幼稚な気の引き方
元々連載物だったので、続けてみました。
R15なので朝チュンですが、それっぽい表現がありますので
苦手な方はバックプリーズです。
「……私の凛……」
もう一度、羽根のような口付けを……してこようとしたエルの顔を、凛は両手でガッシリとブロックした。
流石にそう何度も色男の顔が近付いてもらっちゃ、心臓が持ちそうにない。
しかも気のせいかもしれないが、今度の目標は鼻の頭ではないような感じがしたから。
「とっ、とにかく裸のままでいないで、何か着てよ!」
「ふふ、可笑しな事を言うのだねぇマリアは」
「……マリアって何」
「『マトリカリア』では長いからね、縮めて『マリア』で」
「花もともかく聖母って……で、おかしなことって?」
「私は猫だよ、犬ならばともかく猫に服を着せようと言うのかい? マリアはソレを事の他お嫌いではなかったかな」
流石は、長年一緒にいる夫婦みたいな関係の一人と一匹。
凛は、動物に服を着せるのはあまり好きではなかった。
ヘアレスの犬や猫には、体温調節の為に着せた方が良いのも分かる。
しかしファッションとしてなら話は別だ……まぁ、可愛いとは思うけど。
一時ならともかく、常時着せるのはいかがなものか?
動物の毛並みの手触り! それが魅力ではないのか?
特に、アビシニアンの特有のアグーティタビーの被毛の輝きと滑らかな手触りと言ったら!と、今はこんな主張などしている状況ではなくて
「いいから、何か持ってくるからっ!」
ベッドから跳ね起きると、急いで両親の寝室に向かう。
この家で男物の洋服と言えば、父親のものしかない。
昨日見た感じから言えば、体格的には父親とそう大差ないように思い、Tシャツとジーンズを箪笥から引っ張り出した。
流石に下着を選ぶことはできないが、当面はこれで目のやり場に困らないだろう。
部屋に戻りベッドに腰掛けているエルに向かって、顔を逸らしたまま持ってきた服を放り投げた。
「ちゃんと、着てちょうだいよ!」
凛はそう釘を刺すと、階段を下りる。
色々と考えなければならない事があった。
第一、飼い猫が猫又になって人間の姿で今ここにいる事自体が非常識すぎる!
でも言っちゃ何だが、凛は結構柔軟な思考に富んでいて、SFや狐狸妖怪や幽霊や超能力や宇宙人、世界の不思議系な事などを盲目的に信じている訳ではないが、見えないものが絶対無いとは言い切れない、あるのなら面白い!な感覚なので、この手合いもその気になってしまえば受け入れることも平気だ。
きっと突然異世界に飛ばされて、聖女として世界を救え!なんて言われても難なくこなせるだろう。
だが、普通の人はどうだろうか。
人は人知の及ばないモノ、想像がつかないモノ、自らの理解の範囲を超えたモノに対しては畏怖してしまい、最悪の場合そのモノをどんな手段を使ってでも排除しようとしてしまう。
特に両親共々『超』のつく現実主義者だ、パニックどころではすまない気がする。
どんな事があっても、どんな姿になっても、例え妖怪になって凛にとって『大事なエーちゃん』には変わりないのだから守るのが当たり前で、それ以外の選択肢など存在どころか、一瞬足りと浮かんでこない。
「いっその事、TVに出て一儲けでもしますか~ぁ」
選択肢の一つを呟き、出来もしないのにと苦笑しながらリビングの戸を開けた。
昨晩の事が夢でないのなら、リビングは空き巣によってさぞかし大変な事になっているだろう。
荒らされた様子もあったし、その後暴れまわった様な記憶もある。
もしかしたら、血痕なんかもあるかもしれない。
綺麗好きの母親のこと、異変があればすぐに見抜かれてしまう。
「……あれ?」
しかしその予想は大きく外れ、リビングは整然と片付いていたのだ。
不思議そうに頭を捻ってると、背後から長い腕が回され事の真相が明かされる。
「マリアと母君に迷惑かけるといけないからね、私が妖力で片付けておいたのだよ」
「エーちゃんが!?」
「そんな事より、初めて人の格好をした私への感想はいかがなものかな」
優しく体を回されて、感想を求められた。
頭のてっぺんから足先まで、じっくり眺めて一言。
「……微妙」
「おやソレは残念、じゃぁ脱ごうか」
「! いっいい、大丈夫‼ 似合ってます‼」
凛が真っ赤な顔で慌てて肯定する様子を、エルはさも嬉しそうに喉奥で笑う。
「まぁ、丈が少し短いからかねぇ」
まさに、その通りだった。
身長も体格も父親とそう変わりはないのだが、明らかに足の長さが違うらしく、ジーンズが八分丈の中途半端な長さ。
しかも専用の穴がないから、ウエスト辺りにでも尻尾を巻き付けているのだろう。
Tシャツの裾から、2本の尻尾の先っぽがキーホルダーみたいにぴょこぴょこ揺れているのが可愛くて、なまじ見目が整っている分、そのアンバランスは否めない。
だが明るい場所でまじまじと見るその姿は、Tシャツとジーンズと言う普段着をここまで優雅に着こなすのはドコのモデルさんですか?
