入隊試験①
CRATZの入隊試験にやってきた俺。
早いもので最後に受けたのは10年前…。
高校時代に引きこもってたせいもあってか、運動神経が鈍くて不合格になったんだよな…。
そして、まさかまたこの時が来るとはな・・・。
俺はCRATZの試験会場に来ていた。
俺以外に多くの受験者達が来ていた。
CRATZは怪獣討伐を目的とした組織なだけに、危険が多い分、福利厚生が豊富・・・分かりやすく言えば所属するだけでも高い給料が貰える上に労災も適用される・・・。
そういう金にがめつい奴もいるって訳だ。
やっぱり受験者って若い奴らが多いな・・・。
俺みたいな中年のおっさんなんて俺1人くらいなもんだな・・・。
周囲からの眼が痛え・・・。
『それではただいまより1次試験を始めます!会場に向かってください』
アナウンスが流れて俺達は試験会場へ向かった。
1次試験は筆記試験。
こればかりは簡単な問題ばかりだから難なく突破出来そうだ。
こんな俺だが、勉強はできる方だった。
引きこもりになってからは通信教育で何とか高校卒業の資格を得られたんだよな・・・。
でもなんだ?
な~んか、視界がぼやけてるような…?
とりあえず1次試験は突破出来たぜ!
今度は2次試験だが、まさかの体力テストかよ!!
「ハア・・・ハア・・・」
腕立て50回、腹筋50回って・・・なんだこの試験は・・・!?
討伐系の組織だからこれくらいは当然だと思うが・・・
「ゼェ・・・ゼェ・・・ハァ・・・」
グラウンド10周って・・・
たった10周なのに・・・
なぜだ・・・息切れが激しい・・・
もしかしてこれが、加齢による衰えか!?
ってことはさっきのぼやけは…
"老眼"…!?
「おい、おっさん!無理すんな!」
「帰っても良いんだぞ!」
他の若い受験者達に完全に笑われてやがるな、俺…
正直、心が痛い・・・
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『ーー2次試験はこれにて終了!お昼休憩終了後に、最終実技試験を行います!』
「ぜえ・・・はあ・・・ぜえ・・・はあ・・・やっと終わった・・・・・・・・・」
やっと昼食・・・
俺にとって一番の楽しみな時間・・・
子供みたいな感じだけど、正直この時間を祝福に感じるーー
辛い時に食う飯は上手いからな・・・。
会社に勤めていた時もとにかく昼の時間が楽しいと思っていた!
よし!飯食ったら最終試験頑張るぞ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
昼食を終えた俺は、最終試験の会場に来た。
「それではみなさんには実践に近い戦闘の試験を受けて頂きます!みなさんの来ているそのスーツは、我々が操縦する神工騎士を動かすセンサーが備わっております!今回みなさんには、この試験用の神工騎士で戦闘試験を受けて頂きます!」
目の前には量産型とも言える同じ見た目の神工騎士がたくさんあった。
その内の1つを俺も選んだ。
「すげえ、本当に俺の動きが伝わってやがる!!」
俺は年甲斐もなくワクワクしていた。
試験とはいえ、今俺は神工騎士を操縦しているんだ!
よし!いくぞ!!
最終試験!!