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おとぎの国の娘  作者: 宮守 美妃
17/30

思い

 ヒスイの腕は温かく寒さを忘れさせてくれる。体温だけでなくドキドキしていることもあり、今度は熱くなって来た。


「温かいです」


 ヒスイは満足そうに微笑んで、2人で宿を見つけ中へ入った。


 木造造りなため、歩くたびにギシギシ音を立てる。魔法で室温は快適。大きめな部屋ということもあり、広々と使える。

 真帆の活躍で人間への不信感がなくなったため、魔法使いたちも優しく接してくれる。


 部屋にはベッドが2つ並んでいる。ふかふかで程よく弾力があり寝心地が良さそうだ。



 ヒスイはベッドへ腰をかけ、真帆を呼ぶ。 

 隣においでと自分の座っている横をポンポン叩く。真帆は大人しく隣へ座る。


「ここには俺しかいないから、好きなだけ何でも話せば良い。どんなことを言っても良い。遠慮や我慢はいらない」

 ヒスイは真帆の顔を見つめながら話す。真帆はうつむいている視線をヒスイに向けた。


「何でも?」


「ああ。何でも」


「信じられない……」


「信じられない?」


「はい。今の今まで、お父さんの娘だと思っていました。ヒスイさんも知ってたんですか?」


「いや、それは知らなかった。俺は真帆のことは子供の頃に初めて会って知ったからな」


「そうですか……」


「私にはアリッサさんのお父さんがお父さんだとは思えなくて、ずっと一緒に暮らして来たお義父(とう)さんのことが大切なんです」


「うん」


 ヒスイは真帆の頭をゆっくりと撫でる。


「急にお父さんだって言われても……何で急にそんなこと言ったんだろう?」


「そうだな」


「アリッサさんのお父さんのことは好きですよ。でも……」


「納得出来ないならしなくても良いんじゃないか」


「え?」


「嫌なら嫌で良い。納得出来ないなら出来なくて良い。誰でもない、真帆が決めれば良いんだ」


「私は……両親の元へ帰りたい」


「そうか」


「心配してますよね?」


「そうだな、きっと今頃」




✧ ✧ ✧




 真帆がいなくなったあの日の人間界では騒ぎになっていた。


 時計の針は22時を回っていた。家の中を行ったり来たり、部屋を出たり入ったりしていた。


「警察には話したのか?」


「ええ。一体どこへ行ったのかしら? スマホも繋がらないの」


「約束は守る子なのにな」


 2人は捜索願いを出した。それから1週間、2週間が過ぎて行った。何の動きもないまま……。


「真帆が帰ったら話すはずだったんだよな」


「そうね」


「あの話を」


「きっと知ったらショックを受けたでしょうけど……いつかは話さなければいけないから」


「ああ」


「どこへ行っちゃったの? 真帆……お願いだから無事でいて……」


「亜紀」

 父は亜紀の肩をそっと抱き寄せる。


「きっと無事でいるから、信じよう」

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