とツッコミたくなるぐらいのもので、実際『猫耳と二本の尻尾』がなければファッション誌の表紙を飾りそうな雰囲気だ。
……そのままでも、別の本の表紙にいけそうだが……
ニコニコと嬉しそうな微笑を浮かべる男に思わず見惚れていたが、はっと我に返ると、ペシペシと両頬を軽く叩く。
何だが、あの笑顔に飲まれてしまいそうだったから。
「えと、ゴメンお腹すいてるよね、今ご飯の用意するか……ら」
場を取り繕う意味でも、普段の生活様式に戻ろうとした。
エルの朝の猫缶を出すのは、凛の日課だ。
だが今日はどうだろうか?
エルは人間の格好で、そのままで猫缶を食べる姿は想像できない。
しかも治療食なので、CMで見る市販のものと違い『美味しそう』とは絶対思えないのだ。
でも猫のエルにはこれが一番体にとってはいい訳で、猫缶を片手に散々迷った凛は当の本人に聞いてみた。
「ねぇ、エーちゃん……いつもの猫缶でいいの?」
「うん? マリアと同じ物で構わないよ」
「えぇ!? 私はカレーのピザトーストにするつもりなんだけど!? カレーには玉葱も香辛料も入ってるし、チーズには乳糖も塩分も入ってるし、猫は食ちゃダメでしょう!?」
「猫又はいいんだよ」
「食べてもいいの? 烏賊とか、竹輪とか、煮干とか、鮑とか、チョコとかも!?」
「平気だよ、厳密に言うとね、食物を食べなくても生きていけるんだ」
「何も食べないの?」
「まぁ、その場合は人の精気が必要なんだけど」
「……人を襲ったりするの」
「昔はね、そんな物騒な事もあったらしいけど、私は他人なんか襲ったりしないよ。 だから一緒の朝食を摂りたいな」
「うん、じゃぁちょっと待ってて」
迷ったり、驚いたり、心配そうに眉を顰めたり、嬉しそうに微笑んだり、目まぐるしくまるで猫の瞳みたいに表所を変える心根の優しい少女。
今は、パタパタとあまり得意ではない料理に気のいっている彼女に
「襲ったりなんかしないよ……他人はね……」
ポツリと零した呟きは届かない。
どうせ今日はエーちゃんと(猫の!)の~んびりと過ごすつもりだったのだから何の予定も入れてなくて。
ニコニコと初めての味に舌鼓を打つエルのその姿は、結構あどけなくて可愛いかなとも思えたが、のんびりする筈がショッキングの連続になろうとは。
パジャマから服に着替えたいのだけれど、部屋に戻ろうとすると当然のように付いて来るし。
(猫の時だってそうだったけど、流石に今の状況じゃマスイでしょ!)
仕方なくソファーでTVを見ていたら、遠慮なく膝枕状態で、更に下からチョッカイかけてくるし。
(そりゃ、いつも膝に顎乗せて寝てたりしたけど! 寝てる姿が可愛くて、私がチョッカイかけたりもしたけど!)
対戦ゲームもボードゲームも、何でかやたらと強い。
(いつもキャラの動きを目で追ったりしていたけれど、何で技の出し方まで知ってるの!?)
