舎だ」


鋭い視線。

「そこがお前たちには相応しい」


戦国は息を吐いた。

「……構いません。生徒たちが学べるなら」


しかし、その言葉の裏には――

深い不安が隠されていた。


月島学園は、崩れ落ちた。

戦争は、確かに終わった。


だが――

新たな試練は、今始まったばかりだ。


アレクサンドリア学園で、月島の生徒たちはどうなるのか?

厳格な規則と、残酷な階級制度の先に何が待つのか?


彼らは生き残れるのか――

それとも、内側から壊れていくのか。


次章、新たな地獄が幕を開ける。


つづく

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