甘い雲
片陰の濃い猛暑の日 空には所せましと並んだ雲
その中にやけに高く昇る雲がひとつ 入道雲
その雲の清々しい白さにある出来事を思い出す
ビーカーいっぱいに詰めたスクロース
そこに濃硫酸をとろりと注ぎ入れる 濃硫酸は脱水が得意である
スクロースは水を失って装いを黒く変えていく
これは炭素だ スクロースが炭素へと変貌を遂げたのだ
水蒸気と共にビーカーから飛び出して
とてつもない熱を発生させながら上へ上へと昇っていった
ここにもまた 上へ上へと昇る入道雲
嗚呼あの雲も 濃硫酸が混ざってできた物だろうか?