乙女ゲームをやったら、私の目の前に顔を持ってきて画面を見せないようにするし。
(私の推しキャラに尻尾逆立てて睨みつけるのは、ナンデスカ)
昼食はエーちゃんのリクエストでピザを頼んだら、ほっぺたに付いたケチャップを舐められるし。
(確かに猫の時に舐めてくれた事もあったよっ! でもっ‼)
夕食にハンバーグを焼こうとして、指にちょっと火傷したらパクッて銜えられちゃって。
(舐めて怪我を治すのは分かるんだけどっ! でもでもっ‼)
お風呂にも一緒に入ろうとするし。
(アビはあまり水を怖がらないから、お風呂のふたに乗せて、いつも一緒してたけど。
トイレにまで一緒に入ってこようとするしっ! 断固拒否したら、トイレの前でじーっと待ってるし。
(……それは止めて、出るものも出ませんっ‼)
一分の隙間もない、過度なスキンシップに凛は精神は限界寸前だ。
もう今日は早く寝よう……九時には寝よう……と思っているのに、エルは一向に離れてくれない。
普段ならこのぐらいの時間になれば、外に散歩に行くのに。
その隙に寝てしまえ!と思っているのに。
チラチラと時計を気にしていると「ん?」と伺うように視線を絡めてくる。
「エーちゃん、今日は夜の散歩に行かないの?」
「昨日あんな事があったばかりなのに、マリアを一人になんて出来ないよ。 猫の集会なんか、縄張りなんか、マリアを守れればそれで十分だ」
食住が満ち足りた猫でも、縄張り問題は結構シビアな筈だ。
だがそれよりもこちらの方がいいと、少女の細腰に腕を回し、男は幸せそうに微笑みながら膝枕を独占する。
って、こんな甘い雰囲気に流されている場合じゃなくてっ!
「エーちゃん、私もう寝るから」
「おや? 明日も休みなのに、宵っ張りのマリアが珍しいね。 じゃぁ、行こうか」
……あぁぁぁ、やっぱり……
一緒に寝るのがさも当然と(そりゃ、猫の時はねぇ)エスコートしようとするエルの手から逃れ、正面を向いたままジリジリと後退し、ドアノブにそっと手をかける。
「ゴメン、エーちゃんはここのソファーで寝てくれる」
「どうして?」
「だって今のエーちゃんは男の人なんだモン、一緒のベッドになんて寝れないよ」
「一緒のベッドじゃなくても構わないよ、だから同じ部屋にいたいな」
「それもダメ」
「何で?」
「何でって……」
分かっている、エルの意識はあくまでも飼い猫のエーちゃんだ。
だけど凛からしてみれば、今のエーちゃんは男の人な訳で……そう、完全に男性として意識してしまっている。
今日一日、側に居られただけで結構限界点が近いのに、はっきり言ってこれ以上は無理だ!
「ゴメンね、聞き分けてっ!」
一気にドアを開けてリビングの灯りを消すと、階段を駆け上がり自分の部屋に避難した。
鍵を掛け、ほ~っと一日中溜め込んでいた息を吐く。
正直、あんな美形と一緒に居るなんて慣れてないのだから、そうなってしまうのも仕方がない。
程無くしてドアをノックする音と、予想以上に意気消沈した声が聞こえてきた。
「マリア、一緒に寝ようよ」
「ダメったらダメ」
「どうしっ」
「エーちゃん、めっ!」
思わず言ってしまった、本気で怒るときの言葉。
本気で怒っている訳じゃない、ただこれ以上食い下がられるのが嫌だっただけ。
猫の筈なのに一緒に寝るのが恥ずかしいだなんて、自分だけ意識してしまっているだなんて、そんな事言えやしない。
暫く重い空気が流れた後、ドアの向こうから抑え込んだ悲しげな声が聞こえた。
「……マリアは、私のこの姿が嫌いなんだね……この姿になってから、触ってくれない、撫でてくれない、キスもしてくれない」
「そっ、それは!」
「困らせたい訳じゃない、嫌な事を押し付けたい訳じゃない。 マリアに嫌われるなら、猫又になんかならなければ良かった。 私はここから出て行くよ……今まで本当に有難う」
「……えっ?」
『出て行く』言われた言葉が理解できなかった。
だけどドアから気配が離れていってキシと階段が鳴った時、無意識に口が叫んでいた。
「行っちゃ、ダメっ!」
頭で理解するよりも先に、感情が口をついて出る。
『私からエーちゃんが離れていく』そんな事、認められる筈がない。
それこそ『死が二人を別つまで』そんな事は許されないのだ。
