真央ちゃん最強の武器を持つ
コメディです。登場人物、ほぼ名無し・・・
珍しく名前のあるキャラがでます。
姫は真央に言われる通りにその場を離れ、一旦近くの村で休息をとる。
姫はテンプルナイツをチラリと見て言葉を発する。
「女神が地に降り立つのは何百年ぶり?」
「そこまでは、法国の者ではなければわかりません。しかし実際に女神に会えるとは・・・」
興奮を抑えつつテンプルナイツの1人がそう答えた。
「女神・・・か・・・女神なら、弟を・・・。」
姫は下唇を軽く噛む。女神に会えた。あの時、女神を連れて城に戻れば・・・。
自分の行動を悔いながらも今後の事を相談した。
「しかし、来るなと言われたが、行かないと魔王を確認できないな。」
「そうですね、姫。女神には止められましたが、あの先の森に少しでも入りたいですね。」
「魔王様、私に技を教えて下さい。」
ユウショウが片膝をつき、頭を下げて真央に頼み込んだ。
技?う~ん。ハロウィンの芸かな?この前、私の優勝で余程悔しかったんだね・・・。
「うん、いいよ。」
真央の返事に頭を上げて
「よろしいんですか!」
あっさりとした真央に大喜びで笑顔を見せるユウショウ。
そこまで、優勝したかったとは・・・悪い事したなあ。めめちゃんも川から帰ってきてから、何やら作り物に熱中して遊んでくれないしね。
真央はゴーレムが作業している小屋に少し視線を向けた。
小屋の中ではゴーレムが作成に没頭していた。
声を出せる魔道具『声帯機』だ。
流石にフンガ―というだけでは、魔法も唱えられない。何よりも魔王に伝えたい言葉が・・・。
しかし、この指、ただでさえ魔道具を作るは難しいのに、さらにこの太い指では・・・。
「でかい図体で、何をちまちまと作ってるんですか?」
ゴーレムの耳元から声が聞こえた。
気配探知にかからず、この俺の背後に!?
ゴーレムは、すかさず体を回しながら後方に左拳でバックブローで攻撃をする。
「二代目~、その体では重すぎて反応が遅すぎですよ。」
再び攻撃中に背後をとられるゴーレム。しかしゴーレムは構えた拳を下ろし大きく溜息をついた。
「フンガ―」
「ああ、バレましたか。そうです、ハヴェルツですよ。」
細りとした、貴族のような恰好をした男が立っていた。
「フンガ―」
「何しにって?歴代の魔王の補佐をさせていただいた、バンパイアロードであるこの私が、新魔王様に挨拶を、そして補佐をさせていただくのは当然でしょう。」
「フンガー」
「俺がいるから補佐はいらんとはどうゆうことですか?」
おいおい、誰もこの体の言葉が理解できないのに、ハヴェルツはよくわかるな。凄いな此奴。
「正直ここの村に来ても全然魔力が感じられないのですが、魔王が誕生したなら是非この武器をと思いましてね。」
「フンガ―」
「ええ、五代目魔王が作成した伝説級の武器ですよ。歴代魔王も使いこなせなかったこの武器を試していただきたいのです。魔力も感じない、武力もないとなれば、偽物として始末しなくては・・・ねえ、二代目・・・。」
厄介だな。歴代魔王が使いこなせない武器など、殺す気満々だな。このゴーレムの体でハヴェルツからアイツを守れるのか?!
黙るゴーレムを後目に、ハヴェルツはスタスタと歩き出す。
真央は村の女性達とワイワイとお喋りをしていた。
「みんな・・・でかいおっぱいだなあ。」
呑気に会話しやがって。だが、ハヴェルツは誰が魔王か、わからんだろう。と二代目は思っていたがハヴェルツは平然と真央の前に立つ。
「貴方か・・・魔王。この村で唯一魔力か全く感じられないという異彩。魔物であれば多少は魔力があるものなんですがねえ。」
ハヴェルツは真央に剣と盾を渡そうと差し出す。
「魔王様、これをどうぞ。この剣と盾を使いこなせますかな。」
「はあ?」
剣と盾を受け取り、速攻で言葉を放つ。
「これ・・・無理だわ!」
真央の返事にハヴェルツの体から大量の魔力が漏れ出す。
「ははは、やはり偽物か!」
ハヴェルツが真央に首を刎ねようと左手刀で襲いかかろうとする。その瞬間にハヴェルツと真央の間にユウショウが割って入り、左手刀を受け流す。
ハヴェルツは続けて「オラオラオラオラ!」と左右交互に手刀を放つ。
ユウショウは「無駄無駄無駄無駄!」と全弾防御する。
『やるなあ、アイツ。この二代目、アイツはただの地味キャラと思っていたわ。』
「なかなかやるな。」
「ワハハ、このユウショウ、魔王様より直伝の絶対防御【パラパラ】を授かったのだ。魔王様に危害を加える事は何人たりとも出来ん!」
「そうか、だがな・・・」
ハヴェルツは蝙蝠のような羽を背中から出し、スピードを上げる。
「狼男よ、貴様のそのパラパラは足がボックスでしか動かない。魔王の背後までは絶対防御できまい!」
「クッ」
魔王の背後に回るハヴェルツ。そこを右拳を狙い撃つゴーレム。
「もらった!」
「あまいよ!」
轟音唸る右拳を交わしハヴェルツは真央の首を狙う。
「・・・これ・・・剣と盾じゃなくて・・・こうして・・・」
真央はこの戦闘中に盾を肩にのせ説明を始めていた。
「こうする物だよ。」
右肩に盾がある。左肩の方から首を狙い左手刀が真央の首に届く瞬間。
ギーーーーー
という音が鳴りだす。
「「「「ギャー!」」」」
村のあちこちで、悲鳴が上がる。
ハヴェルツ、ユウショウ、二代目も思わず悲鳴を上げた。
「これは、バイオリンといって・・・」
鳴り響く音に白目をむくハヴェルツ。
「貴様・・・」
それでも最後の力を振り絞って襲いかかろうとする。
が、真央はさらに、口を開けて歌まで歌い出した。
「バ・・・化け物め・・・」
ハヴェルツ地面に倒れた。
次回「真央ちゃん王都に行く」