異世界の出会い
「魔力を感じない……何だ? 彼女は……」
フレッドは戸惑っているようだ。真帆もまた戸惑いながら視線をさまよわせる。
「あの……」
「はい」
返事をしたのはアリッサ。
「ここは……どこですか?」
「ここは、魔法国・ルルーです」
「魔法国?」
真帆の瞳は大きく見開かれる。
「そうです」
「すごい! ってことは、ここは異世界?! こんなことってある?!」
1人で驚き喜び出した真帆に、フレッドは恐る恐る発言をする。
「あの~?」
反応がない。
「もしも〜し?」
「お姉さん?」
アリッサも一緒に声をかける。
「え? はい?」
ようやく返事をした真帆は興奮している。
「おねーさんってもしかして……伝説の人間?」
フレッドはそれだけ聞く。
「え? 伝説?」
「うん、そうです! この世界では、人間って架空の存在で伝説になってるんです!」
アリッサも興奮気味に喋っている。
「人間が伝説なんて……」
「あ、ここにいたらまずいかもしれないな」
フレッドは辺りを気にして呟く。
「あ、そうだね」
「え? どういうことですか?」
真帆は何が何やら分からない。
「お姉さん、とりあえず家へ行きましょう?」
「え?」
「そうだね。それが良いよ」
「真帆さん、箒に乗ったことないですよね?」
「はい」
「後ろに乗せても良いんですけど、かなり不安定なので慣れないと落ちるかもしれないから、歩いて行きましょう」
「落ちるかもしれないなら、乗ってみたいですけど……今回はやめときます」
「人間ってあたしたちと変わらない姿をしてるんですね? あたし、ずっと人間に会いたかったんです!」
歩きながらアリッサは話しかけて来る。
「アリッサの人間好きは有名だからな」
アリッサ達は真帆の少し前を歩きながら話している。
「あ、あたしはアリッサ。で、そっちの茶髪くんはフレッド。よろしくお願いしま〜す」
「私は真帆です。よろしくお願いします」
「茶髪くんって……アリッサはこげ茶の髪に白い肌をしてるから、その白さは白玉団子……」
「バシ!」
アリッサはフレッドの肩を叩く。
「なんだよ! ほめてるんだって!」
「どこが!」
真帆は2人を見ながらクスクスと笑ってしまう。その様子にアリッサが気付く。
「あ〜、ほら。真帆さんに笑われてるじゃん!」
「仲良いんですね」
「良くないですよ! フレッドってば、意地悪ばっかり!」
「ごめんって。意地悪じゃないよ」
「2人はどういう関係なんですか?」
「ん〜。幼なじみかな」
アリッサが答える。
「家が近くだから、気付いたらお互い一緒にいることが多かったんですよ」
フレッドが付け加える。
「へ〜……良いですね。そういうの」
「まぁ、兄妹みたいなものですけどね」
アリッサがそう言うとアリッサを見ていたフレッドは視線を外した。
――あれ? この2人って?