鍵を開け廊下に出てみると、寂しげな男の姿。
「ひ……ちゃっ……ダメ……いっちゃ……めっ」
理性が判断を下す前に、感情が涙腺を支配する。
ありえない衝撃にボロボロと涙が止まらない。
「嗚呼ごめん、悲しませたい訳ではないのだよ、だから泣かないで」
エルは凛の頬に手を添えると、涙を丹念に舐め取った。
そのざらついた舌の感触が、負の感情をほんの少し落ち着かせる。
『猫の時も、泣いていたらこうして舐めてくれたっけ』と
そしてそのまま胸元にしまい込まれるように、強く抱き締められた。
僅かに香るその匂いも、エーちゃんの匂い。
温かいお日様に干したてのお布団のような、ホワホワした幸せの匂い。
「私はここに居てもいいんだね」
「居なくちゃダメ」
「私の事を嫌いではないのだね」
「うん、大好き」
「マリアの側に居てもいいのだね」
「うん、居て」
「じゃぁ、一緒に寝ても良い?」
「……寝るだけだからね」
「それ以外に何か?」
凛は何かを言いかけたが、吐息を一つ、それを最後に口を閉じた。
エーちゃんは人の姿をしているけれど、猫だ、猫なのだと自分に強く言い聞かせる。
部屋に戻ってベッドに横になると、エルもそのまま入ってくるかと思いきや徐に服を脱ぎだした。
「エーちゃん!?」
「んっ、人間の格好は結構窮屈でね」
寝るのに普段着を脱ぐのは正論だか、パジャマの用意をしとけばよかった!と悔やんでも後の祭り。
凛が慌てて壁際に体の向きを反転させると布団が持ち上げられて、スルリとしなやかにエルの体が入り込んできた。
背中にピタリと密着して、片腕は絡め取られて、鼻先は後頭部に深く埋められる。
やがて髪の中からサリサリと何かが擦れるような音が聞こえ出した。
「エーちゃん、何?」
「ん~毛繕い、気を落ち着けるにはこれが一番だよ」
『いや、逆効果ですけど!』と突っ込みたい気持ちをぐっと抑える。
もし拒絶して、また出て行くなんて言われたら!?
あの感情は恐怖に近い……あんな想いは懲り懲りだ。
だけど、だんだんとグルーミングの範囲は広がって、髪から耳、耳から首筋、首筋から項、項から襟が開く背中の上部、もうその頃になるとそれはグルーミングではなくて舌戯と言った方がいいだろう。
凛は、気が付いていない。
エルが『他人は襲わない』といった、言葉の真意も
廊下で抱き締めた時の勝ち誇ったような、企み笑顔も
意図的に壁際に追い詰められ、逃げ道を絶たれた事実も
無垢な少女の吐息に、次第に零れるような微かな嬌声が混じる。
もうすぐ、嫌でも気付くことになるだろう。
この雄の猫又は、当の昔に飼い主を『 雌 』として見ていた事に……。
鈍い鈍痛が、凛の夢の世界から引き戻す。
何かに貫かれたような痛みが下腹部を支配し、意識のレベルが上手く上がってこない。
ボーっとした目で時計を見てみると、短針が一の数字を指し示していた。
寝すぎたせいかな?と思いながら、目を覚ます為に階下の洗面所に向かと、リビングに人の気配を感じ何の気なしに覘いてみたら、母親が忙しそうに旅行の様々な荷物やお土産を整理しているところだった。
「……あれ、もう帰って来たの?」
「もうじゃないでしょう、お昼回ってるわよ。 誰も居ないからって、随分と夜更かししてたんじゃないの」
「夜更かしって言うか、朝までっ!」
そう、明け方近くまで寝かせてもらえなかった。
ぶっちゃけ言ってしまえば、そこまでの記憶しかなくて気絶したといった方が正解だろうが、一瞬にして目が覚め血の気が下がる。
恐る恐る自分の格好を見てみると、寝乱れた感はあるがちゃんとパジャマは着ていた。
そして、もう一つの重大事項が。
「……エーちゃんは……」
「エーちゃん? 凛の足元に居るじゃない、一緒に寝てたんじゃないの」
「えっ!?」
下に視線を落とすと、そこに居たのは紛れもなくアビシニアンのエーちゃん。
ゴロゴロと喉を鳴らしながら、足にスリスリとお馴染みの八の字運動。
「エーちゃん、お土産に美味しそうな猫缶を買ってきてあげたわよ。 天然無添加のナチュラルフードですって、でも健康問題があるから少しずつね」
ぴんっと一本の尻尾を立てて、母親の方にも嬉しそうに擦り寄って行く。
その姿は、一昨日までの、いつもの、猫のエーちゃんで。
昨日の事は全て幻だったのだろうか?
