「ぷってぃ、ぷってぃ~♪」 ✧魔法の言葉✧ 魔女っ娘の物語
「ぷってぃ、ぷってぃ~♪ 」
私がこの魔法の呪文を唱えるとあ~ら、不思議!
首にかけていた黒猫の形のネックレスが光って……。
魔女っ娘に変身~!
「魔女っ娘のプチパルルンことプッティよ♡」
三角のとんがり帽子の先には星の形の飾りが一つ。
黒いローブには魔女っ娘の証のブローチが光っているの。
ブローチの一部の水晶の中身がまだ三日月の形だから、これが満ちると完全な魔女になれるの。
「ぷってぃ、ぷってぃ~! 箒よ出てこい!」
私が魔法の呪文をまた唱えて、箒を呼ぶと……。
何もない空間から箒が出て……。
「こない?」
あれ、おっかしいなー。
私は聞き手の右手をグーパーさせる。
「マズイわ、この初期呪文が完璧に出来ないと、『魔女昇格試験』の第一関門が突破できないじゃない!」
私はわたわたと慌ててその場をグルグル回る。
も、もう一度!
「ぷってぃー、ぷってぃー! 箒よカモン!」
今度は違う風に呪文を唱えると。
ばちーん!
「あいたっ!」
私の目から星屑が飛び散る。
「な、なんでおでこに直撃するのよ~!」
箒が何と窓の外から飛び込んできて私のおでこに向かって飛んで来たの。
「そもそも、何で窓の外に出現するの~?」
「ククククク……」
そこにもう堪え切れないと言う様に笑い声が響く。
「ルン! 笑わないでよ!」
お供の黒猫、あの猫のネックレスが実現したのがルン。
そのルンが、腹を抱えて笑っている。
「お馬鹿な、プッティ。箒を呼び出すのさえまともに出来ないとは。見ものだよ」
笑い終えた後、ルンは器用に二本足で立って言う。
この猫、いつか炎の呪文で尻尾に火を付けちゃうんだから!
私はルンを思いっきり睨む。
「ぷってぃ~、ぷってぃ~! お魚クッキーよ出てこい!」
とっびきりの魔法の呪文は成功して……。
「にゃ~! プッティの意地悪ー!」
ルンの目の前で魔法を使って空中でぶらんぶらんさせる私。
飛び上がるルンにおもいっきり意地悪してやる。
「……。おみゃーはお菓子を出すのは何故得意なんだか。不思議なお馬鹿なプッティめ」
不貞腐れるルン。
「さあ、なんででしょーね」
そんなこんなの一週間後。
『魔女昇格試験』当日……。
「魔女っ娘、アイリーハルルン。お前の試験の結果は」
「はい!」
わたしの前に並んでいた子が緊張した面持ちで返事をする。
結局、あれから箒はまともに呼び出せていない。
私だって、メチャクチャ緊張しているのに!
厳めしい年寄りの魔女が微笑んだ。
「合格だよ」
「やったー!」
別の合格していた魔女っ娘がその子に飛びつく。
「アイリー、おめでとう!」
「ありがとー、ヒータニャラ!」
「これくらい受かって当然よね?」
「マリーナル、それ嫌味よ……」
魔女っ娘たちはそれぞれが見事に初級の魔法の試験に合格していた。
初級の試験に合格すると、瓶に宝石が溜まるのである。
わいわい、とみんなが騒ぐ中プチパルルンことプッティの番がやって来た。
「次、魔女っ娘プチパルルン!」
「はい!」
その場が途端にシーンとなる。
「さあ、魔法の呪文で箒を呼び出しなさい」
「はい」
私は、横に居たルンを見遣る。
ルンは明後日の方向を見る。
だが、尻尾は緊張したようにピーンと伸びている。
私はそれを見て緊張が解けたように感じた。
深呼吸をする。
「ぷってぃ、ぷってぃー! 箒よ出てこーい!」
ぶおん!
すごい音がして、私が思わず目を閉じると。
右手にしっかりとした感触と重みが。
そろりと目を開けると……。
「箒! 箒だわ! やったー! 出来たわー‼」
私は箒をちゃんと呼び寄せれた。
ルンが大きく安堵するのが分かった。
「おめでとう、プッティ!」
「優しいアイリー、ありがとう!」
「良かったわね」
「マホールルもありがとう」
年上っぽい他の魔女っ娘にも祝福を言われ、私の目に涙が浮かぶ。
「ごほん、ごほん!」
試験官の魔女が咳をする。
その場が静まる。
「魔女っ娘、プチパルルン……」
「はい……」
緊張がその場に漂う。
「見事、合格だよ」
「あ、ありがとうございます!」
これからも、魔女目指して……。
「頑張るわよー!」
「「「おおー!」」」
私たちは満月の夜空に向かって拳を突き上げてお互いの健闘を誓ったのだった。
おしまい☆彡
童話か悩みましたが、楽しく子どもに読んでいただけたらと思って書き上げました。
ここまでお読み下さり、本当にありがとうございます。
え? どこかで見た名前があるって?
架空の人物たちですから~ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
*参考にさせてもらったユーザー様ごめんなさい! m(__)m