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推しの義弟を守りたくて悪役ルートを回避したら、愛が重すぎる未来ができあがった  作者: ChaCha


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17/89

学園への道は一年遅れで

魔術学園──

それは王都から少し離れた丘の上に建ち、

魔力を持つ子どもたちが通う専門の学び舎だった。


本来の入学年齢は12歳。

今年の春には、子どもたちが入学準備を始めている。


アメリアとアレックスも、

屋敷の応接室で学園に関する説明書を広げていた。


レナが優しく言う。


「アメリア様、魔術学園は12歳からでざいます。

 本来なら来年の春からのところですが……」


アメリアはこくりと頷いた。


「うん。“病弱”だから、一年遅らせるんだよね。」


レナは少し困ったように微笑む。


「ええ。公爵様も夫人様も、

 “アメリア様を外へ出すのは慎重に” と……。」


アメリアは紙をぱらぱらとめくり、

授業内容のページで手を止めた。


魔力操作の初歩

魔法陣の基礎

魔法薬学の入門

属性ごとの基礎訓練


(魔法薬……優秀なスチルがあったよね……

 いや違う、原作はもう関係ない!)


そこへ、アレックスが横から椅子に登り、

アメリアの肩を覗き込んだ。


「……アメリア、ほんとに一年、遅れて行くの?」


「うん。王立学園を避けるためにも、

 魔術学園に行く前に“体が弱い”って証明しないとね。」


アレックスは眉を寄せる。


「遅れたら……アメリア、寂しくならない?」


アメリアは小さく笑った。


「アレックスが一緒なら大丈夫だよ。

 同じ年に入学できるし、一緒にいる時間が増えるでしょ?」


アレックスはその言葉に、静かに胸を押さえた。


「……そっか。

 じゃあ……一年遅れるの、悪くない……。」


アメリアはアレックスの頭を軽く撫でた。


「アレックスも、いっぱい準備しようね。」


アレックスは真剣に頷く。


「……うん。がんばる。」



その日の午後。

カインとマリアが侍女たちを下がらせ、

アメリアとアレックスを前に座らせた。


「まずは確認だ。」

カインが重い資料を机に置いた。


「アメリアは“体が弱く、長距離移動も大人数の場所も負担が大きい”という申請で、入学を一年遅らせる。

 すでに学園側も了承済みだ。」


アメリアが手を挙げる。


「パパ、どうやって許可してもらったの?」


「……提出書類というのはな、

 “読む者の常識と理解力に応じて” 内容が変わるものだ。」


アメリアは「あっ……パパ……裏の顔……」と心の中で震えた。


マリアが優しく補足する。


「大丈夫よ、アメリア。

 あなたが本当に無理なく学べるように、

 学園とも丁寧に話したの。」


アメリアは安心したように息をつく。


「うん。ありがとう、ママ。」


カインは続けてアレックスを見る。


「アレックス。

 お前は通常どおり入学する年齢だが……

 アメリアが同じ年度で入れるように調整した。」


アレックスは驚いて目を丸くする。


「……同じ年に……行けるの?」


「ああ。」

カインは静かに頷いた。


「アメリアが病弱である以上、

 “補助者”がいるほうが自然だ。

 お前がそばにいるのは、学園側としても好都合なのだ。」


アレックスは胸をそっと押さえ、

表情を引き締めた。


「……僕が……アメリアを守る。」


カインは口元を緩める。


「その意気でよい。」


マリアがアメリアに微笑みかける。


「アメリア、あなたは病弱設定を一年続けることになるわ。

 だけど、無理しなくていいのよ。

 “疲れた演技” と “あまり出歩かないこと” を、

 少し気をつけるだけでいいの。」


アメリアは頷く。


「うん。やってみる!」


アレックスはその横で真剣に言った。


「アメリアのこと……僕、助ける。」


「ありがとう、アレックス。頼りにしてる!」


二人は顔を見合わせ、

自然と笑顔になった。



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