この下腹部の鈍痛も、そういうものではないと?
もしかしたら、あの空き巣にそのまま絞め殺されちゃって、これは今際の際の夢?
「どうしたの凛、顔色が良くないわよ。 具合でも悪いの?」
「……うん、ちょっとお腹と頭が痛いかも」
「お休みだけど、病院に行く?」
「うんん、多分もう一眠りしたら大丈夫」
「そう、無理しないできつくなったら言うのよ。 お粥さん、作ってあげようか?」
「平気、夕飯までにはきっと落ち着くと思うから」
……私の、この胸の内の痛みが……
ふらつく足取りで部屋に戻ると、ベッドの仰向けに倒れこんだ。
「つっ!」
その衝撃で、腰とその深部にズギン!と痛みが走る。
何が現実で、何が夢で、何が幻で、何が真実なのか分からない。
考え込むかのように眉間に皺を寄せながら、強く目蓋を閉じた。
ギシリ、自分以外の重みがベッドに加わり、軽く沈む。
「すまないね、まだ痛むのかい。 マリアの精気が美味しすぎて、手加減が出来なかったからねぇ」
「 ! 」
顔の真上から、あの悩殺ヴォイス。
驚いて目を見開くとそこには、艶やかに微笑む人型猫又のエル。
「エっ!」
思わず大声を上げそうになった凛は、慌てて口を両手で押さえ込む。
「大丈夫、この空間は私の妖力で封じたから、声も音も外には漏れないよ」
「エーちゃん!? ホントにエーちゃん?? アレ?じゃぁさっきの猫のエーちゃんは???」
「猫又は、色々な姿にも化けられるのだよ。 普通の猫の姿も、この人の姿も、いわば仮の姿。 尾が二つに分かれた猫又の姿が、何の妖力も使っていない本来の姿かな」
「何で、あんな事を?」
「だって、現実主義者の母君にこの姿を見せる訳にはいかないだろう。 本来、妖は人に正体を見せてはいけないものなのだよ、それは禁忌だから。 妖と人との間で余計な諍いの種になってしまう、それは避けなければならないからね」
「じゃぁ、私は」
「ふふ、二人だけの秘密だよ」
「うん」
「で、まだ痛いの」
ニコニコと微笑んでる視線が、ナンカ不穏ナノデスガ?
「私の責任だから、癒してあげるよ」
力一杯、御辞退申し上げたいのデスガ?
「夕飯までじっくりと『毛繕い』してあげようねぇ」
ヒィィィィィ! やっぱりぃぃぃぃぃぃ‼
凛の悲鳴は一切外に漏れることはなかった。
それはエルが張った妖力の効果ではなく、全てが男の口の中に消えていったから。
流石は日本古来から存在している妖怪猫又、色々な意味でどうやら性質が悪そうだ。
その瞬間から、凛とエル『と』の戦いが始まる。
やっぱ、元飼い猫ですしねぇ
そこには色々な種族の差と言うか、葛藤があろうかと思って書いてみれば
単なるギャグネタにしかならなかったとw
ちなみにウチでは「粥」の事を「お粥さん」と言うのデスヨ
なぜ「さん」付けなのか、皆目見当もつきませんが(^_^;)




