表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎの国の娘  作者: 宮守 美妃
5/30

真帆の力

 夕飯が出来るまでゆっくりしてて?とアリッサの母親に言われ、リビングでぼんやりしているとアリッサが声をかけてきた。


「真帆さん、これ見てください!」

 アリッサが見せてきたのは絵本だった。


「これは?」


「人間が出てくるおとぎ話です」


「人間が?」


「はい」

 2人して絵本を開く。


昔々(むかしむかし)、あるところに、人間の少女(しょうじょ)がいました。少女は地球(ちきゅう)()んでいました……』


「このお話、昔から大好きだったんです! 人間の女の子がいつか現れて、色んなことがあっても、最後は皆が幸せになれる。ずっと人間に会いたい。会って色んな話がしたいって思ってたんです!」

 アリッサはとても嬉しそうだ。


「私達の世界には魔法はありません」


「え? なんて不便!」

 アリッサは目が飛び出しそうなほど見開いた。


「私にも魔法使えないですか?」


「う〜ん……それはどうだろ。真帆さん、魔力なさそうだから……ん?」

 アリッサは真帆をじっと見つめていたが、何かに気づいたようだ。


「え? 魔力ではないけど、何か力がありますよね? 真帆さん!」


「えぇ? 力?」


「はい。魔力とは違うエネルギーを感じます。あ〜! でもあたしじゃ分からない!」

 アリッサの眉間のしわがどんどん深くなる。


「そんな、力なんて……」


「ん〜……気のせいじゃないと思うけどな……。ママ視るの得意だから、ママに聞いてみますね」




✧ ✧ ✧




 アリッサの母親の料理はどれも美味しく、異世界とはいえシチューなどがあり、西洋料理を思い起こさせる。食事を済ませるとアリッサが母親に話しかけた。


「ねぇ、ママ」


「なぁに?」


「真帆さんに何か力があるみたいなの。あたしじゃ分からなくて……視てもらえる?」


「良いわよ。真帆さん」

 母親は真帆を呼んで手招きをする。


「はい」


「視ても良いかしら?」


「はい、お願いします」

 母親が真帆を見据えて瞳を閉じる。真帆の手にそっと触れ、何かを感じているようだ。


「……」


「真帆さん、貴女……神力(しんりき)があるわね」


「神力?」


「ええ。まぁ、まだ目覚めてないようだけど」


「どんな力なんですか?」


「そうね。邪悪な力をはね返し滅する力よ。とても清らかなエネルギーね。貴女が心からそれを求めた時に目覚めるはずよ」


(うち)の家系は代々神に仕える仕事をしています。特に母は巫女といって除霊したりお祓いする力もあるみたいです」


「そう……きっと遺伝したのね」

 アリッサの母親は納得したようにうなずいた。

「ねぇ、真帆さん」


「はい」


「真帆さんはこの世界に来たばかりで行く所がないでしょ? 真帆さんが良ければこの世界にいる間、(うち)で過ごさない?」

 アリッサの母親は優しいほほ笑みを浮かべている。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