真央ちゃん魔物退治をする その2
「あわわわわ、教本に落書きがーーー」
「『天の間、王』様、なんてことを・・・」
真央が城から逃げた事、そして教本に落書きした事で騒ぎとなっていた。
ゴーレムが上を見上げると頭上から剣を振り上げゴーレムを切ろうとするホスローの姿が見えた。
ホスローに向けて右腕を伸ばす。
「フンガー(ロケットパーンチ!)」
肘から先が飛ぶ。ホスローは飛んできた拳を右足で蹴り回転をしながら後ろに飛ぶ。地面に着地した瞬間に地面を蹴り、再度ゴーレムとの間合いを詰めた。
肘から先のない右から攻撃をしようと、回り込むホスロー。そして剣を振る。
しかし、ゴーレムの腕から大剣が出現。
ガツーンという音と共に剣がぶつかり合う。
「フンガー(おいおい、手の内が次から次にあかされてしまうなあ)」
二代目は、悔しさを発するが、好敵手の出現に楽しさも感じる。
ホスローの方も同様に感じていた。城内でふんぞり返ってやることがない。汗をかき戦う。勇者時代の事が思い出す。
「フンガー(こっちは魔法まで出しているのに、ホスローはまだ、剣で勝負のみか・・・劣勢だな・・・)」
広範囲から単体攻撃に変えて業火の魔法を放つ。
ホスローは軽くかわし、再度右から斬りかかる。ゴーレムはホスローに向けて水平に斬る。
屈んでかわしたところに左のロケットパンチを撃つ。
と狙っていたが、ホスローは剣の峰を蹴り左に移動、ゴーレムとの距離を詰めて脇にさしてある短剣でゴーレムを斬りかかる。
「破邪の短剣だ。高い授業料だったな。」
~破邪の短剣~
悪しき者のみを斬る神剣。長剣と短剣があり長剣は王国で保管されている。硬いゴーレムの体も豆腐のようにスルッと切れる。一家に一台欲しいが現在レアアイテムの為、品切れ中。但し、悪しき者以外には全く切れない為クズアイテムとも言われる。
『オワッタ~!』
ケンシロウ風に叫びたかったが、フンガーとしか声が出ない為、心の中で終わりを叫ぶ二代目。戦闘の読みが甘かった。
二代目は元々、魔法系魔王だ。その能力の高さから何手も先に読む事無く、力技で勝利を収めてきた。
「危ないよ、そんなの振り回しちゃ!」
がっしりと、破邪の剣を持つ右腕にしがみつく真央。
え~っと驚く、ホスロー。
動きを止められた事ではない。破邪の剣は力を入れずとも斬れる剣だ。全力で振る方がバカだ。それよりもホスローの動きを見切って止めた事だ。
真央は全然動きを見切っていない。喧嘩に絡まれているめめちゃんを助けようと割り込んで来ただけだ。たまたま真央の方にホスローが飛んできて、自然に上げた両手に絡みつくようにホスローの右腕が絡みつく形になった。
一般の兵なら、真央が絡みついても腕を振るのを止めず斬るかもしれない。ホスローが強者の影響か、また破邪の剣を持っていたせいか、その振りを止めてしまった、イヤ、止められたのかもしれない。
「ちょっと、私の胸の感触、楽しんでない?!」
真央の無い胸、定番ギャグだ。しかしホスローが反論する。
「バカ、俺は巨乳派だ。子供みたいな胸に色気感じるか―!!」
この遣り取りを聞いていた一般人の人込みの中からフラフラと1人でてきた。
「そ、そう・・・巨乳派ですか。ハハハ、やっぱり、どこかで浮気を・・・」
金髪の綺麗な女性が鬼の形相を浮かべている。
~クリスティーン~
ホスローの3度の魔王討伐。その3回ともにパーティーメンバーとして参加。ホスロー曰く「彼女とあいつがいなければ3度の討伐なんて不可能だった。」(民明書房ホスロー自叙伝『簡単な魔王討伐』より抜粋)現役を退き、現在ホスローの嫁。
「なっ、ち・・・違うぞ、クリス・・・落ち着け」
「あら、落ち着てますよ。最近魔王がでたとか言って中々帰ってこないのは、巨乳の浮気相手でも見つけたのかと聞いてますのよ。」とクリスティーン。
「まて~、なあ『天の間、王』。最近魔王が出現したよな!な!」とホスロー。
「魔王?聞いたことないよ」
真央は魔王の事など聞いたことがない。真央自身ことならわかるが。
「なっ、おいっ!」
「嘘までついて・・・か・く・て・い。だね。」
クリスティーンから恐ろしい気が溢れる。
『我が生涯、一点の悔いなしー』と言わんばかりに白くなり、片手を天に上げるホスロー。
「よーし、あっち行こう~!」
真央とゴーレムが走り出した。このどさくさに紛れて2人は逃げ出す。
「おお、女の子がゴーレムを誘導しているぞ。」
「凄い子だ。騎士や兵らが負けたあのゴーレムを・・・」
王都から無事脱出して、帰路につく。
「王都凄かったねえ。」
「フンガー(そうだな)」
「そうだ、真央ねえエッチしたいな~♡」
「フ、フンガー(何?!)」
「初めてだから、今度誰かに教えてもらおう♡」
「フ、フ、フンガー(まてまて!)」
次回「真央ちゃん温泉に行く」