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終着点の其の先は 後編

 何日か教会の図書室を使わせてもらい、此の国の文字を大まかだが覚えた。どことなく見覚えのある文字で、スラスラと読めるようになる迄に其れ程時間はかからなかった。

 本を読んでいるうちに、少し気になる古代の文献集を見つけた。文献には建国当時から存在する神の代理人こと「神女しんにょ」についてが書かれていた。もう1500年以上も続く此の国の神女というから、てっきり聖女の様に10数代の資料が載っているものと思っていたが、どうやら此の国の神女は未だ死んでおらず、1代目なのだとか。

 大前提として、神女と聖女は、もっなる存在で、神女は神の代理人であり、聖女は神の愛し子だ。彼らの違いは使う力、出来る事、神から見た立場、その他諸々(もろもろ)多くの所で違いがあるのだとか。

 先刻(さっき)言った使う力でいうと、

 『神女は魔力と妖力、聖女は神聖力を扱う。魔力は魔法を使うことの出来る力、妖力は妖精の力で、妖精の力を借りてるのに近いそう。2つとも、奇跡の力と呼ばれている。逆に、聖女は神聖力“だけ”を扱い、植物生物に関係なく癒すことが出来る。此の力も奇跡と呼ばれはするが、教会の神官等も弱くはあるが使用出来る為、比較的ポピュラーな力だ。魔法でも妖術でも癒すことは出来るが中々に時間が掛かり、少々グロい。其の為、効率の問題で使おうとする魔法師も妖精師も殆どいない。が、魔力や妖力は神聖力へ何故か反発する為、多くの場合は魔力生成されたポーションを使っている。』らしい。


 文献によると、どうやら神女は人間界に降りることの出来ない神の代わりに国を導く役目がある為、神と同じく、死ぬことの許されない存在なのだとか。よって、致命傷を幾つか同時に負わない限り死ぬことは無いのだとか。それに、死んでも神女の記憶、謂わば前世に当たる記憶も保持したまま生まれるらしい。他の国の文献では突如として神女が現れた事例ケースもあるらしい。生まれ変わった場合のみ2代目や3代目等と同一人物であるにも関わらず世代が変わるとのこと。

 この国の神女は1代目、要するにまだ神女は生きている。まあ知ったところで僕には関係の無い話だ。

 本を読んでいる過程で気付いた事があり、此処の本の出版年が最高で王国歴1586年なのだ。予想が間違っていなければ、今は王国歴1586年だ。

「すみません、神官様。今は王国歴何年ですか?」

 聞いた神官が少し固まったと思うと口を開いた

「今は王国歴1586年ですが、何かありましたか?」

「いえ、只本の出版年が1586年で止まっていましたので、何年なのだろうかと思いまして。ありがとうございます。」

「いえいえ」

 会話が終わると、神官は足早に立ち去っていった。何か無礼なことをしてしまったのだろうか。

 また本を読みに戻り、しばらくした時、先程の神官と共に複数の神官が戻て来た。気にせず読み続けていたら、「先程の少年はいるか。」と図書室全体に聞こえる声で聞いてきた。この図書館一応2階迄あって、しかも国内外問わず数多の書物を集めた王室図書館に次ぐ広さの図書館だ。そんな図書館の基本隅の方で本を読んでいる僕にも聞こえてくる様な声だ。

 読みたかった本は読み終わったから、人を探している様子なので邪魔にならぬ様にと、そそくさと図書館を後にした。彼らが図書館に入った時、少し息苦しくなったのだが、忙しそうだし僕なんかのせいで更に手を煩わせる訳にはいかないから黙っておこうと思う。それに、どうせ直ぐ治るでしょ。

 子供でも出来る仕事を探しに、職業紹介所へ来た。此処では、張り出された仕事から好きなモノを選べるのだが、此処に来る人は大体日雇いのモノばかり選んでいくから自然と僕がやりたい長期期間仕事に駆り出される仕事が多く残っていた。

 コルクボードには、毎朝・夕の新聞販売の仕事や、家の家事全般を数カ月こなす仕事、店の店員や留守番の仕事等も貼り付けられていた。

 日雇いの仕事と長期の仕事を幾つか見繕い、受付に出し、手始めに薬草が生い茂る森へ向かった。

 僕の選んだ日雇いは、兎に角時間が掛かる為、誰もやりたがらない職種だった。薬草を指定の量森から調達する。単純だが、其れ故面倒でもある。薬草といっても所詮草だ。個々の重さ何て大したことない。だから、2キロ分の薬草採取なんて疲れるし面倒に他ならない。

 邪魔も無いので、情報通りの薬草を只管ひたすらに採取すること半日。辺りが暁に染まり始めた頃、蓮華が咲いた。

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