魔物
真帆とヒスイは妖の国へ入った。周りは優しい笑顔を向けてくれる。
「ヒスイ様! 真帆様!」
真帆もヒスイと一緒に笑顔を向ける。
「ヒスイ様?」
「ん? 様はいらない」
「え? でも……じゃあ、ヒスイさん?」
「それで良い」
「今日、これからどうしますか?」
「ひとまず、近くの宿へ泊まろう。城は少し遠いからな」
「分かりました」
ヒスイの手の甲と真帆の手の甲がぶつかる。ヒスイは優しく真帆の指に自分の指を絡めた。
「え?」
「嫌……か?」
「いいえ」
「そうか」
安心したような瞳が真帆の瞳と重なる。
――何かドキドキする!
最近はヒスイの顔を見るのも大変だ。意識して心臓がもたない。
2人でお食事処で食事をして、木造造りの宿を見つけ1部屋借りた。くつろいでいると、ドアをノックする音が聞こえる。
「はい」
真帆が出ようとするとヒスイが止める。
「待て。何か怪しい。何者だ!」
「……流石だな。王子」
という言葉と共にドアが開いた。魔法使いの男性が立っていた。ヒスイは真帆を守るように力強く抱きしめる。
「あの街はもう、終わりだ」
それだけ告げて男性は去って行く。
「あの街って……」
「魔法使いの国だ!」
「え?」
「伝説の真帆を追い出し、人間に濡れ衣をきせ、すべてを真帆のせいにしようとしたんだろう」
「そんな……」
「戻ろう!」
「はい!」
「ああ……いや、真帆はここにいてくれ」
「嫌です!」
「しかし……」
「自分のこと位自分で守ります!」
「分かった……行こう」
✧ ✧ ✧
魔法の国へ戻ると街は魔物で溢れかえっていた。魔物は以前会った魔物と同じ魔物で、魔法使いの人々を襲っている。それぞれが魔法を使って立ち向かっているが、なかなか手強いようだ。
アリッサの家へ向かうと、魔物が暴れていた。
「アリッサ!」
母親が叫んでいる。魔物はアリッサの後ろにいた。
「危ない!」
真帆が神力を使うと、アリッサの後ろの魔物が跳ね飛ばされた。
「真帆さん!」
「大丈夫?」
「ありがとう!」
「2人共、よそ見しないで!」
母親が声をかけてくる。魔物が真帆とアリッサめがけて突進してくる。
「えい!」
アリッサが魔法を使い魔物を倒し、真帆も神力で戦う。ヒスイも一緒に魔物をやっつけた。魔物が減ってきたその時。ヒスイが後ろから襲われてしまった。
「ドサッ」
音がして振り向くとヒスイが倒れていた。
「え? ヒスイさん!? ヒスイさん! しっかりしてください! ヒスイさん!」
真帆の声が辺りに響いていく。真帆はヒスイに駆け寄る。真帆の体から白い光が溢れる。魔物は消滅した。ヒスイの意識はない。




