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パート17 ― 戦争の太鼓

穏やかな一日が、いつも通りに流れていた。

太陽は静かに輝き、風は優しく吹き抜け、月島高校は平和そのものに見えた――少なくとも、表面上は。


紹介しよう。

彼の名はタカ。


寡黙で、口数が少なく、ほとんど問題を起こさない生徒。

しかし、その静けさの裏には、誰もが知る事実があった。

――彼は、学校で二番目に強い男である。


回想


ある日、タカは一年生がキンタロウを倒したという噂を耳にした。

その時、彼は本を読んでいた。


視線を上げることもなく、表情も変わらない。

――まったく興味がなかった。


日々は流れる。


タカが図書室へ向かって歩いていると、廊下で二人の生徒が興奮気味に話していた。


「聞いた!? あの新入り、倉庫でフラッシュを倒したらしいぞ!」


それでもタカは歩みを止めない。


ある日、教師に頼まれて職員室の片付けをしていた時、

一緒に掃除をしていた友人が小声で囁いた。


「なあ、知ってるか? 新入りがジンを倒したらしいぞ」


だが、タカは黙々と作業を続けた。


やがて、タカが上階の教室で一人、課題に集中していた時――

校庭から大きな騒ぎが聞こえた。


窓から覗くと、

新入りが“死の双子”を打ち倒していた。


それでもタカは机に視線を戻した。

まるで、見たものに意味がないかのように。


――しかし。


体育館へ向かう途中、

突然、教室の一角から叫び声が響いた。


「新入りが勝った!! ヨンビを倒したぞ!!」


タカの足が、止まった。


彼は自分の目で見た。

新入りが、重傷のヨンビを抱えて救急車へ運ぶ姿を。


周囲を見渡す。

校舎は酷く損壊し、壁はひび割れ、ガラスは割れていた。

そして校庭の隅で――

彼の自転車が燃えていた。


志賀真高校の仕業だった。


それでもタカは何も言わず、歩いて帰宅した。


数日後。


タカはいつも通り授業を受け、昼休みには一人で食堂に座っていた。

遠くでは、新入り――ヴェルが仲間たちと、第三の柱・レインの敗北について話している。


……正直、うんざりしていた。


――だが、その時。


タカは、笑った。


自分でも理由はわからない。

ただ、長い沈黙の果てに、自然と笑みが浮かんだのだ。


翌日。


第三の柱がヴェルに敗れたという噂は、学校中に広がっていた。

多くの者がヴェルを恐れ始める一方で、彼の仲間は増えていく。


放課後。


タカは再び徒歩で帰路につく。

自転車は、昨日の志賀真事件で焼け落ちたままだった。


――その途中。


突然、拉致された。


目隠しをされ、手足を縛られ、

彼はワンボックスカーに押し込まれた。


遠くから、その光景をヴェルは見ていた。

レオ、レオ、ユキと共に。


「レオ、ユキ。先に帰れ」

ヴェルは即座に言った。

「俺は追う。あいつら、月島の生徒を攫った」


「わかった、ヴェル」

「位置が分かったら連絡して!」とユキ。


ヴェルは月島高校の盗難自転車で、バンを追った。


向かった先――

志賀真高校。


胸がざわつく。

嫌な予感しかしなかった。


校門前で、志賀真の生徒たちに止められる。


「おいバカ。ここは俺たちの縄張りだ。部外者は入るな」


「そうか?」

ヴェルは冷たく返す。

「じゃあ、なんで俺の仲間が中にいる?」


「関係ねぇ」


「……なるほど」


ヴェルは拳を握った。

「なら――全員ぶちのめす」


彼は突っ込んだ。

次々と志賀真の生徒を薙ぎ倒していく。


一方、校舎内の空き教室。


タカは床に放り投げられた。


「ほぉ~、こいつが“強い”って噂のやつか。ははは!」

響く声。

「縛りを解け。遊んでやる」


目隠しと拘束が外される。


目の前に立つのは、巨体の男。


「俺はカイドウ」

「志賀真三戦神の一人、“破壊者”だ」

「お前、ヴェルだろ?」


「違う」

タカは静かに答えた。

「俺はタカだ。弱くて、無力な人間だ」


再び、ヴェルの視点。


激戦の最中――

剣圧が空を裂いた。


ドガァァン!!


「よくも月島の生徒を囲んだな!」


レインが部下を連れて現れた。


「ヴェル先輩ィィ!! ヒーロー参上ですゥ!!」

ヨンビが叫ぶ。


「うひゃひゃ! 学校戦争だぁ!!」

「ひぃぃ、人数多いよぉ……」

「うるさいな」

「100人? 200人? まあいい、全員倒す!」


仲間たちが集結する。


「助けに来たよ、ヴェル」

「道を開けろぉぉ!!」


ヴェルは笑った。

「……祭りに来たのか。いいだろ、始めよう」


ヴェルは校舎へ突入し、部屋を一つずつ開けていく。


そして――


扉を開けた先。


カイドウが、タカの首を掴んでいた。


「放せ、ブサイク! そいつは俺の仲間だ!!」


「誰だお前は!?」


「俺は――ヴェルだ」


一瞬の沈黙。


「……ああ」

カイドウは笑った。

「やっと来たか」


ヴェルが突進する。


だが――

カイドウはタカを投げつけた。


二人は扉に叩きつけられる。


「来いよ、二人まとめてなぁ!!」


「くそ……」

「強すぎる……」


「逃げろ、タカ」

ヴェルは立たせながら言う。

「俺が引き受ける」


「嫌だ」

タカは即答した。

「月島の仲間は、置いていかない」


「はは……いい根性だ」

「名前は?」


「タカ」

「ヴェルだ」


「おしゃべりは終わりか? お嬢ちゃんたち」


「後悔させてやる」

「腐った人間め」


三人が構える。


視線が交錯する。

殺気が、部屋を満たす。


勝つのは――

月島か、志賀真か。


だが一つだけ、確かなことがある。


学園勢力図は、ここから動き出す。


つづく

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