真央ちゃん温泉に行く
「大変です。王様。『天の間、王』様が教本に落書きをしたのですが、その教本に・・・」
教本を覗き込む王。王は教本に落書きと首を傾げる。
教本に何が書いてあるかわからないが、司教が王に耳打ちをする。
「何?そんなことが!予言か?!」
「はい、間違いないと思われます。」
王は左手を額に当て困った様子を見せるが、直ぐに辺りを見渡し指示を出す。
「ホスローを呼べ!至急対応する。」
「ねえ、みんなオウンセンの町に行かない?」
ブーッ。酒場で飲んでいる魔物達が一斉に噴き出した。
「「「行きます!!」」」
魔物全員が手を挙げた。真央はただの提案のつもりだが、魔物達は命令と感じる。
『いよいよ、魔物大行進を始めるのか!』
魔物達に緊張感が走る。大行進で人間共を根絶やしにするのか・・・
「えっ、みんな行くの?楽しみだねえ♡」
「は・・・はあ」
そりゃ、歴代魔王は戦闘狂が多いから楽しみかもしれないけどね。でも下っ端は、生きて帰ってこれるか・・・
真央が魔物大行進の発令(?!)をしている時、ゴーレムは声帯機の作成をしていた。
魔道具の作成には細かな作業が必要で、ゴーレムの太い指では簡単には進まない。
「フンガー(なんだよ、この指は!)」
指を恨めしそうに見つめるゴーレム。
そんなゴーレムを見つめるハヴェルツ。溜息を付きながらゴーレムの傍に寄る。
「はあ、二代目。手伝いましょうか?」
「フンガー(マジか!)」
「二代目が魔法を使えると戦力アップにもなりますしね。近接戦の強者がいないので、戦力バランスは悪いのですが。」
「フンガー(近接戦は当面俺が担う。まあでも、魔法で肉体復活と魂転送の魔法で昔の姿に戻るつもりなんだがな。)
「復活?!体はそのままの方がいいのでは?」
「フンガー(阿呆、このままでは魔王と結婚出来んだろう!)
「は?その為に・・・声帯機ですか?」
「フンガー♡」
「よーし、みんな行こう!」
翌日の朝、元気よく飛び出す真央。
魔物達は気持ちの整理をする時間も与えられず、魔物大行進は始まった。
「ひそひそ・・・魔王様、半端ねえっス」
「ひそひそ・・・人間か魔物。オウンセンの町は血の海になる」
愚痴っぽい声も聞かれるが、魔物は血の気の多い者もいる。
その中でユウショウは戦闘狂ではないが、魔王に良いところを見せたいという功名心が表れていた。
「魔王様、俺が口火を切りますよ!」
ユウショウは町が近づくにつれて、足早になる。体も徐々に毛深くなり狼男らしい姿に変わっていく。
町が見えた時、ユウショウは駆け足となる。
「おお、かけっこか?!うちも負けないよ~」
ユウショウを追いかける真央。
「「「魔王様まで突入した?!遅れるなあ~!」」」
全員が駆け出した。
オウンセンの町は赤褐色の平原にポツンとある町だ。木や岩などもないせいか、町を囲む壁は運搬でここまで持ち込んだ木で作られている。
防御的に弱く攻めやすい町だ。
そこにユウショウが大きくジャンプをして木の壁を乗り越えた。一番乗りだ。
わざわざ城門を破らなくてもいい。
ジャンプ力のあるものが次々と飛び込む。その他の者は城門に向かった。
城門は直ぐに開錠した。しかし開錠したユウショウが不思議そうな顔で城門で待つ魔物を見た。
ヒーヒー(汗)と言いながら、2番目に飛び出した真央が最後での到着だ。魔王様遅っ!って突っ込みを入れたい魔物達だがあの恐ろしい呪文を唱えられてはと、我慢する。
「あれ?みんな入らないの?」
城門立ち止まる魔物を見て問いかける真央。その真央の問いかけにユウショウが反応する。
「魔王様、人が・・・誰もいません・・・」
町はもぬけのカラだった。
『折角、町に来たのに。』
腕組をして考える真央。何かを閃いた顔をして真央は口を開いた。
「追いますか?」
「うん、臭う!貴方達もう(ハロウィンが長すぎて)お風呂入ってないでしょ!温泉に入りなさい!」
「な、なあ。俺たち魔物大行進で戦争中だよな・・・」
「ああ。それが、なんで温泉に?」
魔物達は困惑している。
しかし真央は、
「石鹸を王都で貰ってきたから、しっかり体洗うんだよ~」
「こらー!そこー!湯舟で石鹸使うな!!」
「そこの男子!そっちは女子風呂だー!は・い・る・な!」
「ギャー、風呂がドブみたいな色に~!」
1人大騒ぎをしている。
お風呂の騒ぎが落ち着くと今度はみんなで食事。
真央がみんなに向けて話をする。
「みんな、綺麗になった?食事が終わって、一休みしたら・・・」
魔物大行進の始まりかと、皆、息をのむ。
「帰ろうか(^^♪)」
「「「・・・はっ!!!えっ?はいっ?!」
次回「真央ちゃんエッチする」